リブゴルフと放映権契約を結んだTV局に対し、全米記者クラブが異例の声明。「心の底から遺憾」
リブゴルフが念願のTV放映権契約を結んだことを正式発表した翌日、全米のメディアで構成されるナショナルプレスクラブ(全米記者クラブ)が「心の底から遺憾に思う」と異例の抗議声明を会長名で発表した。
リブゴルフがCWネットワークとの放映権契約締結を大々的に発表したのは1月19日(米国時間)のこと。米スポーツイラストレイテッド誌によれば、契約時に「契約料」あるいは「放映権料」といった名目の大金は、リブゴルフ側からもCWネットワーク側からも動かず、当面は広告収入からの収益を両者が折半するという内容で3年契約とされている。
リブゴルフからのこの契約発表を受け、ナショナルプレスクラブは20日、ジェン・ジャドソン会長名で声明を出し、CWネットワークの親会社であるネクスタ―を名指しで強烈に批判。一方的に契約解消を求めている。
声明は終始、強い語調で、こんなふうに綴られている。「ナショナルプレスクラブはネクスタ―がリブゴルフと契約を結んだことを心の底から遺憾に思う。リブゴルフはサウジが評判を回復する目的で創設したものだ。そのリブゴルフにネクスタ―が歩み寄ったことが、私たちには理解できない」
ジャドソン会長は声明の中で、2018年にワシントン・ポストの記者が惨殺された事件に言及し、「リヤド(サウジ側)は、あの殺人を忘れさせようとしているが、私たちは決してそんなことはさせない。ネクスタ―の従業員の多くはジャーナリストだ。彼らに働きかけ、ネクスタ―の経営陣に真実を伝えて説得してもらう。ネクスタ―には正しいことをしてもらいたい。リブゴルフとの契約を解消してもらいたい。もし解消しないのなら、私たちは行動を起こす。(リブゴルフの中継を)『見るな』『スポンサードするな』と呼びかける」と、怒りを露わにしている。
ナショナルプレスクラブは1908年に創設された全米規模の記者クラブ。ワシントンDCに本拠を置き、米国の主要なメディア企業やジャーナリストなど3000人以上で構成されている。
そのナショナルプレスクラブから、強烈な批判と怒りが込められたこうした感情的とも受け取れる声明が発せられるのは、きわめて異例と言っていい。
昨年6月にリブゴルフが創設されて以来、グレッグ・ノーマンCEOは全米のTV局に放映権契約を打診し、交渉し続けてきたが、なかなか契約は得られなかった。そんな中、「ついに放映権契約を獲得した!」と、ノーマンCEOは誇らしげに発表したばかりだ。
CWネットワークは主として10歳代から30歳代の若い層をターゲットとしたドラマや映画を放映している新興のネットワーク。これまでスポーツ分野を扱った実績はなく、リブゴルフとの契約はCWネットワークにとって新たな挑戦になると見られている。
果たして、CWネットワークと親会社ネクスタ―はナショナルプレスクラブを敵に回したまま、突き進むのか。それとも、新たなビジネス・チャンスは消えることになり、リブゴルフの念願のTV中継は再び暗礁に乗り上げるのか。今後の展開を見守りたい。