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女子カーリング日本代表決定戦で劇的勝利、名言満載のロコ・ソラーレ吉田知那美/試合後会見より

竹田聡一郎スポーツライター
ソチ、平昌に続き北京。3大会連続出場が実現すれば史上初となる(C)JCA IDE

 9月12日まで北海道稚内市の稚内市みどりスポーツパークで開催された「全農2021女子カーリング日本代表決定戦」は、ロコ・ソラーレが2連敗後に3連勝というドラマチックな逆転劇で幕を引いた。

勝利後、アイスにへたりこんだ吉田知那美。「ずっと怖かった」と大きなプレッシャーがかかっていたことを明かした (C)JCA IDE
勝利後、アイスにへたりこんだ吉田知那美。「ずっと怖かった」と大きなプレッシャーがかかっていたことを明かした (C)JCA IDE

 スキップ藤澤五月のラストロックをハウスで迎えたサードの吉田知那美の、勝利が確定した後アイスにへたり込み号泣する姿をテレビで見た方も多いだろう。「超カッコ悪かった」とはその後の自身に向けた言葉だが、平昌五輪から彼女の言動は「映像にしやすい。記事にまんま使いやすい」と記者の間でも評判だった。

 今大会もその例に漏れず、オリジナルの言葉を重ねてくれた。せっかくなので最終戦直後のコメントを全文に近い形で紹介したい。

「まずいちばんに北海道銀行さんに感謝したいです。北海道銀行さんは本当に強かったです。

私たちが平昌オリンピック以降、平昌オリンピックまでも、いろんな日本(カーリング史上)初をやってきて、その孤独だったりとか、苦しさだったりとか、その中でだんだんだんだん私たちらしさっていうものを強くなるために捨てていってしまったり。カッコつけたり。

そんなふうにしてカーリングをするのが苦しくなってしまった時期があったんですけれど、この3日間で北海道銀行さんが強いパフォーマンスをして2連勝してくれたおかげで私たちのカーリングを取り戻すことができた。

私たちが強いのではなくて、今回この(稚内)合宿に来るまでに、たくさん協力してくれた中部電力さん、SC軽井沢クラブさん、TM軽井沢さん、ドラゴン(常呂ジュニア)さん、札幌国際大学さん、北海道銀行さん、富士急さん。国内の男女(選手)、全員にサポートしていただきこの大会に挑みました。

今は喜びたいんですけれど、一回、気持ちを落ち着かせたらそれが無駄にならないように、また日本のカーリング界をワンランク上に上げるような世界最終予選に行きたいと思います。本当にありがとうございました」

 さらにメディアから「2連敗からの3連勝、何が勝ちにつながったのか?」という質問が飛ぶ。

「2連敗した後の昼食中に全員で本気で話し合って、その中で『私たちは今大会、運がない。運は私たちに味方していない』というのを受け止めて。

それを受け止めるのも北海道銀行さんのメンタルコーチの白井(一幸)さんがいつかメディア(に対してのインタビュー)で『すべての結果を受け入れる、受け入れる』っていうふうに言ってたって聞いて、対戦相手のコーチですが『それいいね』って。うちらも『今大会の運は向こうが持っているって受け入れよう』と。

じゃあ運が味方しないんだったら、もう自分たちで運命変えてやろう。そこからは敵は北海道銀行さんではなくて自分たちの運命に変わって。運を変えるためにどうするかっていうのを本気でgoogle検索して。

引っ越すとか結婚するとか美味しいものを食べるとか(検索結果で)、できそうなことはとりあえずその休憩中にすべてやって。

運がないってことを受け止めたら、気が楽になって。向こうがメジャーで勝つ(微差で得点を奪われる)であったりとか、『そうですよね、大丈夫です。私たちは運がないので』と悲観することがなくなった。本当に運命に勝ったなって思います」

初戦の第7エンド。ロコ・ソラーレの2点目を巡ってメジャー計測が行われた。北海道銀行の黄色のストーンがわずかに中心に近く、ロコ・ソラーレは1点どまり。結果的に1点差で初戦を落とす。 (C)JCA IDE
初戦の第7エンド。ロコ・ソラーレの2点目を巡ってメジャー計測が行われた。北海道銀行の黄色のストーンがわずかに中心に近く、ロコ・ソラーレは1点どまり。結果的に1点差で初戦を落とす。 (C)JCA IDE

 ロコ・ソラーレは銅メダルを獲得した2018年平昌五輪に続き、来年2月に開幕する北京五輪に出場すべく、12月の世界最終予選(オランダ・レーワルデン)に挑む。そこでは“メガネ先輩”ことキム・ウンジョン擁する韓国代表や、銅メダルを競った美人カーラーとしても知られるイブ・ミュアヘッドのいるイギリス代表などと再戦予定だ。「ちな(吉田知)が言うように、それもまた運命かも」とスキップの藤澤は笑った。

 その最終予選に向けて「次は世界で勝つためのシフトチェンジをしないといけない」と既にチームは先を見据える。

「そこで勝つこと。目標は明確なので、大切に大切に12月まで過ごしていきたいなと思います」(吉田知)

妹の吉田夕梨花は9月18日からはじまるミックスダブルスの代表決定戦にも挑む。知那美らはサポート役として帯同し、稚内に残る予定だ。(C)JCA IDE
妹の吉田夕梨花は9月18日からはじまるミックスダブルスの代表決定戦にも挑む。知那美らはサポート役として帯同し、稚内に残る予定だ。(C)JCA IDE

 果たしてレーワルデン経由北京行きは実現するだろうか。あるいは再び彼女らが運命に打ち勝つことで五輪への道は拓けるのかもしれない。引き続き、彼女の運命とコメントに注目したい。

スポーツライター

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。 カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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