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NY原油25日:イエメン情勢の悪化、米増産鈍化を受けて、上昇

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油5月限 前日比1.70ドル高

始値 47.72ドル

高値 49.46ドル

安値 47.00ドル

終値 49.21ドル

米原油生産の伸びが鈍化していることが好感され、上伸した。

米エネルギー情報局(EIA)によると、全米原油在庫(3月20日時点)は前週比+817万バレルの4億6,667.8万バレルと急増しており、米国内需給が緩和状態にあることが再確認されている。クッシング地区の在庫も前週比+191.1万バレルの5,631.4万バレルとなっており、在庫保管能力の限界を試す流れには変化が生じていないことが確認されている。これを手掛かりに一段と売り込まれても違和感がなかったが、本日は米産油量の伸びが鈍化していることが、原油相場の反発を招いている。前週の日量941.9万バレルに対して942.2万バレルとなっており、依然として増産トレンドそのものは維持されている。ただ、前週比での増加幅は僅かに3,000バレルとなっており、「原油相場急落→生産調整」の流れがイメージされ易い状況になっている。

現在の在庫増加トレンドを考慮すれば、仮に米国内のシェールオイル増産にブレーキが掛かったとしても、米国内需給バランスの均衡化が達成できる状況にはない。その意味では、原油相場は引き続きダウンサイドリスクを抱えた状態にあるとみている。ただ、米国の増産傾向にブレーキが掛かり、更には減産対応を迫られるような事態になれば、一段と需給緩和化が進むことも回避できることになり、原油相場が大きく値崩れを起こす必要性は後退することになる。

一方、地政学的環境も原油相場にポジティブ。イエメンでイスラム教シーア派の武装組織「フーシ派」がハディ暫定大統領の拠点に進撃し、ハディ氏は大統領宮殿から退避している。ハディ政権はサウジアラビアの支持を受けている一方、フーシ派はイランとの協力関係にあり、イエメンの内乱が中東諸国全体に波及するリスクが警戒されている。サウジアラビアなどは必ずしもイエメン情勢への介入に積極的ではないと言われているが、中東の地政学的環境が悪化していることも、原油相場の下支え要因になっている。

石油輸出国機構(OPEC)が高水準の産油量を維持する中、短期的には大きく上昇する要因は見当たらない。地政学的環境には要注意だが、少なくとも反発力は限定された相場展開が続く見通し。目先は、在庫積み増し圧力が原油相場の上値を圧迫するフローが維持される可能性が高い。いずれかの時点で年後半の需給均衡見通しを織り込む必要性が高まるが、少なくとも在庫増加トレンドが維持されている間は、買い急ぐ必要性は乏しいだろう。なお、40ドル割れのリスクも想定しておくべきと考えている。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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