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NY金10日:仕掛け的な買いで急反発、1,200ドル台回復

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金6月限 前日比11.00ドル高

始値 1,193.80ドル

高値 1,210.60ドル

安値 1,192.90ドル

終値 1,204.60ドル

特に目新しい買い材料などは見当たらなかったが、仕掛け的な買いが売り方のストップロスを巻き込み、急反発した。

アジアタイムは1,195ドル水準で揉み合う展開になったが、欧州タイム入り後に急伸した。為替はドル高気味に推移するなど相場環境は寧ろ金相場の一段安を支持する状況にあったが、薄商いの中で瞬間的に3,000枚前後の買いが入ったことで、一気に1,200ドル台を回復する展開になった。ニューヨークタイム入り後もこの流れは変わらず、週末を前にしてのショートカバー(買い戻し)で一段高になっている。1,210ドル水準で上げ一服となるも、その後も戻り売り圧力は限定された。

本日の金相場上昇については、明確な理由付けを行うことが難しい。敢えて薄商いの中で大きく仕掛けた向きがいた模様であり、内部要因主導の反発と言えよう。原油相場上昇などの影響を指摘する向きもあるが、金相場が急伸した時間帯の原油相場は前日安値を下回る動きを見せており、影響は限定的と考えている。

このため、本日の二桁高によって特に金相場の基調が大きく変わったとは考えていない。米長期金利の低下圧力は一服する一方、ドル相場は再び地合を引き締めており、金相場を取り巻く環境は再び厳しさを増している。米利上げ着手時期の不透明感から急落するような地合にもないが、ドルインデックスは3月18日以来の高値を更新しており、ドル建て金相場の現行価格に対しては割高感が強い。なお、3月18日の金相場は1,151.30ドルとなっている。米長期金利の低迷が続く中では、単純にドル高連動で大きく値崩れは起こせないが、引き続き緩やかなペースで下値切り下げを打診する展開を想定している。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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