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台風10号に厳戒、来週は次の熱帯擾乱が北上する予想

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲の様子(ウェザーマップ)

台風10号の位相は、来週3日(火)頃、東日本を通過か

台風10号の予報円(ウェザーマップ)
台風10号の予報円(ウェザーマップ)

最新の台風情報(気象庁発表)

台風10号は、おととい29日(木)午前8時頃、鹿児島県に上陸したあと、九州北部から四国を進み、丸2日経ったきょう31日(土)午前9時になって、ようやく四国沖の太平洋に抜けた状態となっています。

ただ引き続き、今後も速度は上がらず、予報円の真ん中を進むと、あす9月1日(日)午前9時にかけて、紀伊半島の南を通ったあと、紀伊半島の東側に沿って北上し、熱帯低気圧に変わりつつ、あさって2日(月)午前9時には東海から北陸付近に到達する予想です。ただ種々の計算の中には、もう少し東寄りに進み、静岡県方面を北上するモデルもあるため、この段階になっても、まだ週明けの予報円はやや不確実性が大きい状態です。

とはいえ、3日(火)頃には、ようやく東日本、あるいは東北南部を通り、日本の東海上へ抜ける見通しでそろってきました。この台風10号の位相(熱帯低気圧)が抜けるまでは、大雨が長期戦の様相です。

東海や関東中心に大雨が長期戦

雨雲の予想(ウェザーマップ)
雨雲の予想(ウェザーマップ)

台風10号に伴う活発な雨雲と南からの暖湿流によって流れ込む関東付近の雨雲が今後一体化するような感じとなり、東海から関東に大雨をもたらすでしょう。大雨は台風10号から変わる見込みの熱帯低気圧が、東日本を通過する来週3日(火)頃まで続くおそれがあり、まだまだ大雨は長期戦の様相です。

台風10号の今後のコースや速度にも左右されますが、神奈川から静岡、愛知、三重県付近では、このあとも、さらに多い所で、300ミリから500ミリ程度の雨量となる計算もありますので、引き続き、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に、厳重な警戒が必要です。(気象庁の大雨情報

次の熱帯低気圧が発生へ

予想天気図(気象庁発表に筆者加工あり)
予想天気図(気象庁発表に筆者加工あり)

タイトル画像で雲の様子をみると、赤い丸の中で、活発な雲がまとまってきていて、すでに低圧部が発生しています。低圧部とは、周囲より気圧が低く、雲の循環は認められるものの、その中心付近がハッキリとしない熱帯擾乱(ねったいじょうらん)のことで、中心付近が解析されるようになると熱帯低気圧に呼び名が変わります。気象庁の予想では、あす1日(日)午後9時までに、低圧部は熱帯低気圧に変わる予想となっています(TDマーク)。

そして熱帯低気圧は風が強まれば台風となりますが、諸外国を含む多くのモデルで、この熱帯低気圧が台風とみられる勢力に発達する予想となっています。

勢力強め、来週後半には日本の南へ北上か

GSMモデルの予想(ウェザーマップ)
GSMモデルの予想(ウェザーマップ)

参考までに日本のGSMモデルの最新の計算結果が上図となります。発生が予想される熱帯低気圧は徐々に発達し、台風とみられるような勢力で、来週5日(木)午後3時には、北緯20度を越え、日本の南海上へ北上してくる予想です。

右図のように、本州付近には太平洋高気圧が東西にベルトのように強まっていて、このベルトが強くなれば、熱帯擾乱は北上できずに、沖縄方面から大陸へ進むことになりますが、高気圧のベルトが弱まれば、熱帯擾乱は北上を続ける可能性も高くなります。

今のところ、高気圧のベルトは東西に居座る可能性が高く、熱帯擾乱が本州付近に北上を示唆するモデルは少ないものの、台風10号でもこの太平洋高気圧の予想で悩まされたように、また大きく変わる可能性もあるため、今後の動向に要注意です。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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