アジアリーグアイスホッケー今日開幕!
「アジアリーグアイスホッケー」が今日開幕しました。
来月1日から4日まで、ラトビアで行われる「ピョンチャンオリンピック最終予選」に出場する日本代表メンバーがいることから、今季は、韓国、中国、ロシアのチームが、一足先にレギュラーシーズンへ臨む日程が組まれ、今夜のインチョン(韓国)での試合を皮切りに、14季目の戦いがスタート。
昨日の記事では、2003年11月に始まったアジアリーグの歩みを、日本のチームを中心に紹介しましたが、今日は韓国のチームに注目してみましょう。
▼始まりは「11対1」
「11対1」という数字が何を表しているか、お分かりでしょうか?
実は、、、
「日本と韓国のチームが、アジアリーグで初めて対戦した試合の結果」
なのです。
2003年11月15日に、初めての試合が行われたアジアリーグは、苫小牧での「王子製紙(現王子イーグルス)対日本製紙クレインズ」戦で幕を明けたのに続いて、1時間遅れて「コクド対ハルラウィニア(現アニャンハルラ)」戦が、横浜で行われました。
アジアリーグが誕生に至った経緯は、昨日の記事でご覧いただきましたが、創設時の5チームの内訳は、日本の4チームに対し、海外勢は韓国のハルラだけ。
そのため横浜での試合は、アジアリーグで最初の国際試合となったのです。
日韓両国のアイスホッケー関係者やメディアも多数詰め掛け、いやが上にも期待が高まる中で始まった試合は、両チーム合わせて39反則という大荒れの展開に・・・。しかも結果は、コクドが 11対1 の大差でハルラを圧倒。
戦前から日本と韓国の力の差を危惧する声が、ささやかれていましたが、いきなり現実となってしまいました。
▼3試合目で初勝利
大敗を喫したハルラは、息つく暇もなく翌日は日光へ移動し、日光アイスバックス戦に挑みましたが 1-5 で敗戦。
やはり力の差は歴然なのかと思われました。
ところが、翌々日のアイスバックスとの第2戦では、ハルラの攻守が噛み合い 4-1 のスコアで快勝! 3試合目にして早くも初勝利を飾ったのです。
その後もハルラは、一戦ごとに力をつけていき、王子とアイスバックスを上回って5チーム中3位。力の差を危惧する声を好成績で払拭し、初めてのアジアリーグを戦い終えました。
▼形勢は逆転 !?
初年度のハルラを皮切りに、翌年にはロシアと中国からもチームが加盟して、アジアリーグは文字どおりの国際リーグとなりましたが、歴史を積み重ねていくにつれて、徐々に日本のチームが厳しい戦いを強いられ始めていきます。
アジアリーグ創設6季目(2008-09シーズン)には、中国のチーム(チャイナシャークス)に抜かれ、初めて日本のチーム(アイスバックス)が最下位へ転落。
続く7季目(2009-10)には、プレーオフ・ファイナルに勝ち上がったハルラがクレインズを下し、初めて日本以外のチームがチャンピオンに。
そして13季目の昨年は、初めて日本のチームがファイナルへ進めず、頂上決戦は韓国(ハルラ)とロシア(サハリン)で行われました。
さらに加えて、昨季の世界選手権では、ディビジョン1グループA(17番目から22番目の国が参加する二部に相当)で、日本は韓国に完封負けを喫するなど、5戦全敗で最下位となり、一つ下のグループに降格。
世界選手権の順位で、日本の男子代表が、初めて韓国を下回ってしまったのです。
▼オリンピック開催決定がもたらせた韓国の強化
極東エリアとはいえ、世界ランキング2位のロシアから参戦しているサハリンは、個々のスキルも高いとあって、日本勢を上回る結果に納得されるかもしれませんが、韓国のレベルが一気に上がってきたのには、驚かれる方も少なくないのでは?
どうして韓国がレベルアップしてきたのか?
最大の要因は、何と言っても、 2018年の「ピョンチャン オリンピック」開催です。
2014年大会にも立候補しながら落選したことも相まって、初めての冬季オリンピック開催決定は、まさしく悲願達成に!
しかし、その一方で、韓国アイスホッケー界への課題が突き付けられるキッカケともなりました。
ピョンチャンオリンピック開催が決まった2011年7月時点で、韓国の世界ランキングは「31位」。オリンピックに出場するのは12ヶ国とあって、国際アイスホッケー連盟は、「開催国出場権を与えるか否かは、追って決定する」と通達したのです。
そのため韓国アイスホッケー協会は、優秀な人材に対する特別帰化制度(いわゆる二重国籍法)を用いて、アジアリーグのMVPを受賞したブロック・ラドゥンスキ(ハルラ=写真左)や、NHLでのプレー経験もある ブライアン・ヤング(High1)ら、これまでに6選手が韓国籍を取得し、代表メンバーとしてプレーしています。
さらに加えて、ハルラがヨーロッパのクラブチームの運営権を買収し、韓国人選手を送り込んで、高いレベルのプレーを体感させるなど、強化に注力。
このような努力が認められ、晴れて韓国は、開催国出場権を与えられたのです。
▼道のりは日本と同じ !?
振り返れば、以前の記事でご覧いただいたクリス・ユールをはじめとする日系人選手の帰化に加え、ほぼシーズンを通じて、代表候補選手たちを海外遠征に赴かせた長野オリンピックへの強化策と、韓国は同じ道のりを歩んでいるように見えます。
日本は長野オリンピックで22年ぶりの勝利を手にしましたが、韓国はピョンチャンオリンピックで、どのような戦いをするのでしょうか?
そして、どの選手が檜舞台に立つのでしょう?
そんな楽しみを抱きながら、アジアリーグの試合をご覧になるのも、楽しいかもしれませんよ!