SNSに「ハサミの天ぷら」:悪ふざけ投稿は続く:若者とネットの心理
■止まらないアルバイト悪ふざけネット投稿
これまでも、散々問題視されてきたのに、またまた悪ふざけ投稿です。
■悪ふざけバイト店員はなぜ続出するのか?
悪ふざけバイト店員はなぜ続出するのか?そして問題は大きくなるのか。
○子ども若者の「面白さ」「笑い」重視
子ども若者にとって、「面白いこと」「受けること」は、とても価値の高いことです。スポーツができる、勉強ができることは、昔から子どもにとって重要んことでしたが、今ではなかなかそれだけでは評価されません。面白いこと、ウケることが、重視されます。
昔から面白い子は人気者になったでしょうが、現在はお笑い芸人が情報番組の司会をする時代です。新聞の見出しにだじゃれが使われます。そんな社会の雰囲気を子ども若者も感じ取っているのでしょう。面白さは、ただの笑いの種ではなく、尊敬の対象であり、力です。
明るく楽しい人間であること。ネットでも多くの反応を得ることに、必要以上に一生懸命になる人もいます。
○子ども若者文化と大人の文化、常識の違い
何が面白いことなのか。小学校低学年なら、たとえば抜けた前歯の隙間から、給食のうどんを出し入れしありすることは、面白がられ(もしかしたら「すごい」と尊敬され)、ウケるでしょう。大学生がそんなことをすれば、さすがに周りは引くでしょうが。
年代によって何がユーモアになるかは、当然違います。若者と一般社会も違います。同じ世代でも、グループによって違うでしょう。
テレビのバラエティーや、毒舌芸人は、ぎりぎりのところで、笑いを取っているのでしょう。一流の毒舌芸人は、「名人芸」を見せてくれます。バラエティー番組も、一部からはひんしゅくをかっても、高視聴率は得ます。BPOにも文句を言われません(時々失敗して、批判されることもありますが)。
大人から見ればダメなことでも、子ども若者にとっては、面白いことになることもあるでしょう。
○ネットの存在
昔からそうでした。子ども若者は、大人の見えないところで、「悪さ」をしていたでしょう。時々大人に見つかって、叱られる程度ですんでいたでしょう。
しかし、今は誰もが世界に向けて情報を発信し交流できる、インターネット、SNSがあります。
インターネットコ・ミュニケーションの心理的特徴としては、とても公の場なのにとても個人的な場だと感じるということがあります(インターネットの心理学)。
ネットに悪ふざけ投稿をしている若者は、仲間同士の「ウケ」を狙ったのでしょう。しかし、そんなことを大人社会に受けて公に発信すれば、会社は怒り、人々が怒り、役所の担当課も怒ります。問題は大きくなり、本人達の責任もとらわれるでしょう。
■現代の子ども若者たちと規範意識
大人から見れば、常識はずれの悪ふざけをする子ども若者。それは、今も昔も変わらないでしょう。しかし、その状況がいっそうひどくなっているように感じます。
現代の子ども若者にも、もちろん規範意識はあるのですが、その中身が変わっています。「公」と「私」の領域範囲が変わってきているようです。以前であれば、社会全体で守るべきルール、尊重すべき公共の福祉と思われていたことが、彼らにとっては、個人で決められる「個人領域」になっています。
だから、説教がなかなか届きません。
さらに、親も先生も警察官も、今はとても「フレンドリー」です。フレンドリーなのは、悪いことではありません。大人と子どもの良い人間関係も作られています。しかし、一部の子ども若者は、結果的に大人の世界を「なめている」といえるかもしれません。
こんなことをすれば、厳しく怒られるかもしれない、社会的制裁を受けるかもしれないという想像力が起こりにくくなっている子ども若者もいるでしょう。
現代は、ユーモアが重視される、とてもやさしい社会です。子ども若者にも、ユーモアとやさしさを身につけて欲しいと思います。しかし同時に、世の中には曲げられない法律やルールがあり、若者文化(若者の常識)は社会におけるサブカルチャー(下位文化)なのだということも、理解して欲しいと願っています。
若者たちによるサブカルチャーが、新しい文化を作っていくのですから。社会で活躍できる若者に育って欲しいと願っています。
補足10/1
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