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『消えた初恋』で「天使のようなクラスメイト」を完璧に体現する福本莉子 「普段しない笑顔を瞬発力で」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
撮影/松下茜

高校生同士の勘違いから始まった恋と青春を描くドラマ『消えた初恋』で、女子のメインキャストとして出演している福本莉子。主人公から想いを寄せられる「天使のようなクラスメイト」という役で、ハードルが高いところを、劇中ではまさに天使を思わせて魅了する。

かわいくてもあざとくはならないように

『別冊マーガレット』で連載中の人気コミックをドラマ化した『消えた初恋』(テレビ朝日系)。クラスメイトの橋下さん(福本)に片思い中の青木(道枝駿佑)は、彼女が同じクラスの硬派な男子・井田(目黒蓮)を好きだと思い込む。ひょんな出来事から、青木が井田に恋していると井田本人に勘違いされて、しかも本当にお互いが気になり始めて……。

――『消えた初恋』で演じている橋下さんは、公式HPの人物紹介で「笑顔がかわいくて優しい、まさに天使」とあります。劇中でその天使感を体現しているのがすごいと思いますが、莉子さんにとっては普通のことですか?

福本 いえいえ。青木くんの初恋相手で天使と思われているから、そう見えるように頑張っています。原作を意識して、身振り手振りだと、とりあえず両手がちょっと体の前に出ている感じで(笑)。あと、セーターが長いのでいつも萌え袖にして、声も若干高くしています。

――普段の自分ならしないことも?

福本 これ(両手をグーにしてアゴに付ける)はしないですね(笑)。

――演じる中で試行錯誤もありました?

福本 橋下さんは小慣れていて男の子と近すぎても違うし、絶妙な距離感を研究しました。メインの男の子が3人いる中に入って、観ている方に橋下さんが嫌われないような振る舞いもしたいし、立ち位置がすごく難しいんですよね。

――つまり、あざとく見えたらいけないと?

福本 そうなんです。かわいくても、あざとくはしたくなくて。皆さんに橋下さんの恋を応援していただけるようになりたいなと思っています。

――莉子さん自身が天使感を持ち合わせているとはいえ、台本に「天使そのものの笑顔」とかあるとプレッシャーもないですか?

福本 そうですね。普段そんなにパーッと笑うことは、あまりないじゃないですか。私のワンショットで笑顔だと緊張しますけど、もう瞬発力しかないですね。

デビューして初めてのボブが意外と似合っていて

――『消えた初恋』の原作のような、ラブコメの少女マンガは読むほうですか?

福本 私は正直、マンガはあまり読まないんです。でも、今回『消えた初恋』の原作は読ませていただきました。1話の中でも予想を上回る展開があって、スピード感がすごくて。橋下さんはかわいいけど、実は馬鹿力という裏設定も面白かったです。

――その原作に合わせて、莉子さんも髪を切ったんですよね?

福本 そうです。この世界に入ってからは、一度もここまで切ったことはなかったので、6~7年ぶりにボブにしてスッキリしました。昔、短くしたときは似合わない印象だったのが、今回切ってみたら、意外と違和感ありませんでした。

――というか、めちゃくちゃ似合っているじゃないですか。

福本 昔の写真を見ると「こういうときもあったな」という感じですけど、ボブって髪が伸びたらすぐわかるし、メンテナンスが大変なイメージがあったんです。今回ボブにしたら、自分が今持っている服がこっちの髪形に合っているように思いました。

――橋下さん以外に惹かれるキャラクターはいました?

福本 青木くんはピュアでお茶目でムードメーカー的なところもあって、原作だとアルコ先生の作画も好きです。井田くんは正反対の硬派なキャラクターで、2人はデコボコなのに妙にマッチしていて。そこにちょっとチャラいあっくんが入ってきて、いいバランスなんですよね。

――ドラマの撮影現場では、男性キャストの輪に入っていけてますか?

福本 やっぱり男女の壁はあって、男性は男性同士で仲良くなるので、私は基本それを横目で見ていて、たまにお話に入ります(笑)。劇中では同級生らしさが出ていたらいいなと思います。

指切りを小指が赤くなるほどやりました(笑)

――ラブコメのドラマは自分では観ていましたか?

福本 ドラマは小学生の頃は毎日観ていて、月曜はコレ、火曜はアレ……という感じで楽しみにしていました。ラブコメだと『イケパラ(花ざかりの君たちへ~イケメンパラダイス~)』や『メイちゃんの執事』が好きでした。

――演じる側になると、ラブコメならではのことはありますか?

福本 緩急がすごいですよね。急にテンションが上がって、急に下がったり、落差が大きくて。あとは、顔芸にモノローグが入るときのコメディ感や、原作を映像化してファンの方が「あのシーンだ!」となるのは面白いですね。

――コミカルなシーンはやり甲斐もあります?

福本 橋下さんがビンタして人を馬鹿力でブッ飛ばすシーンは初めてやって、面白かったです(笑)。私の実際の力は女子の平均かそれ以下だと思いますけど、サラッとできました。

――1話の青木と指切りをするシーンでは、橋下さんの天使感が出ていました。

福本 あそこは指切りを何10回もしたんですよ。普通にカット数の問題で、一生分の指切りをしたと思います。終わったときには、小指が赤くなっていました(笑)。

――「エイエイオー!」とやるところは?

福本 あれは台本にはなかったんです。原作のマンガを参考にしながら、現場でノリで入れてみました。かわいらしく見えたらいいなと思って。

文化祭シーンの雰囲気は女子校と違いました

――放送前に「学生・学校ならではの日常や行事をドラマを通して体験できるのが楽しみ」とのコメントもありました。実際そういうシーンを楽しめていますか?

福本 2話で文化祭があって、放課後にみんなで残って劇の背景を制作するシーンは、青春だなと思いました。一部をアドリブで撮ったんです。私は女子校だったので、男子がいるとワイワイしていて、空気が違う感じがしました。

――好きな男子と同じ委員で2人で会合に出るドキドキ感も、共学ならではですかね。

福本 あれは確かに嬉しいでしょうね。クラスで2人だけが同じ役職で、頼れるのも相手しかいないから、いいですよね。

――莉子さんは11月で21歳ですが、実際の高校時代は最近だった感覚ですか?

福本 いえ、もうかなり遠くに感じます(笑)。卒業したら一気に高校生独自のノリがなくなるので、ちょっと寂しいです。

――役ではまだしばらく、高校生を演じる機会が続きそうですが。

福本 演技であっても、学校という場を楽しむことが一番大事だと思います。『消えた初恋』では林間学校のシーンもあって。山に行って、みんなでバーベキューをしたときも、アドリブで焼きそばやマシュマロを焼いたりして、素で楽しんでいました。

運転免許を取って大人になった気がしました

――20歳になってから1年近く経って、日常では大人モードになってきてますか?

福本 最近、運転免許を取ったときは、ちょっと大人になったなと思いました。いちおう国家試験じゃないですか。ひとつ資格を持っているのは、気分いいですよね(笑)。

――楽勝で取れたんですか?

福本 めっちゃ頑張りました。スケジュール的に1ヵ月で取るしかなかったので、朝から晩まで教習所に行って、学科の勉強も一生懸命やって、全部一発で合格しました。

――車庫入れとか縦列駐車とか、手こずったところもなく?

福本 S字やクランクでうまくいかなくて、ぶつかることはありました。試験のときに失敗すると一番キツいので、そういうところの練習はしっかりやっておきました。免許を取ってから『消えた初恋』の撮影も始まって、まだ実際に運転はできてないですけど。

――では普段、自分の大人ぶりを感じることはありますか?

福本 あまりないです。お酒もそんなに飲まないので。

――逆に、まだ青春が続いているような?

福本 それももうないです(笑)。街で高校生を見ると「あの頃は楽しかったな」と思います。今は買い物も1人で行きますし、大人数で集まることはなくなったので、わりと落ち着いて過ごしています。

時が経つのが早いので1日1日を大切に

――そんな中で、今年もあと2ヵ月になりました。

福本 いつの間にか10月になっていて、時が経つのがすごく早いです。この前20歳になったのに、もうすぐ21歳か……という。姉が20歳になってからも早くて、7歳差なんですけど「もう27歳なの?」と思いました。20歳からは年を取るのが早いと言われるのを、身をもって感じています。

――莉子さんもあっという間に27歳になっているかも?

福本 本当にそう思います。だから、1日1日を大切に生きていかないと。

――差し当たり、この秋はどう過ごしますか?

福本 食べるのが好きで、栗をネットで買いました(笑)。栗ごはんを作って、現場にもお弁当にして持っていきたいです。しっかり自炊して、旬の野菜を使ったごはんもいっぱい作る秋にできたらいいなと思います。

撮影/松下茜

Profile

福本莉子(ふくもと・りこ)

2000年11月25日生まれ、大阪府出身。

2016年に第8回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリ。2018年に映画『のみとり侍』で女優デビュー、同年にミュージカル『魔女の宅急便』に主演。主な出演作は映画『思い、思われ、ふり、ふられ』、『映像研には手を出すな!』、『しあわせのマスカット』、ドラマ『歴史迷宮からの脱出~リアル脱出ゲーム×テレビ東京~』、『華麗なる一族』、『夢中さ、きみに。』など。『消えた初恋』(テレビ朝日系)に出演中。2022年公開予定の映画『君が落とした青空』に主演。

オシドラサタデー『消えた初恋』

テレビ朝日系/土曜23:30~

公式HP

公式ツイッター

公式インスタグラム

『消えた初恋』より
『消えた初恋』より

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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