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ウクライナ軍、ノルウェーNGOからの民生品ドローンで塹壕に爆弾投下・ロシア軍は条件反射で戦車を発砲

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

「塹壕の中でもロシア軍は全く落ち着くことができません」

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

クリスマスから年末にかけても、年が明けてからもロシア軍はイラン製軍事ドローンを用いてウクライナの首都キーウなど全土に奇襲している。プーチン大統領が36時間の休戦を呼びかけたようだが、守られていないようだ。

そしてウクライナ軍もウクライナにいるロシア兵に対して小型民生品ドローンを用いて上空から徹底的に攻撃を行っている。ウクライナ軍ではここ数か月間ほど、小型の民生品ドローンやウクライナ軍が開発した攻撃ドローン「R18」などから爆弾を投下して地上のロシア軍の戦車などを攻撃して破壊している。ドローンで撮影した動画もよく公開している。

ウクライナ軍のドローンは民生品ドローンも軍事ドローンも多くの国の政府の軍事支援で提供されたり、ウクライナ市民や世界中の市民からの寄付で購入したり、世界中の市民団体や企業などから寄付されている。

ノルウェーのNGO団体でウクライナに軍事支援を行っているのがVeteran Aid Ukraineである。Veteran Aid Ukraineでは既に多くのドローンや軍事物資をウクライナ軍に寄付している。同団体では市民からの寄付を呼びかけたり、Tシャツやパーカー、コースターなどを販売して集めた資金でドローンを購入してウクライナ軍に送っている。

Veteran Aid Ukraineが提供した民生品ドローンに爆弾を搭載して、ウクライナ軍はロシア軍の戦車や軍事施設、塹壕などにいるロシア兵に攻撃を行ている。

そしてVeteran Aid Ukraineが提供した民生品ドローンで、ロシア軍がウクライナの領土で勝手に作った塹壕に爆弾を投下するシーンの動画を公開していた。ウクライナ軍は塹壕のシェルターの入り口と思われるブルーのシートの上に爆弾を投下すると爆発。爆弾が爆発するとロシア兵は塹壕にあった戦車で条件反射的に発砲していた。だが上空のドローンからの爆弾投下とは気が付かなかったようで、上空のドローンに発砲しないで、遠方めがけて発砲している。ウクライナ軍はロシア軍の戦車が発砲した後にも、ドローンからもう1発の爆弾を投下していた。

Veteran Aid Ukraineは「このように上空からドローンで攻撃するので、塹壕の中でもロシア軍は全く落ち着くことができません」と投稿していた。

▼Veteran Aid Ukraineが提供したドローンで塹壕のロシア兵に爆弾投下すると条件反射で戦車で発砲

ウクライナ紛争ではドローンによる上空からの攻撃をウクライナ軍、ロシア軍ともに頻繁に行っている。小型民生品ドローンでは搭載できる爆弾や手榴弾の量には限りがあるが、上空から投下するので兵士に命中したら殺傷力はある。

ドローンの多くは迎撃されて破壊されてしまうか、機能停止させられてしまっている。ドローンが上空を飛んでいたらバリバリと大きな音がしてドローンの存在に気付くのでアンチドローンの迎撃システムがあれば機能を停止させたり、撃墜したりすることもできる。今回はロシア軍は上空のドローンに気が付いていなかった。それでも投下された爆弾が爆発したら、条件反射的に戦車で発砲はしていたので、上空のドローンも気が付かれていたら、迎撃されていた可能性が高い。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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