Facebookがこどもむけメッセンジャーアプリ「Messenger Kids」をリリース
Facebookは12月4日、こども向けのメッセンジャーアプリ、Messenger KidsをiPhone/iPad/iPod touch向けに米国でリリースしました。このアプリでは、アメリカで指摘されている「正しいデバイスと間違ったアプリ」の問題に対処しつつ、将来のユーザーへの囲い込みに取り組もうとしています。
Messenger Kidsを自分のデバイスにダウンロードすると、Facebookのアカウントやメールアドレス、電話番号などを登録しなくても、アカウントを作成し、プロフィールを作ることができます。
やりとりができる相手は、他のMessenger Kidsユーザーだけでなく、通常のMessengerユーザーも含まれますが、コンタクトリストは親が完全に管理することができ、つながるかどうかは親の許可が必要です。
また最近人気のメッセージが自動的に消える機能も存在せず、何をやりとりしているのかも親がチェックできる仕組みです。Facebook自身も、性的、暴力的なコンテンツに関するフィルタを用意し、投稿されたコンテンツをブロックしたり、フラグを立てていくとしています。
ただ制限をかけるだけではなく、こども向けのARフィルタを用意してビデオ通話を楽しめるようにしたり、GIFアニメを貼り付けられるGiphyにもこども向けコンテンツを集めるエンジンを用意するなど、メッセンジャー体験自体もこども向けにアレンジしている点が特徴です。
Facebook Messengerには、2017年4月の発表で12億人のユーザーが存在しており、Facebook本体、Instagram、Whatsappと並んで重要なプラットホームとなっています。アプリ内での送金やアプリとの連携、ショッピングなどのビジネス活用が進み、プラットホームとしての頭角を現しています。
一方で、米国では、13歳以上向けにデザインされてきたSNSやアプリを、13歳以下の子供が使う例が問題となってきました。これが、冒頭の「デバイスとアプリの不整合性」の問題です。
TechCrunchでは、米国National Parent Teacher Associationの調査を紹介しています。6〜12歳の子供を持つ親の93%が、彼らにタブレットやスマートフォンを使わせており、そのうち66%が、13歳以下向けにデザインされていないアプリやSNSを使わせていると答えています。もちろん子供のプライバシー保護に配慮されているわけではなく、有害コンテンツへのアクセスが制限されるわけでもありません。
今回のMessenger Kidsは、Apple iOS向けからリリースされ、Android、Kindle Fire向けのアプリはあとからリリースされるとしています。スマートフォンだけならAndroidからリリースした方がユーザー数は多いかもしれませんが、「こども向け」「タブレット」という属性では、iOS優位の状況を反映しています。
Appleはデバイスに対してペアレンタルコントロールを早くから導入してきました。またiCloudに家族登録をして、アプリやストレージやアルバム、カレンダーなどを共有する機能も用意しています。
例えばAppleがAPIとして、こども向けのデバイスでは子供用の機能制限版に切り替わるような仕組みを用意すると、Facebook Messengerも通常版とこども向けを分けずに、制限版を含んでリリースすれば良いだけになります。
デバイスのペアレンタルコントロールを、アプリにも波及する仕組みにし、ダウンロードできるアプリもApp Store側で自動的に制限する仕組みにするなど、このあたりの機能については、色々と可能性と手段の余地が大きいのではないか、と思います。