中国とインドの多さに驚く、世界の携帯電話契約者数(2014年)
人々のコミュニケーションの様態を確実に変化させた携帯電話という存在。今世界ではどれほどの人が携帯電話を契約しているのだろうか。ITU(国際電気通信連合)の最新データから確認する。
今件は単純に、携帯電話(従来型携帯電話、スマートフォンの双方)の「契約者数」を数え、その上位国を並べたものである。SIMカードを使い分ける利用スタイルをすることで、一人で複数の契約をしている場合もあるが、その時は延べ人数としてカウントされてしまうため、人口以上の値を示す国も生じてくる。
ITUのデータベースでは最古は2000年、最新は2013年の年次データが収録されている。そこで各値を抽出した上で2000年と2013年における上位陣をグラフ化し、状況の変化を垣間見る。
まず注意すべきことは、両グラフでは縦軸の桁が「1ケタ違う」こと。これは2000年からの13年間で、それだけ契約者数が増えた状況の表れとなる。上記で説明した重複カウントの件はあるが、1ケタ分携帯電話契約者が増えたことは、その分飛び交う情報量が増え、その情報に触れる人も増えたことを意味する。契約者間での情報の行き交いを考えると、飛び交う情報量は累乗的なものとなる。
さらに、「十年余りの携帯電話普及率推移をグラフ化してみる(新興国編)」などで詳しく解説しているが、新興国の普及率上昇は先進国のそれと比べて極めて著しい。13年の間に順位にも大きな変動が生じている。とりわけ中国とインドは他の国から抜きんでており、実人口同様に人海戦術モード状態にある。
次に示すのは、その伸び率の試算。2000年から2013年に渡る成長率を記したもの
インドやパキスタン、バングラディシュなどの新興国の伸び率が高い。そしてなによりもナイジェリアの値が異様なまでに飛びぬけている。同国の2000年時点の契約者数は3万人、2013年では1億2725万人なのだから、これだけの値が出て当然。「総務省の世界情報通信事情」などの現地情報によると、携帯電話そのものの契約数は今後さらに伸びそうな感はあるが、一方で3Gサービス加入者数は約275万人に留まっている。つまり大部分はシンプルな従来型携帯電話(フィーチャーフォン)を利用している。
携帯電話契約・利用者数の多い・少ないは、そのまま携帯電話を介して取り交わされる情報量の多少をも意味する。インターネットへアクセスが可能な端末なら、さらに「世界に情報を発信し、世界の情報を入手できる人」の数をも意味することになる。
今後携帯電話がますます普及し、さらにインターネットへアクセスできる端末が増えてくれば、各国の動向、そして世界全体は大きな変化を遂げるに違いない。願わくば数年前のような、やもすれば無秩序な暴走と、多くにおいて状況の悪化を生み出したような悲劇が繰り返されることのないように、祈りたいところだ。
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