肩透かしに終わった北朝鮮の最高人民会議! 国防相はまた交代!
今日、10月9日は北朝鮮が18年前に史上初の核実験を行った日である。世界中がビックリ仰天し、大騒ぎとなった。
北朝鮮は「9」という数字に不思議なことに拘りを持っていて、何か事を起こす場合、あるいは発表する場合、この日を選ぶことが多い。
今朝の北朝鮮の国営通信「朝鮮中央通信」は韓国中が注目していた最高人民会議の結果を伝えていた。
韓国では今回の第14期第11回会議では南北関係に関する憲法改正が主たる議題となっていたことから金正恩(キム・ジョンウン)総書記が前回の最高人民会議(1月)で建国以来の南北統一政策の放棄と、2つの国家の存在と韓国を「第一の敵」とすることを憲法に盛り込むよう指示していたことから大きな関心を集めていた。
特に、北朝鮮が正式に国境を引くようなことになれば、海の軍事境界線と称される北方限界線(NLL)上の黄海(西海)での南北の衝突が現実味を帯びてくることから韓国側の危惧は半端ではなかった。
筆者も北朝鮮は憲法を改正し、韓国と永別することを宣言するのではと憂慮していたが、「朝鮮中央通信」は会議が7日、8日の両日開かれ、「社会主義憲法の一部の内容を修正・補足することについて」が第1議題として上程されたことを伝えたものの肝心の憲法改正では12年制義務教育制の実施と公民の労働年齢と選挙年齢の修正などが討議されだけで統一問題や南北関係に関する言及は何一つなかった。
会議ではこの他に第2議題として軽工業法、第3議題として対外経済法、そして第4議題として、製品、品質監督法の執行について審議が行われ、最後は組織問題(人事)で締めくくっていた。
会議には金正恩総書記は出席していなかったようだ。今年1月の第14期第10回会議では出席し、「共和国の復興発展と人民の福利像審に関する当面の課題」と題して、演説も行っていた。
これでは完全な肩透かしである。会議を通常よりも1日伸ばし、2日間行われていただけにもしかすると、南北問題も公開、公表しないだけで実際には内内に討議されたのではと勘ぐっても無理もないことである。
実際に、金総書記は会議中の7日に訪れた金正恩国防総合大学での演説で「率直に言って、我々には大韓民国を攻撃する意思は全くない。(韓国を)意識することすら身の毛がよだち、そのような人間たちとは顔を合わせたくもない。以前は我々が南半部の解放という言葉を多く使い、武力統一についても口にしていたが、今はそれに全く関心がなく、二つの国家を宣言してからはなおさらその国(韓国)を意識もしていない」と述べていた。
金総書記からすれば、最高人民会議に顔を出して、わざわざ演説するまでもなく、この演説で韓国に北朝鮮の真意が十分に伝わったと思っている筈である。
組織問題の人事では国防相、国家建設監督相、国家科学技術委員会委員長、それに最高人民会議法制委員会委員長のポストだけが入れ替わっていた。
国防相は強純男(カン・スンナム)陸軍大将から呂光鉄(ロ・グァンチョル)上将に交代した。強純男大将は昨年1月に就任したばかりである。先月6日の呉振宇砲兵総合軍官学校の視察に随行したのを最後に公式の場に姿を現してなかった。
国防相の交代は2012年に金正恩政権が発足してから10人目となるが、後任の呂光鉄は金総書記が南北首脳会談や米朝首脳会談に乗り出していた2018年5月から2019年12月まで国防相(当時は人民武力相)の座にあったので実に6年ぶりのカムバックということになる。
呂国防相は2018年6月のシンガポールでの米朝首脳会談にも南北首脳会談にも、さらには北京での中朝首脳会談にも金総書記に随行していた。
呂国防省の復帰はミステリーである。金総書記にどのような意図があるのだろうか?