【コーヒーの歴史】ブラジルに根づいたコーヒー!―栽培大国への道とその影響―
ブラジルにおけるコーヒー栽培は、18世紀にフランス領ギアナから種子が持ち込まれたことに始まります。
1727年、外交官パレータがフランス代理総督夫人から託されたという逸話も知られているのです。
その後、修道院や各地の農園で栽培が進み、19世紀にはリオデジャネイロを皮切りに、ミナスジェライス州やサンパウロ州へと拡大します。
大規模プランテーションと奴隷制度を基盤に、ブラジルは世界最大のコーヒー輸出国として台頭しました。
しかし、1888年に奴隷制度が廃止されると、安価な労働力としてヨーロッパ系移民が導入されました。
同時に、農園主たちは焼畑農業を進め、環境破壊が深刻化します。
20世紀初頭には過剰生産が問題となり、価格暴落を防ぐための国際会議が初めて開かれるも、1929年の世界恐慌が「コーヒー・バブル」を崩壊させ、ブラジル経済に大打撃を与えたのです。
このとき、余剰コーヒーが大量に破棄される一方で、ネスレによるインスタントコーヒー「ネスカフェ」が誕生しました。
ブラジルのコーヒーは、経済、労働、環境、そして国際関係にまで影響を与え、その歴史の中で数々の課題を浮き彫りにしております。
今日でもなお、コーヒーはブラジルの文化と産業を象徴する存在なのです。
参考文献
マーク・ペンダーグラスト著、樋口幸子訳(2002)『コーヒーの歴史』河出書房新社