想いを仕事の情熱に！香りで夢をかなえる／株式会社グリーディー　阿部楓子さん

岡沼美樹恵

フリーランスライター／編集者／翻訳者

2023/9/25(月) 9:00

宮城の復興をこの目で見たくて、仙台に残る決断を

株式会社グリーディーのCOO、阿部楓子さん。“欲張りな”という意味を持つグリーディーで、彼女が成し遂げたいこととは？　そして、多様な働き方が叫ばれる中で、彼女が選んだ選択とは―？

秋田県出身で、大学進学とともに仙台へやってきた阿部さん。

「Uターンという選択肢もあったのですが、ちょうど大学3年生のときに東日本大震災が起こりまして。自分の目で宮城の復興を見たいという思いが強くなったんです」。

そんな彼女が選んだのは、広告業界。「フリーペーパーの制作やイベント企画などを行う会社で、プランナーとして、新卒で入社しました。入社した年に妊娠が発覚して、その年に結婚出産とバタバタ（笑）。8ヶ月ぐらいで現場復帰して…っていう感じで。結局その会社では7年勤務しました」。

前職在職中に、運命の出会いが

前職在職中に、阿部さんが運命的な出会いを果たしたのが、株式会社グリーディー代表取締役でアロマブレンドデザイナーの浜出理加さん。「私が広告を担当していた飲食店さまで、『香りのマルシェ』をやられていて、そこでデリカさん（浜出さん）に初めてお会いしたんです。そこからデリカさんがやっている『ハッピーウーマン』というイベントを手伝ってくださいっていうことで事務局のお手伝いをして。それがきっかけで、一緒に働いてみないかっていう感じになったんです」。

もともとアロマなど「香り」に興味があった阿部さんですが、「まさかそれで食べていけるとは思っていなくて。いろいろな方のお話を聞きながら、自分は何がしたいのか30歳を手前に子育て、仕事、これからのことを考える転機でした。そんなとき、デリカさんの生き方や自分がどうなっていきたいかを考えるきっかけをたくさんいただき、もともと興味のあったアロマや美容から1人目の産休中にアロマの勉強をして資格を取ったんです」と。

夫が漁師に！　漁師町に行く？行かない？

そして2人目の妊娠。「この先のキャリアを考えていく中で、やっぱり好きなアロマを仕事にしてみたい、という思いで転職しました。最初はアシスタントで、1年ほど働いたところで、夫が家業である漁師に転身することになったんです」。

ご主人の実家は南三陸町で代々続く漁師一家。

「転職を決めてすぐの出来事で家族、子ども、そしてこれからの仕事について整える時間を取ろうとお互いに話し合いを重ね、1年間は仙台と南三陸の週末婚のような生活でした。その間も自分がどうしたいのかをデリカさんと話しあいましたね。やっぱり私はアロマの仕事が好きで続けたい。でも、南三陸町から仙台まで毎日通うのはきつい。もう辞めてほかの仕事に就くしかないと思ったとき、デリカさんが『石巻の工房があるから、そこに1部屋つくろうか』と言ってくれて。それで仕事を続けることができました。働ける環境や何かをあきらめずに仕事ができる場所に感謝でした」。