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【密着取材】ストレスのない旅のすゝめ 元サッカー日本代表 槙野智章氏に学ぶ 旅を楽しくする5つのコツ

岩佐史絵トラベルジャーナリスト

元サッカー日本代表の槙野智章氏がBooking.comの「旅プロデューサー」に就任したのをご存じでしょうか。

現役時代から国内外を遠征などで飛び回っていた旅の達人・槙野氏。引退後初めてのプライベート旅に密着した3本の動画がすでにYouTubeにアップされていますが、実は筆者、この旅に同行させてもらいました。

そこで目撃したのは、槙野氏の旅スタイル。ムードメーカーの槙野氏らしい、同行者もみんなハッピーになる旅。そのコツをご紹介します。

©Shie Iwasa 朝熊山頂展望台からの絶景。出会いも、同行者との会話も、すべてが旅の思い出を構成する要素
©Shie Iwasa 朝熊山頂展望台からの絶景。出会いも、同行者との会話も、すべてが旅の思い出を構成する要素

今回の旅の行き先は槙野氏がかねてより行ってみたかったという伊勢志摩。特に「ふだんから焼肉屋のはしごをする」「結婚式の席表も肉の部位で表した」くらい肉好きな槙野氏としては、「松阪牛」は絶対楽しみたいアクティビティだそう。というわけで、槙野氏はまず地元の人から情報収集を開始。観光案内所で人気の焼肉屋さん情報をゲットしました。地元の人のおすすめなら間違いありません。

コツその1:地元の人と交流する
携帯電話でなんでもちゃちゃっと調べられる昨今ですが、地元の人と触れ合うチャンスになるので、情報収集はむしろ積極的に人に聞くのが槙野氏のスタイル。親切に教えてもらって、「伊勢の人はやさしいなぁ」とさっそく好印象です。

©Shie Iwasa 綿密に計画を立てるのもいいけれど、いきあたりばったりを楽しみたい派
©Shie Iwasa 綿密に計画を立てるのもいいけれど、いきあたりばったりを楽しみたい派

教えていただいたのは、地元では誰もが知る焼肉屋さん『一升びん』。まだ明るい時間帯であったにもかかわらずすでにローカルの人で一杯の店内からしても、その評価の高さがうかがえます。

さっそく『松阪牛 極 特撰三種』(9,000円)をオーダー。ヒレ、サーロイン、タンが楽しめるお得なセットです。週に一度は焼肉屋さんに行くという槙野氏ゆえ、自ら前のめりで焼いていきます。お店の人が教えてくれた焼き方を忠実に守り、真剣なおももちで肉を焼く槙野氏。焼きあがった肉は「口に入れた瞬間消えた!」とのことで、評判どおりのおいしさを確認しました。

©Shie Iwasa だいぶ真剣に肉を焼く槙野氏。肉への愛がハンパない。しかしこのお肉たち、カットが大きい!
©Shie Iwasa だいぶ真剣に肉を焼く槙野氏。肉への愛がハンパない。しかしこのお肉たち、カットが大きい!

そしてここで一言、「まじでおいしいから、みんなも食べて食べて!」と焼いた肉をスタッフにもシェア。「うわっ、なにこれ、すげぇ柔らかい!」と口々に語り合い、一気に場が盛り上がりました。

コツその2:楽しさ・おいしさはすかさず同行者とシェア
 旅先では食事がつきもの。数人での旅ではお皿をシェアすることもよくあるけれど、その場で気持ちをもシェアするとぐっと一体感が生まれます。後々の話題にもなるので、これはけっこう重要かも。

©Shie Iwasa 楽しみにしていた松阪牛と一緒に記念撮影。「まつさかうし」というのが正式な名前なのだそう
©Shie Iwasa 楽しみにしていた松阪牛と一緒に記念撮影。「まつさかうし」というのが正式な名前なのだそう

©Shie Iwasa 槙野氏をうならせた松阪牛3点盛。塩で、レモンで、特製たれでと食べ方はさまざまだが、どれも本当に口の中でとろける味わい
©Shie Iwasa 槙野氏をうならせた松阪牛3点盛。塩で、レモンで、特製たれでと食べ方はさまざまだが、どれも本当に口の中でとろける味わい

お宿に着き、荷物をほどいた槙野氏。旅の必需品10点セットを見せてもらいました。現役時代の遠征先にも必ず持って行った品々で、愛着あるものばかり。

お気に入りの時計やキャップ、サングラスなど普段から使っている自分にとって気持ちのいいものを持って行くのは旅先でも常に“自分らしさ”をキープするのにお役立ち。頻繁に旅をする槙野氏の場合は旅行用と普段使い用に2個ずつ同じものを持っているそうです。

そんな中、特に印象的だったのがスピーカー。現役時代、合宿や遠征中にその場の雰囲気に合わせた音楽を選曲してムードを盛り上げたという槙野氏らしい一品で、これは引退に際してヴィッセル神戸のチームメンバーからプレゼントされたもの。選曲しだいで試合前にメンバーの士気を高めたりリラックスしたりできるので、「音楽は絶対必要!」とのことでした。

いや、実はもっと印象的だったのは油性マーカーの『マッキー』やカラフルな輪ゴムですが、そのへんは一般人にはまねできないところなので割愛です。

コツその3:自分らしくいられるアイテムを持って行く

お気に入りの香水、キャップ、サングラス、時計とふだんから身に着けているものがあると落ち着きます。非日常の旅の中に日常を入れることでペースを乱されることを防ぎ、心に余裕をもって旅を楽しむことができるように。

©Shie Iwasa スピーカーは仲間たちから贈られた思い出の品。音楽はその場のムードを上手に作ってくれる強い味方。自分の好みに偏り過ぎないことにも気を遣うそう
©Shie Iwasa スピーカーは仲間たちから贈られた思い出の品。音楽はその場のムードを上手に作ってくれる強い味方。自分の好みに偏り過ぎないことにも気を遣うそう

©Shie Iwasa サイン用には『マッキー』が定番アイテム。そして輪ゴムは、輪ゴム飛ばしの一発芸(?)が有名になったため、ファンから「やってみて」とせがまれることが多いため持ち歩くように
©Shie Iwasa サイン用には『マッキー』が定番アイテム。そして輪ゴムは、輪ゴム飛ばしの一発芸(?)が有名になったため、ファンから「やってみて」とせがまれることが多いため持ち歩くように

翌日、お目当ての伊勢神宮にお参りをした槙野氏。ここでも地元の人からおしえてもらった、「足神さん」こと「宇治神社」へ。伊勢神宮から徒歩で数分という距離にある神社で、足の怪我や不調を平癒するといわれ、スポーツ選手がひそかにお参りにくるそうな。槙野氏も引退したとはいえ足は大切なバディ。「行きたい!」と即決です。

神社の階段も走って登るそのスピード感。

コツその4:常にフレキシブル! 余裕あるプランと即行動の俊敏さ

旅に行くときは「宿くらいしか決めておかない」という槙野氏ゆえ、スケジュールには余裕があります。興味をもったらすかさずGO! 余裕があるとはいえだらだら考えて時間を無駄にすることなく、まずは動く、が槙野氏のモットー。

©Shie Iwasa ちょうど天気にも恵まれたこの日。旅日和だからこそ、少しくらい足を延ばしてもいろいろ楽しみたいから、もたもた考えず即決&即行動!
©Shie Iwasa ちょうど天気にも恵まれたこの日。旅日和だからこそ、少しくらい足を延ばしてもいろいろ楽しみたいから、もたもた考えず即決&即行動!

©Shie Iwasa 森に囲まれひっそりとした宇治神社。これからは監督として活躍する予定の槙野氏、やはり自分やほかの選手のことも含めてしっかりと足の安全をお祈り
©Shie Iwasa 森に囲まれひっそりとした宇治神社。これからは監督として活躍する予定の槙野氏、やはり自分やほかの選手のことも含めてしっかりと足の安全をお祈り

有名な門前町『おかげ横丁』ももちろん散策。ぶらぶら歩いていたら、なにやら並んでいる人が! というわけで近づいてみると、それは伊勢名物『赤福』のお店でした。炊き立て餡の赤福をその場でいただけるとあって、購入する人が列をなしていますが、ここでも迷わず並ぶ槙野氏。

しかしながら、実は整理券をもらってから受け取りまでの待ち時間はなんと30分以上。えっ、そんなに待つの? となるかと思いきや、「あ~、そうなんだ! じゃあもうちょっとほかを見る時間あるよね!」と槙野氏。前向きです。

そういえば槙野氏っていつも笑顔で、かつネガティブな発言が一切出てこない。人間ですから、いらりとすることだってあるはずですが、「いやなことがあってもすぐに気持ちを切り替える。その“事”以外のことに感情を影響させないんですよ」といいます。さすがアスリートらしいメンタル。なにかトラブルがあってイヤな気持ちになっても、その気持ちをいつまでもひきずらない。「なんならトラブルはネタですよ。大好物です!」とそれもまた旅のお楽しみととらえています。今回は特に大きなトラブルはありませんでしたが、一緒に旅する相手が笑顔で前向きだと、自然とこちらもいい気持ちで旅を続けることができますよね。

コツその5:旅先でのトラブルはネタと思うべし

過去にはロストバゲージやフライトキャンセルなど旅先でさまざまなトラブルに見舞われた経験がある槙野氏。少しくらい大変な思いをしても、すぐに状況を受け入れ対処することを第一に考えるのだそう。気持ちを引きずらず、あとで笑い話に変換するそのスキルはぜひまねしたい!

©Shie Iwasa だいぶ時間はかかったけれど、無事にできたて赤福をいただけた。待ち時間中も楽しみながら過ごし、きもちのよいことだけを心に刻む槙野氏のいい笑顔
©Shie Iwasa だいぶ時間はかかったけれど、無事にできたて赤福をいただけた。待ち時間中も楽しみながら過ごし、きもちのよいことだけを心に刻む槙野氏のいい笑顔

どれも小さなことだけれど、上手に周囲に溶け込みその場の雰囲気を盛り上げてくれる“ワザ”といってもいいでしょう。こんな些細なことでもストレスを軽減し、周囲も自分も楽しくなることはうけあい。「また一緒に旅に出たいね!」と気持ちよく旅程を終えることができるはず。

現役時代、ムードメーカーとしてチームを引っ張ってきた槙野氏らしい旅スタイル。次の旅の際にはぜひ取り入れてみてください。

トラベルジャーナリスト

旅活歴は四半世紀以上のフリーランス トラベルジャーナリスト。3か月ごとに拠点を変えながらのノマドライフを夢見て、「この町に住んだなら」を妄想しつつ旅を続けます。その土地のリアルな文化を知ることで、旅はぐっと楽しくなるもの。じんわり心地よい旅先探訪中に出合ったいろいろをご紹介します。

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