「韓国音楽番組で1位獲得」。Lovelyzの新曲「Obliviate」は”片思い専門家卒業”の楽曲!
1年4か月ぶりの楽曲発表。ぐっと大人っぽく変化
K-POPの8人グループ「Lovelyz」が新たな楽曲「Obliviate」を発表した。
「オブリビエイト」とは、英語で「忘却」。韓国の現地音だと「オブゥリビエイトゥ」が近い。
9月1日に発売となったアルバム「Unforgettable」のタイトル曲(リードトラック)でもあるこの楽曲。ここで2014年デビューの彼女たちは大きくイメージチェンジした。
グッと大人っぽい姿だ。
韓国では9月8日のケーブルおよび衛星放送局「SBSfunE」の音楽番組"THE SHOW"のランキングで1位を獲得した。6つある音楽番組の一角だから、これはなかなかスゴいことだ。
この曲、こういった一面がある。
”制作者側の意図を少しでも聞くと、良さがよりグッと伝わってくる”
そうすると今回の1年4ヶ月ぶりの楽曲で彼女たちが大きくイメージチェンジした理由が分かるのだ。2014年のデビュー以降からの長い期間をかけての作り込みがスゴい。
LOVELYZというグループ、やはり解説を少し入れながら文学的に紐解いていく楽しみのあるグループだ。その分、少し世話が焼ける。しかしこれがこのオリジナリティあふれる世界観を売りにするグループの愛で方だ。特に今回の「オブリビエイト」はストレートに「楽しい」「気持ちを代弁してくれてる」といった分かりやすい感情が押し寄せてくるわけではないから、少しばかりの「説明」「解説」が重要だ。
イントロではギターの音色「アルペジオ」が印象的
まずは「Obliviate(オブリビエイト)」というタイトル。
制作者側(所属事務所)から届いた資料には「悪い記憶を忘れさせてくれる呪文を意味する」とある。この呪文により「心の痛む愛を忘れようとする哀切な気持ちを歌う」ことが楽曲のメインテーマだ。
映画「ハリー・ポッター」にも”OBLIVIATE”という同名の呪文が出てくる。効果は「忘れよ」。「ラテン語のOblivio『忘却、忘れること』+英語のate(~させる、~する、などの意味の接尾語)の合成語」といった解説もある。
楽曲を聞いていくと、イントロから大きく以前のLOVELYZのイメージから変化したことがすぐに分かる。
派手な管弦楽のサウンドとディープ・ハウスベースが印象的な曲。アルペジオ技法で表現したシンセサイザーサウンドにLovelyzらしさを込めた(所属事務所)。
「アルペジオ」とは、冒頭のギター音のことで、「和音を構成する音を一音ずつ低い方、もしくは高い方から順番に引いていくこと」。制作陣はまた、「(ギター音が)急に吹き荒れる感じを出しながらも、(続く)豊かなサウンドがすぐに耳を魅了する」とする。
サビの「ノルル インヌンダ」=あなたを忘れる
さらに楽曲は、サビのパートでより強い表情を見せていく。
メンバーのリュ・スジョンも作詞に加わった歌詞では、”Obliviate”と呪文を繰り返しながら、「永遠に」「すべて」忘れると言い切る。
Obliviate Obliviate
あなたを 忘れる
(ノルル インヌンダ)
Obliviate Obliviate
見送ってあげるわ さあ さよなら
(ポネジュルケ イジェ アンニョン)
あなたで溢れていた 過去の日々
(ノロ カドゥクハン チナンナル)
永遠に あなたを すべて 忘れる
(ヨンウォニ ノル モドゥ インヌンダ)
「片思い専門家を卒業」
この曲で何を表現したかったのか。制作者側はこう記している。
2014年にデビュー以降、叙情的なダンス曲でずっと愛されてきた「片想い専門カールズグループ」Lovelyzが、そのとても長い純愛譜にピリオドを打つのだ
確かに今回の「オブリビエイト」では、これまでになかった強めの表情とぐっと大人っぽい衣装で、強めの内容を歌う。ただし、よく読んでいくと「呪文を繰り返さないといけないほどに、忘れられない感情」を歌うものであるのだ。完全に強いわけではない。さらに、しっかりと辿っていくと「これまでのらしさ」も示されている。制作者側はこうも説明する。
Lovelyzの長い不在(1年4か月)でファンがロスになった「儚い感性」を200%埋めてくれるトラックでいっぱいのアルバム。どんなコンセプトであってもLovelyzが描くカラーはすぐにLovelyz色に染まることを証明している。
儚さ、とはこのグループがずっと掲げてきた音楽コンセプトのひとつだ。今回の「オブリビエイト」ではサウンドと合わせ、記憶を忘れようとする感情もその「儚さ」。しかし、制作者側はこれを「哀切」という表現で伝えている。もはやキャピキャピももじもじもせず、別れを仕方ないものと受け入れる姿でもない。強い呪文で意思をもって哀しく忘れようとする。これが彼女たちの2020年の成熟した姿だ。
いつ、彼女たちは幸せになる??
少しだけ制作者側(所属事務所)の説明の補足を、主観を交えつつ。
LOVELYZは2014年のデビュー以来、まず「Candy Jelly Love」「アンニョン (Hi~)」「Ah-Choo」の”少女三部作”にて、片思いを歌ってきた。
その後、2016年4月以降の「Destiny」「WoW!」「チグム ウリ」は”愛の三部作”とされ、少し大人になった彼女たちが愛を歌った。
そして2018年11月の「Lost N Found」では遂にはっきりと「告白」。しかし2019年5月の前作「Beautiful Days」では、もう「別れた後でもまだ好き」という感情を表現した。
迎えた2020年。今回は「忘れようとする思い」だ。しかも呪文を使って必死にやる。
だとしたら、いったい、彼女たちはいつ幸せになるんですか?
……ファンが幸せにするよりほかないのだ。ホントによく出来ている。例えば今回の「音楽番組での1位」のように。本当に長い時間をかけて作りこまれた「超長編ストーリー」の一端としても、この「オブリビエイト」をぜひご堪能をあれ。
- 今回の活動期間に合わせ、現在の彼女たちが過去の楽曲から「オブリビエイト」までを歌う動画も公開された
韓国の音楽番組へのランキング集計には、海外からも本稿で紹介した「公式ミュージックビデオ」の閲覧などで参加可能だ。
メンバー紹介