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スマホ持ち若年層の動画配信・共有サービスの浸透度を探る

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 旅行先で撮った映像を見返して楽しむことも

知名度ナンバーワンのYouTube、ツイキャス・Vineは10代に人気

動画の撮影や再生が気軽に行えるスマートフォンが加速度的に若年層へ普及している。それに伴い、写真と同じ感覚で動画を撮影し、共有する風潮が若年層間に形成されつつある。その需要に合わせ、気軽に投稿や視聴ができ、動画とその感想を他人と共有する橋渡しとして、動画配信・共有サービスの利用も活発化している。リビジェンでは2014年1月に10代から30代の若年層でスマートフォンを持つ人を対象に、スマートフォンで使える動画配信・共有サービスとして、YouTube、ニコニコ動画、ツイキャス(TwitCasting)、Vineを挙げて浸透度の調査を実施、その結果を発表している。

それによれば、知名度(知っているか否か)では断トツでYouTubeがトップでほぼ全員、次いでニコ動が2/3という結果となった。

↑ 知っている動画配信・共有サービスは(複数回答)
↑ 知っている動画配信・共有サービスは(複数回答)

例示した4サービスをいずれも知らない人は1.4%のみ。ほぼすべての人が少なくともいずれか1つを知っている。あらためてYouTubeの普及度の高さを再確認できる。

これを今件調査の範囲内で世代別に区分再集計すると、YouTubeは全世代でこよなく知られている一方(10代~30代すべてで9割以上)、他のサービスでは世代間の格差が生じているのが分かる。

↑ 知っている動画配信・共有サービスは(複数回答)(一部、世代別)
↑ 知っている動画配信・共有サービスは(複数回答)(一部、世代別)

ニコニコ動画はやや20代が高めだが、それなりにどの世代からもよく知られている。他方ツイキャスとVineは圧倒的に10代の値が高く、両サービスがごく若い若年層に好まれていることが分かる。

気軽に生中継が出来るツイキャス、6秒までの再生が可能なお手軽短時間動画投稿サービスVine、双方とも「難しいことを考えずにイージーな動画体験ができる」点(それこそメールやプリクラと同じ感覚で使っている)が、10代に受け入れられ、浸透しているものと考えられる。彼ら・彼女らには、YouTubeやニコニコ動画ですらハードルが高く、近寄りがたい部分があるのかもしれない。コンセプト的には動画共有の新スタイルSnapchat(スナップチャット)とはで紹介したSnapchat(スナップチャット)が該当するが、やはり海外では若年層を中心に普及が進んでいる。同じような事情によるものだろう。

見たり聴いたりもYouTube

単に知っているだけでなく、実際にそのサービスで視聴・閲覧の経験を尋ねても、ほぼ同じ結果が出る。YouTubeの圧倒感は変わらない。

↑ 視聴・閲覧したことがある動画配信・共有サービスは(複数回答)
↑ 視聴・閲覧したことがある動画配信・共有サービスは(複数回答)

「知っている」と比較すると、YouTubeがほとんど同じ回答率なのに対し、ニコニコ動画は約15%ポイント、ツイキャスは約8%ポイントと大きな下落を示している。これは「知ってるけど観たことは無い」との人がそれなりに居ることを表している。必要性を覚えない、他のサービス(YouTube)で充分と考えているのだろう。

今調査では先行サービスのYouTubeやニコニコ動画と比べると、ツイキャスやVineは一段低い値の結果が出ている。これらのサービスは仕様面、機能の上では先行サービスに劣る面もあるものの、需要に合わせた割り切り度を逆にセールスポイントにしている(無料でスマホ上で使えて動画を扱えてプライベート性が高く、しかも簡単、多種類の端末・OSで使用可能。いずれもトレンドのポイントに他ならない)。かじ取りさえ上手くこなしていけば、今後ターゲットに据えた層(特にごく若い世代、スマートフォンなどのモバイル端末利用者)を中心に、海外におけるSnapchat同様、より多くの若年層に浸透していくに違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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