亀田和毅はなぜ負けたのか?階級UPによるスタイルチェンジの難しさ
ボクシング元世界2階級制覇王者でIBF世界フェザー級5位の亀田和毅(32=TMK)が、同級8位のレラト・ドラミニ(29=南アフリカ)とIBF世界フェザー級2位決定戦を戦った。
試合は7日、東京・大田区総合体育館で行われた。
試合の展開
試合開始のゴングが鳴ると、両者はジャブをつきながら様子を見る、静かな立ち上がりとなった。
和毅は持ち前のスピードを活かしたパンチでペースを握ろうとするが、ドラミニの堅いガードをなかなか崩せない。
途中ドラミニはガードを上げながら攻勢に出たため、和毅も対抗する。しかし、近距離ではドラミニが一枚上手で、攻守を切り替えながら主導権を握っていた。
前半は拮抗したラウンドが続いたが、中盤には、和毅も積極的に攻勢をかけ、距離を詰めボディを打ち込み始める。
さらに終盤にはカウンターをヒットさせ、見せ場を作った。
追い上げる形で最終ラウンドを終え、勝負は判定へ。
結果は、2-1(116-112ドラミネ2者、115-113和毅1者)でドラミニの勝利となった。
敗因は
和毅は階級を上げたことで、減量苦からは解放されたが、パワーをうまく活かせていないように感じた。
特に前半は様子見のラウンドが多く、中距離での攻撃が多かったため、相手にプレッシャーをかけきれなかった。
逆にドラミニはジャブを掻い潜りながら、距離を詰め着実にポイントを奪っていた。
後半にかけては和毅がペースを掴んでいたので、早い段階に打ち合い覚悟で仕掛けていきたかった。
階級を上げると、ボクサーは戦い方を変える。
一階級違うだけで対戦相手の体格は一回り大きくなる。そして、自身も体格・パワーともに増す。
それを活かす戦い方に変えていかなければ、階級を上げた利点を活かせない。
和毅の場合、パワーは十分だっただろうが、うまく活かしきれていないように感じた。
上半身も見違えるように進化していたため、KO勝利も十分期待できただろう。
勝利して世界へ弾みをつけたかっただけに、悔やまれる敗戦だ。
今後の課題
試合後の会見で、和毅はドラミニについて「ビデオと変わらなかったが、距離が遠かった。ちょっとずつペースを取れて、中盤から後半は(ポイントを)取れたと思ったけど、判定に言うことはないので自分の負け」と語り、敗戦を受け入れた。
リング上で戦っているボクサーと、観ているものの間にはギャップがある。
自分ではポイントを取れていると思っていても、ジャッジの見方によって相手につけられていることはよくあることだ。
特に前半から中盤にかけては、どちらに振り分けられてもおかしくない内容だった。
和毅も「採点については納得しているが仕方がない。前半にポイントを取られたのが今後の課題」と話している。
試合の立ち上がりを見ても、まだフェザー級でのスタイルに迷いがあるように感じた。
また最後に「試合前から井上チャンピオンとの試合が自分のモチベーションだったんですけど、今回負けて、強いところをアピールできなかったので、井上チャンピオンの名前を出したのを申し訳ないと思います」と口にした。
今回の敗戦で目標から遠のいてしまった。だが、今後の課題が明確になったことで、躍進の一戦となったのは間違いない。
悔しさをバネに再びリングで活躍する姿を見せてほしい。