【「置いてくよ!」って言ってない?】公園から帰る方法を現役心理士ママが解説
ママやパパから「子どもが公園から帰りたがりません」「ついつい『置いてくよ!』と言ってしまいます」というお悩みをいただくことがあります。
今回は、【公園から帰る対処法】を5つのステップに分けて解説します。最後にやってはいけないこともお話しますので、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
【公園から帰る5ステップ】
1)公園に行く前に帰る時間を約束
2)終わりを予告
3)子どもの気持ちに共感
4)次の楽しみを伝える
5)担ぎ上げて帰宅する
*注意*やってはいけないこと
【ステップ1:公園に行く前に帰る時間を約束】
“公園に行く前”と“公園に着いて遊ぶ前”に帰る時間を約束しておきましょう。
その際にもポイントがあります。それは、2回に分けて確認することです。1回目は、公園に行く前、つまり家で確認しましょう。
【声かけの例】
「今から公園に行くけど、おやつの時間になったら帰るよ」
「今から公園に行くけど、このママのアラームが鳴ったら帰るよ(実際にアラームを見せながら説明するとなお良い)」
そして、公園に着いてから、遊ぶ前に確認しましょう。
【声かけの例】
「パパ、お家を出るときに『いつになったら帰るよ』って言ったかな?」
と家を出る前にした約束を確認してから遊び始めましょう。
もし、“公園に着いてしまうと、遊具に夢中になって話を聞かない”という場合であれば、公園に着く少し手前で確認をしましょう。
【ステップ2:終わりを予告する】
約束していた時間が迫ってきたら、もうすぐ終わりの時間であることを子どもに予告しましょう。
突然「おしまい」と伝えても、なかなか気持ちを切り替えることは難しいものです。終了時刻を予告することで、おしまいにする心の準備ができる時間を作ってあげます。
10分ほど余裕を持って伝えると、大人も心の余裕を持って子どもの気持ちが切り替わるのを待つことができやすくなります。
【声かけの例】
「時計の長い針が5になったらおしまいだよ」
「もうすぐアラームがピピって鳴るよ」
その際のポイントとして、終わりを明確にしましょう。
大人であれば、“キリのいいところで切り上げる”ということが調整できますが、子どもはそれがなかなかうまくできません。
なので、「これをしたら終わりにしようか」と区切りを明確にしてあげましょう。回数を決めたら「あと2回―」「あと1回―。これで最後だよ」とカウントダウンをしましょう。
【声かけの例】
「あと2回すべり台を滑ったらおしまいだよ」
「10秒数えたら砂場のお片付けしようか」
大人側が一方的に区切りを決めると、子どもが不全感を抱く可能性があります。「あと2回すべり台を滑ったらおしまいにしよう」と提案し、子どもが「うん」と承諾してからカウントダウンをすること理想的です。
しかし、カウントダウンすることに慣れていない子や切り替えが苦手な子は、大人側が区切りを決めてカウントダウンをして、“カウントダウンしたら終わる”という経験を積みましょう。
*注意*
「(砂場の)山が完成したら!」など、終わりが明確になりにくい区切りはやめておきましょう。その場合は、「どうなったらお山は完成するの?」と“子どもなりの終わりの基準”を尋ねてみましょう。それが妥当であれば、それを受け入れて待ちましょう。
しかし、「山が高くなったら!」など、終わりの基準が不明瞭であることが多いかと思います。その場合は、「あと3回砂をかけたら終わりにしようね」と回数で決めるとスムーズです。
また、「砂場の写真を撮ってパパに見せよう」など、完成した作品を写真に収めることで、子どもの気持ちが切り替えやすくなることもあります。
【ステップ3:子どもの気持ちに共感する】
帰る時間になって子どもが「帰りたくない!」と言ったら、まずは「帰りたくないよね」「楽しかったね」と共感してあげてみてください。“気持ちをわかってもらえた”と思うだけでも落ち着くことがあります。
そのときに、「あーはいはい。帰りたくないね。でも帰らないといけないでしょ」など、適当にあしらってしまうと意味がなくなります。あくまで理想ですが、「うんうん。帰りたくないよね」と1分くらい寄り添ってみてください。その後に、次のステップ4と5に移行してみるとスムーズに行くことが多いです。
【ステップ4:次の楽しみを伝える】
“楽しい公園遊びが終わる”ではなく、“次の楽しいことが始まる”と思うと、気持ちの切り替えがしやすくなります。色んな楽しみの引き出しを用意しておくと、そのときの子どもにヒットするものがあるかもしれません。
【楽しみの例】
「お家でアイス食べようか」
「お家でママとブロックしよう」
「葉っぱの写真撮りに行こう」
「お歌歌いながら帰ろう」
「にゃんにゃんいるか探しながら帰ろう」
「ワンワン見に行こう」(帰り道にいる犬を見に行く)
「どんぐり拾いながら帰ろう」(あらかじめどんぐりを用意しておき「あ、あっちにどんぐりあるよ」と言って用意しておいたどんぐりをこっそり落とす)
【ステップ5:最終手段・担ぎ上げて帰宅する】
1〜4のどれをしてもダメなときはあります。現在、2歳になったばかりの娘を子育て中ですが、私自身、どうしてもダメなときは担いで帰宅します(笑)泣いても暴れても、担ぎ上げて帰宅します。
(私はいつでも担いで帰宅できるように、必ずヒップシートをつけて外出します笑)
担ぎ上げて帰宅しながら、「あ、あそこに鳥さんがいるよ!」「あ!葉っぱが赤色だ!」など、見えたものを口に出したり、娘の好きな歌を歌ったりすると気持ちが切り替わって泣き止んでくれることが多いです。
【注意:してはいけないこと】
1〜4のどれをしてもダメなときに、してはいけないことが2つあります。
①1と2で決めた約束を変更すること
②「置いていくよ!」と脅すこと
この2つをすると、約束を守らない子どもになってしまいます。
①をすると、「泣けば約束を守らなくてもいい」「駄々をこねればわがままが通用する」と学習してしまいます。その結果、“この間は泣いたら遊べたのに今日はダメだな。じゃあもっと激しく泣いてみよう”と、余計イヤイヤが激しくなる可能性が大です。
“泣いてもダメなことがある”と教えることも必要です。なので私は1〜4をしてもダメなときは担いで帰宅します。
②がダメな理由は、脅し育児になるから、ということもそうですが、親が言ったことを守らないことになるからということも大きな理由です。例え「置いていくよ」と言っても、親が本当に置いていくことはありません。(それは絶対にしてはいけません)
子どもは親の背中を見て育ちます。親が言ったことを守らなければ、子どもも言ったことを守りません。しないことは口にしないということが大切です。
【さいごに:大切にしてほしいこと】
ここまで、公園から帰る方法と注意点を解説しました。その中で、大切にしてほしいことがあります。それは、“公園での遊びを終えられたことを褒める”ということです。「すべり台2回でやめられて偉かったね」「ママとの約束守ってくれてありがとう」と声をかけてください。
例え、泣いて担ぎ上げて帰宅したとしても…落ち着いたときに「お!泣き止んだね!えらい!」と褒めてみてください。(親側の気持ちを切り替えるのも大変ですが…)
褒められることで、“約束を守ったら褒められる”ということを学びます。その経験を積み重ねると、約束を守ろうという気持ちが芽生えます。
子どもは欲求のコントロールがとても苦手です。ですので、今日紹介した方法を試しても、すぐにはスッと帰られるようにはなりません。
最初は大変ですが、繰り返すことで子どもも少しずつ気持ちの切り替えができるようになります。根気強く繰り返しましょう。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
今回の記事が皆さんのお役に立ちますように…。