PUNKS NOT DEAD / パンク・ロックが咲きほこる2017年の春
●UKパンク40周年とダムド来日
2017年は、“パンク40周年”のアニヴァーサリー・イヤーといわれる。
イギリス全土をパンク旋風が吹き荒れたのが1977年だ。それ以前からアメリカやイギリスでは後にパンク・ロックと呼ばれることになるバンドが多くデビューしていたが、広くお茶の間でパンクが知られるようになったのは1976年12月、セックス・ピストルズが“話題のパンク・ロッカー”の代表バンドとしてテレビ出演、「ファック」「シット」など放送禁止用語を連発したときだった。この事件は新聞でも報じられ、それまで単に“クズ”を意味したパンクは“パンク・ロック”という音楽ジャンルとして認知されるようになった。
それから40年。刹那的なブームだった筈の パンクは、今もなお高い人気を誇っている。リアルタイムを知るオールド・ファンはもちろんだが、刹那的であるがゆえに、あらゆる時代の若者たちを魅了してきた。
2017年3月のザ・ダムド来日公演は、デビュー40年というベテラン・バンドの根強い人気を証明するのと同時に、パンクそのものが生きたムーヴメントとして息づいていることを再認識させるイベントだった。
東京・大阪公演は早々とソールドアウト。横浜ベイホールでの追加公演が急遽発表されたが、そちらも当日までにチケットはすべて売り切れになった。
横浜ベイホールのオールスタンディングのフロアーで待機する観衆は老若男女さまざまだ。普段着の若者もいれば、鋲入り黒革ジャンやモヒカン頭の年季の入ったパンクスもいる。「嵐のロックン・ロール」シングル・ジャケットばりの紙袋をかぶったファンもいれば、バンドの一員キャプテン・センシブルのトレードマークであるベレー帽を被った若い女性も数人いるなど、幅広いファン層が集まっていた。
「メロディ・リー」のピアノ・イントロから始まったショーは「ラヴ・ソング」〜「セカンド・タイム・アラウンド」のメドレー、「ニュー・ローズ」、「嵐のロックン・ロール」、アンコールの「スマッシュ・イット・アップ」「アンチ・ポープ」まで、名曲の数々を惜しげもなく披露。約1時間半のステージは1977年の熱気を我々に追体験させるものだった。
●最後の『PUNKSPRING』フェスと現代を生きるパンク
ただ、パンクは過去にベクトルの向いたノスタルジア音楽ではない。2017年、 リアルに息づく現在進行形の音楽として、パンクは世界中のファンを魅了してきた。そんなパンクの“いま”を凝縮したビッグ・イベントが3月25日(土)神戸ワールド記念ホール&26日(日)幕張メッセで開催される『PUNKSPRING 2017』だ。
オフスプリング、バッド・レリジョン、NOFXら、現代パンク・ロック界を代表する大物アーティストを筆頭に、和洋あわせたパンク・バンド勢が集結する『PUNKSPRING』は2005年に第1回が行われ、日本の春を彩るパンク・フェスとして支持を得てきた(2011年のみ東日本大震災で中止に)。残念ながら今回は『PUNKSPRING 2017 FINAL』と銘打ち、最後の『PUNKSPRING』となることが発表されたが、グランド・フィナーレを飾るべく、歴代最強といえるラインアップを揃えてきた。ゼブラヘッドやレス・ザン・ジェイク、スナッフなどが繰り広げる2ステージ、12時間のイベントは、12年の歴史を閉じるに相応しい豪華なものだ。
ただ、パンクの猛威はこれからも衰えることがない。3月から4月にかけてスペシャルズやマッドネスが来日することが決まっているし、夏の風物詩『SUMMER SONIC 2017』にはSUM 41、グッド・シャーロット、ペニーワイズ、ニュー・ファウンド・グローリーなど、『PUNKSPRING』と遜色ないパンク勢が出演する。
“PUNKS NOT DEAD”は1981年、エクスプロイテッドのアルバム/曲タイトルであり、パンク・ムーヴメントを象徴するスローガンのひとつだ。このフレーズは2017年においても、リアルな意味を持ち続ける。パンクは死なず。今もなお、生き続けているのだ。
●PUNKSPRING 2017 FINAL
2017.3.25(sat)/神戸ワールド記念ホール
OPEN 10:30 / START 11:30
2017.3.26(sun)/幕張メッセ9~11ホール
OPEN 10:30 / START 11:30
公式サイト
●SUMMER SONIC 2017
2017.8.19(sat) & 20(sun)
東京会場/ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
大阪会場/舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
公式サイト