進化熟成した「CBR1000RR」にスポーツ仕様「SP」が追加! 軽量化や専用サスペンションを装備
ホンダの「CBR1000RR」がマイナーチェンジして登場。エンジンと車体各部を改良するなどトータル的な性能向上を果たし2月14日に発売される。
まずエンジンに関しては吸排気ポートの形状変更により、従来モデル比で4kW高い91kW(約123ps)の最高出力と2Nm高い97Nmの最大トルクを発揮。エキゾーストパイプには緻密な空燃比制御に貢献するO2センサーを新たに採用したことで、排出ガスの浄化と燃費性能向上を達成した。また、2速から6速までのギア比をクロスミッション化し、スムーズなギアチェンジを実現。
ライポジもハンドル位置を変更しステップ位置を10mm後退させるなど、よりスポーティーな設定とするとともにサスペンションセッティングを変更することで、車体コントロール性を向上。車体面でも新形状のウインドスクリーンを採用することで空力性能を高めるなど、各部の熟成を図ることでスポーツ性能を高めているのが特徴だ。また、イグニッションキーにも新たに開発したウェーブキーを採用し、操作感とキー自体の質感や剛性も高められた。さらにブレーキシステムにはスーパースポーツ用としては世界初採用された、電子制御式「コンバインドABS」を搭載した仕様も用意されている。
そして、今回のトピックはさらに上級版となる「CBR1000RR SP」がタイプ追加されたことだろう。「SP」は“The Edge of CBR”を開発のキーワードと掲げ、スタンダード版CBR1000RRをベースに車体の軽量化や専用サスペンションを採用することなどで、スポーツライディングの楽しみを追求したモデルだ。
エンジンは各気筒のピストンとコンロッドの重量バランスを精密に選別して組み立てるという手法により、高回転域でのスムーズな回転をさらに向上。前後サスペンションはオーリンズ製となり、フロントには左右独立の減衰力調整機構を備えた「NIX30」を採用。加えて、鍛造トップブリッジやステアリングステムを専用開発することで、優れたハンドリングを実現している。リヤには伸び側と圧側の減衰力機構が完全に独立した「TTX36」を専用開発のクッションロッドとともに組み込み、優れたトラクション性能を実現している。
また、フロントブレーキキャリパーにはブレンボのモノブロック4ピストンタイプを採用するとともに、標準装備の電子制御式コンバインドABSは、コーナー進入時のコントロール性を重視した前後制動力配分とすることで、タイヤのグリップ力をより高次元で引き出すことができるSP専用セッティングとした。前後タイヤもスポーツ走行に対応したピレリ製「PIRELLI DIABLO SUPERCORSA SP」を標準装備する。
さらに1人乗り専用のシートレールは軽量化が図られ、専用のシングルシートカウルを装着。硬度を高めて表皮パターンを変更するなどグリップ力を高めることで、車両の挙動をよりダイレクトに感じられる設定となっている。なお、「SP」はホンダ伝統のトリコロールをイメージした専用カラー1色のみの設定だ。
気になる価格だが、「CBR1000RR」がカラーリングやABS有り無しなどによって1,428,000円~1,627,500円の間。「CBR1000RR SP」が1,974,000円ということで、エンジン精密組み立ての手間やプレミアムなパーツが奢られている割にはお値打ちプライスと言えそうだ。ただ、ユーザー心理としては、輸出用フルパワーモデルとの選択の間で葛藤が生まれるかも。最高出力で50ps以上パワフルな逆車の「CBR1000RR」が、国内仕様の「SP」よりだいぶ安く変えてしまうというジレンマ。もちろん、バイクの魅力はパワーだけではないが、これが「スーパースポーツ」のカテゴリーとなると、そこに占めるウエイトは大きいと言わざるを得ないだろう。