「オレは最強だ!」国枝慎吾が王者の貫録、全仏オープンで単複優勝!
フランス・パリのローランギャロスで開催されているテニスの全仏オープン。現地時間の3日から同じ会場で始まった車いすの部は5日、男子シングルスとダブルスの決勝戦が行われ、日本の国枝慎吾(ユニクロ)が単複2冠の快挙を成し遂げた。シングルスは2年連続6度目の優勝。
シングルス決勝では、世界ランキング2位のライバル、ステファン・ウデ(フランス)と対戦。6-1、6-0のストレートで破った。高めに弾むクレーコートを得意とするウデは2012年から2連覇したこともある強敵だが、国枝は世界一のウィルチェアーワークで終始コートを支配。今年2月のキャンプから強化してきたサーブも好調で、ライバルを圧倒した。
グランドスラム大会は世界トップの8人のみが出場する。シングルスの場合は決勝まで3試合となるが、国枝は今大会、その3試合すべてでストレートで勝利し、落としたゲームはわずかに「3」。ラケットに「オレは最強だ!」と刻み、世界のNo.1の座に君臨して8年。ハードコートより動きが制限される赤土でも、その無敵の強さを世界に示した。
実は国枝は5月末、ワールドチームカップ(国別対抗戦)に出場するため開催国のトルコに移動した際、競技用の車いすが破損するという空輸トラブルに見舞われていた。試合には出場できず、後を仲間に託して、急きょ帰国して修理にあたった。全仏までの数日間は練習ができなかったが、試合を重ねるごとに調子を上げた。ハプニングにも動じない強い「心」も、王者たるゆえんだ。
また、ダブルスでは5月のジャパンオープンでもペアを組んだイギリスのゴードン・レイドと出場。決勝は、フェルナンデス(アルゼンチン)・ペイファー(フランス)組を6-1、7-6で破り、優勝した。国枝は全豪も単複ともに制しており、“単複同時”年間グランドスラム達成に勢いをつけた。
女子はグリフォンが2冠! 上地はタイトル奪取ならず
女子は世界ランキング2位のジェシカ・グリフォン(オランダ)が、シングルス決勝でアニク・ファンクート(オランダ)に6-0、6-2で勝利。グリフォンは全豪オープンも制しており、今年2つめのグランドスラム・タイトルを手にした。また、ダブルスではファンクートと組み、上地結衣(エイベックス・グループ・ホールディングス)・ジョーダン・ホワイリー(イギリス)組を7-6、3-6、10-8の大接戦の末に破り、全仏2冠を達成した。
グリフォンはこれまでパラリンピックに3大会連続で出場し、ダブルスでは2大会連続銀メダルを獲得するなど、もともと実力のある選手。だが、試合が混戦になればなるほど集中力を切らして、ミスが多くなる傾向があった。ところが、ここ最近はメンタル面も安定感を見せており、今大会も接戦を乗り切って栄光を手にした。
一方、世界ランキング1位の上地は今大会、シングルスは準決勝、ダブルスは決勝で敗退した。女子も男子同様にトップ選手の実力が拮抗しており、まさに「戦国時代」の様相を呈している。そんななか、上地は来年のリオパラリンピックに焦点を当て、バックハンドスピンなど新たな技術習得に取り組んでいる最中だ。昨年秋から続いていた不調からも脱却しつつあるといい、次戦以降の復活に期待したい。