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ラミレスDeNA新監督に期待したい「サポート型リーダーシップ」

豊浦彰太郎Baseball Writer
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

アレックス・ラミレスがDeNA新監督に決まった。彼の人選はちょっと面白い。そして、ぼくは彼に期待している。それについて、述べて見たいと思う。

クライマックスシリーズ真っ最中から、来季の新監督の去就に関する報道がスポーツ紙やウェブニュースのスポーツページに踊っていた(本来、このような動きは各球団ともNPB最大のイベントである日本シリーズ終了まで自粛すべきだとは思うが、それはこのコラムの主旨とは異なるので別の機会に譲りたい)。

阪神の新監督には金本知憲が就任し、巨人の次期監督には江川卓や高橋由伸の名前が挙がっている。そして、DeNAでは中畑清の後任に、ラミちゃんが決まった。

彼らに共通しているのは知名度であり話題性だ。そしてそのバックボーンは現役時代の実績だ。一部の例外を除いて、NPBで監督になるための前提は「スターであること」だ。逆に言えば、各球団のフロントは「監督はだれがやっても勝率に大差なし」と考えているのだ。

ちょっぴり残念なのだけれど、この考えを理論的に否定することは難しい。そもそも試合は選手がやるものだからだ。ならば、かつてのスター選手に指揮を執らせるのはファンサービスの面でも悪くない。

しかし、そのNPBも100%このような考えで監督の人選を進めているわけではない。外国人監督が良い例だ。少なくとも、ぼくが見届けてきた1975年のジョー・ルーツ監督以降は、基本的にそうだ。

ブレーザー、ボビー・バレンタイン、トレイ・ヒルマン、マーティ・ブラウン、テリー・コリンズ、彼ら外国人監督は、「知名度よりも管理者としての経験や能力」重視での起用だった(一部は知名度も高かったが)。少ない例外は、03年途中に就任したレオン・リーか。

ところが、ラミレスは彼らとは異なる基準での人選だ。彼の場合は、外国人であっても完全に「日本人型」だ(現役時代もFA資格を取得後は、外国人枠を外れていたが)。

球団も、現役時代2000本安打達成の実績、独特の決めポーズで人気を博した明るいキャラクター、それらから、中畑清前監督で味をしめた?「監督の集客力」を伝承できると判断し、彼の監督としての招へいを決めたのだろう。「巡回アドバイザーとしての指導力を高く評価」との報道も目にするが、おそらくそれは後付けの理由だ。技術指導に長けているなら、適職は監督よりも二軍コーチだからだ。

もっとも、監督としてのラミレスに見出すべきは単に話題性と集客力のみかというと、そうではない。彼のリーダーシップには期待しても良いのではないか。

管理者が備えるべきリーダーシップには2通りのタイプがあると思う。ひとつは「統率力」とも言い換えられる「上から押さえつける」ものだ。日本ではプロ野球界であれ、サラリーマン社会であれ、この統率型のリーダーが多い。

もうひとつは「サポート型」だ。欧米のビジネス界やMLBにも多いのだが、部下を励まし褒めちぎることで、持てる力を発揮させようとする。部下に畏怖の念を抱かせるのではなく、”I am always 100% behind you.”(いつもあなたの味方だ)というメッセージを送り続けるのだ。ぼくはもちろんラミレスとは面識はないが(彼が経営していたレストランで、客として談笑したことはある。その時も彼は、積極的に客とコミュニケーションを図りながらもてなしていた)、想像するに彼はこのタイプではないか。

先に述べたように、ラミレスのリーダーシップでチームの勝率が大きく変わることはないだろう。だから、来季はDeNAの順位ではなく、選手達がどれだけのびのびとプレーしているかをハマスタで確かめ、彼の「リーダーシップ」を評価してみたい。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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