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歴史・刀剣がわからなくても楽しめる!圧倒的な数で見ごたえありすぎな刀剣博物館「名古屋刀剣ワールド」

陽菜ひよ子歴史コラムニスト・イラストレーター
天井まで凝った館内

2024年5月に名古屋市中区栄に開館した名古屋刀剣博物館「名古屋刀剣ワールド」。2020年6月開館予定が、コロナの影響で4年遅れでのオープンとなりました。

当館の学芸員・山田怜門(れいもん)さんによれば、コロナでの開館の遅れは意外にもプラスに働いたといいます。というのも、コロナの最中もコレクションを集め続けた結果、展示スペースが手狭になり改装したのです。つまり、当初より規模の大きな博物館になったということ。

実際、ものすごい数のコレクションでした!30分や1時間で見ようなんて考えてはいけません。できれば3時間ぐらい時間を確保して、覚悟して臨んでほしい。

気持ちは「いざ、出陣!」という感じのレポートです。

入り口では、上杉謙信・武田信玄・伊達政宗など人気の戦国武将がお出迎え。これらのイラストはすべて当館オリジナル
入り口では、上杉謙信・武田信玄・伊達政宗など人気の戦国武将がお出迎え。これらのイラストはすべて当館オリジナル

館内エレベーターでは、三英傑(織田信長・豊臣秀吉・徳川家康)と前田利家・柴田勝家がお出迎え。

イラストはエレベーターごとに違うそうなので、乗り比べてみるとより楽しめるかもしれません。

「刀剣ワールド」オリジナルの刀剣キャラクター
「刀剣ワールド」オリジナルの刀剣キャラクター

刀剣の歴史や系統がわかり、よりおもしろくなる展示

北館の1階は売店、2階から4階が展示室になっています。2階と3階は北館と本館からなり、2階は日本刀と甲冑を主に展示する常設展示室となっています。

展示室の入り口では、刀剣づくりの様子がモニタに映し出され、ワクワクが高まります。

とにかく、たくさんの刀剣!

「名古屋刀剣ワールド」の特に素晴らしいところは、展示方法がわかりやすいこと。

刀剣のみならず絵画でも彫刻でも、鑑賞するときには、作品の背景の歴史を知るとより理解が深まり、グッとその世界に入り込めます。

たとえば、「国宝です」と刀剣を1本だけ見せられても、「ありがたい」けれど、正直よくわからない…ということはありませんか?

日本刀の特徴といえば反りのある「湾刀」であること。しかし、時代によって反りの大きさは異なります。

武士が台頭して戦が増えた時期に、より人が斬りやすいように反りの大きな刀が生まれた、などと解説されると、より刀剣の魅力が伝わります。

同時に歴史の流れがわかるように展示されているので、より理解が深まるのです。

刀剣の見どころは、その形や波紋の美しさだけではありません。「拵」(こしらえ=日本刀の外装)の贅を凝らした装飾も見事。その魅力は奥深く、気づけば、ズブリズブリと刀剣沼にはまってしまう人が多いのにうなずけます。

刀剣以外にも貴重なコレクションを堪能

度肝を抜かれたのが、3階の本館側にある弓矢・鉄砲ゾーン。

火縄銃・古式西洋銃を中心に約350挺を常設展示。ぐるっと一周するだけで、鉄砲の進化の流れを体感できるしかけとなっています。現存するものが少ないといわれる弓のコレクションも貴重です。

日本全国で4挺しか現存していない貴重な女乗物(女性用の駕籠(かご))も必見!

大鎧から当世具足まで華麗な甲冑コレクション

刀剣といえば甲冑。この二つは切っても切り離せないもの。もちろん甲冑のコレクションも充実しています。

甲冑も時代によって、小札を色糸や革紐でつなぎ合わせたものから一枚板でできたものへと変化。そうした流れがよくわかる展示となっています。

これはすごくわかりやすい!
これはすごくわかりやすい!

武士が火災の現場で着た衣服「火事装束」や戦場で武将が鎧の上から羽織った「陣羽織」のコーナー。色鮮やかでカッコイイです。

「太平記図屏風」と大名の道具類。まだまだここに載せきれないほどのコレクションの充実ぶり。

武将にこだわった浮世絵と今だけの企画展示

浮世絵のコーナーも!浮世絵も「武将」にこだわり、歌川国芳やその弟子の月岡芳年(よしとし)を中心とした武者絵や合戦絵の作品を展示。

月岡芳年は、浮世絵の一様式「無残絵(残酷絵)」を確立したことで知られており、かなり「おどろおどろしい」絵が並びます。美人画や風景画以外の浮世絵を見る機会はなかなかないため、絵画好きの筆者は楽しめました。

刀剣・甲冑・武将を中心とした博物館ですが、2024年夏~年末にかけてはNHK大河ドラマ『光る君へ』に寄せて『源氏物語』の展示中。

源氏物語関連の展示もかなり充実していました。この展示は2024年12月22日(日)まで!

ショップとレストランの案内

最後にショップとレストランをご案内。1階のショップには、ずらりとオリジナルグッズが並んでいます。

刀剣博物館ということで、多くの名刀のレプリカが並ぶと同時に、実際に使用できる料理包丁も販売されています。刃物といえば有名な関市で作られた当館オリジナルです。

気合いを入れて取材&撮影をしたら小腹がすいたので、帰りに本館の「和カフェ&レストラン〔有楽〕」に立ちより、味噌かつ丼と抹茶ゼリーとわらび餅をいただきました。

全国から来た人にも全世界から来た人にも、名古屋が誇る名古屋めしと和のデザートを楽しんでいただけます。

名古屋めし代表:味噌かつ丼
名古屋めし代表:味噌かつ丼

和デザート代表:抹茶ゼリーとわらび餅
和デザート代表:抹茶ゼリーとわらび餅

館内の半券持参で、ドリンクとデザートは100円引きになるサービスあり
館内の半券持参で、ドリンクとデザートは100円引きになるサービスあり

駆け足のレポートとなりました。

詳しくご覧になりたい方は、コチラの記事をどうぞ。学芸員さんへのインタビュー中心になっており、刀剣博物館の魅力により迫れます。

その数に圧倒!「刀剣」「甲冑」を系統的に学べる博物館「名古屋刀剣ワールド」(中日新聞マーケティングマガジン)

https://adv.chunichi.co.jp/adfile/nagoya_love21-2/

名古屋刀剣博物館「名古屋刀剣ワールド」基本情報

【住所】愛知県名古屋市中区栄3丁目35番43号

【最寄り駅からの所要時間】地下鉄東山線・鶴舞線「伏見」駅から 徒歩12分

             地下鉄東山線・名城線「栄」駅から 徒歩13分

             地下鉄鶴舞線「大須観音」駅から 徒歩9分

             地下鉄名城線「矢場町」駅から 徒歩10分

【駐車場】駐車場:5台(2時間まで無料、2時間を超過後30分毎に500円)

【開館時間】 10~17時(最終入館は16時30分) ※カフェ「有樂」も同様

【休館日】 月曜日

【入館料】一般:1,200円、シニア(65歳以上):1,000円

大学生・高校生:500円、中学生・小学生:300円 

※6歳以下は無料

※障がい者(付添1名含む):無料(障害者手帳をご提示ください)

団体(20名以上):一般300円引/小~大学生・シニア100円引

年間パスポート:5,000円 ※北館ショップ内の受付のみ購入可能

(取材・文・イラスト)陽菜ひよ子 (写真)宮田雄平

歴史コラムニスト・イラストレーター

名古屋出身・在住。博物館ポータルサイトやビジネス系メディアで歴史ライターとして執筆。歴史上の人物や事件を現代に置き換えてわかりやすく解説します。学生時代より歴史や寺社巡りが好きで、京都や鎌倉などを中心に100以上の寺社を訪問。仏像ぬり絵本『やさしい写仏ぬり絵帖』出版、埼玉県の寺院の御朱印にイラストが採用されました。新刊『ナゴヤ愛』では、ナゴヤ(=ナゴヤ圏=愛知県)を歴史・経済など多方面から分析。現在は主に新聞やテレビ系媒体で取材やコラムを担当。ひよことネコとプリンが好き。

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