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遊ぶのに最適だったのに急に反撃されて、敵認定される米袋

藤緒ミルカエッセイ漫画家・イラストレーター

猫たちの生活に潤いを、なんて考えて楽しく過ごすアイテムとして色々提供することがある。と言っても段ボール箱を置いておく…と言うのが定番なんだけども。

何がそんなに嬉しいのか、空箱があると必ず猫が入る。そういえば身に覚えがないわけではない私は思う、幼少の頃押し入れにあった衣替え用のカゴから中に入ってる服を全部出して、そこに入ってご満悦だったよなぁ…と。ただ入ってるだけ。小学校低学年の頃だったと思うけど、割と大柄だった私がギリギリ体を捩じ込める大きさのカゴだったので、ちょっと体勢を変えようとするとカゴがギチギチなって母にたしなめられた。

猫たちもそうなのか?と思わんでもないので、ちょっと気持ちが分かる。入る箱は小さい程喜ばれてるような気がする。

そんなある日、別に遊び道具として提供する気はなかったんだけど、偶然遊んでくれたものがあった。もう、猫はなんでもいいのだ。普段家の中にないものが転がっていたら、それは即遊び道具となる。

うちも実家も農家ではないけども、お米は毎年玄米でドーンと買う。1袋が20キロ。この米袋が猫たちに好評だったわけですわ。なかなか丈夫で破けづらいので、爪を研いでみるもよし上に乗って温めてみるもよし。この「単に乗ってるだけ」と言う行為が私には不思議なのだが、何が嬉しいのか今回ご提供した米袋の上半分に乗る権利をめぐって、ポッちゃんと朔ちゃんが取っ組み合いを始める。陣地争いと言うことなんだろうか。

小学校からの帰り道、路肩の白線や横断歩道の白い部分のみを歩いて帰ると言う謎ルールを自分に強いて、途切れた部分はジャンプして向こうの白線に乗る!と言うよく分からんゲームをしていた記憶があるけど、それに似てるのか?

この米袋から出たら負け…的な。

しかし、勝負(か?)は案外早くけりがついていた。我が家の床はカーペットの部分が多く、その米袋を置いたところもカーペットの上。カーペットとクラフト紙は実に相性がいい。この場合悪いと言うべきか。踏ん張ったポッちゃんの足は米袋に乗ってスーーーっと滑り、米袋の反撃に遭った彼らは一気に陣地争いの熱が冷めた。米袋が共通の敵認定された瞬間だった。

また忘れた頃に遊ぶかもと思いしばらくそのまま置いていたが、米袋の反撃は意外に彼らの心に残っていたようで、その後見向きもされなかった。

もう遊んではくれないと分かるまで部屋には米袋が放置されるわけだけど、そんな風にして部屋に散乱する「猫が遊ぶかもしれない何か」はなかなか片付けられない。そんな言い訳をして私はまた片付けをサボるのであった。へへ。

エッセイ漫画家・イラストレーター

猫が大好きで3匹と暮らしている、猫溺愛妖怪です。毎日猫に適度に振り回されながら漫画を描いています。この愛すべきツンデレをアナタに伝えたい。

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