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手湿疹患者におすすめ!快適グローブの選び方と効果的な使用法

大塚篤司近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授
(写真:イメージマート)

【快適グローブとは?種類と特徴】

手の皮膚炎に悩む方々にとって、快適グローブは重要なケアアイテムです。快適グローブとは、就寝時や日中に着用し、敏感な患部を保護したり、塗布した薬剤の効果を高めたりする目的で使用される手袋のことです。

主に2種類の快適グローブがあります。1つは従来から使用されているコットン製のグローブ(COT)、もう1つは半透過性素材のシンパテックス製グローブをコットングローブの下に重ねて着用するタイプ(SYM/COT)です。

コットン製グローブは吸水性が高く、汗を吸収しやすい特徴があります。一方、シンパテックス製グローブは半透過性の膜で作られており、汗を外側に逃がす効果があります。

【快適グローブの効果と患者の使用感】

ドイツの複数の医療機関で行われた研究では、手の皮膚炎患者284名を対象に、COTとSYM/COTの2種類のグローブを3週間使用してもらい、その効果を比較しました。

結果として、両グループとも皮膚の状態が改善し、生活の質も向上しました。具体的には、皮膚の赤み、かさつき、亀裂などの症状が軽減されました。患者さんの自己評価でも、約7割の方が皮膚の状態が「ほぼ清浄」または「完全に清浄」になったと回答しています。

使用感については、SYM/COTの方が「手袋内の温度が快適」「触覚が良い」という評価が高かった一方、COTは「フィット感が良い」「着脱しやすい」「着け心地が良い」という点で高評価でした。

日本の医療現場でも、手湿疹などの皮膚トラブルに悩む医療従事者は少なくありません。この研究結果は、患者さんの症状や好みに合わせて適切なグローブを選択することの重要性を示唆しています。

【快適グローブの選び方と使用上の注意点】

快適グローブを選ぶ際は、以下の点を考慮しましょう:

1. 症状の程度:重度の症状がある場合は、SYM/COTの方が汗を逃がす効果が高いため適している可能性があります。

2. 着用時間:長時間着用する場合は、通気性の良いSYM/COTが快適かもしれません。

3. 作業内容:細かい作業が多い場合は、触覚の良いSYM/COTが適しています。

4. 個人の好み:フィット感や着脱のしやすさを重視する場合はCOTが良いでしょう。

使用上の注意点としては、清潔に保つことが大切です。毎晩新しいグローブを使用し、洗濯後は十分に乾燥させましょう。また、皮膚の状態が悪化した場合は使用を中止し、医師に相談することをおすすめします。

快適グローブは、手の皮膚炎の症状改善や生活の質の向上に役立つ可能性がある一方で、個人の症状や好みによって最適な選択が異なります。皮膚科医とよく相談しながら、自分に合ったグローブを見つけていくことが大切です。

参考文献:

Heichel T, et al. Evaluation of comfort gloves made of semipermeable and textile materials in patients with hand dermatoses: Results of a controlled multicenter intervention study (ProTection II). Contact Dermatitis. 2024;1-11. doi:10.1111/cod.14649

近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授

千葉県出身、1976年生まれ。2003年、信州大学医学部卒業。皮膚科専門医、がん治療認定医、アレルギー専門医。チューリッヒ大学病院皮膚科客員研究員、京都大学医学部特定准教授を経て2021年4月より現職。専門はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と皮膚悪性腫瘍(主にがん免疫療法)。コラムニストとして日本経済新聞などに寄稿。著書に『心にしみる皮膚の話』(朝日新聞出版社)、『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)、『本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。』(大和出版)がある。熱狂的なB'zファン。

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