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【なぜ】畑岡奈紗が2Rスタート前に過少申告でLPGAツアーの試合を失格処分に。何が起こったのか?

AKI GOLFゴルフを愛するシングルプレイヤー
畑岡奈紗選手/JLPGA公式HPより引用(lpga.or.jp)

ニュージャージー州で行われている米国女子ツアーの1戦で、第2ラウンドスタート前に畑岡奈紗選手が失格となった。

第1ラウンド・9番ホールのセカンドショットで放ったボールが長い草の中に入った際に、規定の捜索時間の3分を超えて捜索していたためとLPGAは理由を発表している。

捜索のシーンに立ち会っていた米テレビ中継局のリポーターが申し出を行い、映像を検証した結果、わずか25秒だけ規定の時間をオーバーしていたそうだ。

畑岡選手本人は「当日に同伴者から指摘されるならまだしも、次の日に第三者に指摘されて失格となるのは納得いかない」と話している。

ここでは今回の失格処分の経緯を詳しく説明したい。

ボール捜索時間の規定の曖昧さ

まず先述の通り、現行のルールではボール探しの時間は3分までとされている。

ただしこれは「今からボールを探し始めます」と宣言してからストップウォッチで測るわけではないため、どうしてもアバウトな3分という規定の中で捜索を行わなければならない。実際どのタイミングを捜索開始の時間とするのかなど、曖昧な部分も多いため、今回畑岡選手が捜索時間をオーバーしていたとみなされて「納得いかない」とコメントしていることには頷ける。

また『テレビ中継局のリポーターが申し出を行い映像を検証した結果、わずか25秒だけ規定の時間をオーバーしていたことが判明した』ということであれば、毎回競技委員などが捜索時間を測らないと、不公平が生じるのではないかとも感じる。

はっきり言って、ボールを試合中に3分を少し超えるくらい探しているプロゴルファーは、毎週世界中のツアーで多くみられるだろう。今回のようにきっちり時間を測るのであれば、全選手そのように計測を行えるような体制をツアー運営側は整えるべきではないだろうか。

なぜ失格になったのか

「捜索時間を少しオーバーしていただけで失格になるの?」と思う方も多いだろう。実際には捜索時間をオーバーしていただけでは失格にはならない。

畑岡選手はセカンドショットを探す際に規定時間をオーバーしていたため、本来であれば球は紛失したとみなされ、1罰打を加えて2打目地点から4打目として打つ必要があった。

しかし畑岡選手本人は捜索時間がオーバーしていたとは思っていなかったため、見つかったボールをそのまま第3打としてプレーした。これが『誤所からのプレー』と判断されてしまったのである。

誤所からのプレーは本来2罰打(一般の罰)を加える必要があるが、これを加えずにスコアを過少申告したとして、畑岡選手は失格処分を受けることになってしまったのである。(※1ホールでも実際のスコアより少なくスコアを申告した場合、競技が終了した後であっても、過少申告による罰で失格としなければならない)

もしアテストの前に指摘を受けていれば、失格処分となることはなかったであろう。

まとめ

確かに畑岡選手は今回ルール違反を犯し、その結果ゴルフ規則に則り失格処分となった。

しかし今回の失格処分を畑岡選手本人が「納得いかない」と話していることには、筆者も同意する部分が多い。

このような失格処分を下すのであれば、今後は全選手に対してボール捜索時間の厳密化を行うようにLPGAツアーには要望したい。

ゴルフを愛するシングルプレイヤー

ゴルフを愛してやまないシングルプレイヤー。慶應義塾大学商学部卒業。最大飛距離300ヤード以上を誇るビッグドライブが武器。ベストスコア69。2024年度四国アマ出場選手。ゴルフ上達のために蓄えた豊富な知識を世の中に広めることを目標に活動している。「フォロー」ボタンをクリックすると、他の記事も読めるようになります。ぜひフォローをお願いいたします。

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