受け取った郵便物数は130.3億件…郵便物配達数の実情を公開資料で検証
日本国内ならば原則的にどこへでも均一料金で郵便物を配達する郵便事業は、情報や物資の伝達を担うインフラとして欠かせない存在。一方で昨今では携帯電話やインターネットの普及に伴い、情報伝達手段としての優位性が失われ、利用機会が減少している。そこで、日本の郵便事業における郵便物の配達数動向を、日本郵便などの公開データを基に確認する。
検証する値は引受郵便などの件数。要は郵便局で配達のための引受を行った件数。事故などによる喪失事例もゼロではないが、ほぼ配達数と同じとなる。また、内国(国内向け)に加え、海外向けへの郵便物となる国際(差立=郵便物などの発送)を合算したものが、引受郵便物の総数となる。もっとも件数はけた違いで内国の方が多いため、総数の動向はほぼ内国と同じとなる。
各種データの取得元は日本郵政グループのウェブサイトに収録されている旧日本郵政公社 統計データベース、および日本郵政グループが毎年発行しているディスクロージャー誌やその関連資料。
戦前は1910年代後半までは大人しい伸び率だったが、その後急速な盛り上がりを見せた後はほぼ50億件前後の横ばいで推移する。戦後に入ると当初は戦前の半数程度にまで落ちていたがその後は利用件数が急速に増え続け、前世紀末でやや上昇度合いがゆるやかになるものの、2001年度にはピークの263.1億件。
その後は緩やかな下り坂を見せていく。インターネットの普及に伴う情報伝達手段としての立ち位置の相対的な下落が、大きく影響していると考えれば道理は通る。
直近の2023年度は130.5億件。ピーク時の5割足らずの件数にまで減っている。なお2020年度において大きな落ち込み(特に国際(差立))が生じているのは、新型コロナウイルスの流行によるところが大きいと見てよいだろう。
最後は郵便物とは別勘定の小包、荷物。現在の制度ならばゆうパックやゆうメールが該当する。
これまでのグラフとは様相が大いに異なる動きを示している。2003年度あたりから急激に上昇を見せ、2002年度では4.4億件しかなかったが、直近の2023年度では38.8億件と9倍近くに成長している。2017年6月1日からの料金改定のリリースでも人件費上昇以外に「大型の郵便物などの増加により、持戻り・再配達を行うことによるコストが増加」との言及があり、通販やネットオークションなどによる利用が加速化している実情がうかがい知れるが、今件グラフからもそれを裏付けることができよう。
もっとも2018年度の45.9億件をピークに、それ以降は漸減しているのが気になるところではある。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。