水谷 瞬がセ・パ交流戦MVPに!! 2年目の現役ドラフト前半戦の通信簿
プロ野球はセ・パ交流戦が終わり、6月21日から通常のリーグ戦に戻る。その交流戦でMVPに輝く大活躍を見せたのが北海道日本ハムの水谷 瞬だ。2019年にドラフト5位で入団した福岡ソフトバンクでは5年間で一軍出場がなかったものの、昨年の現役ドラフトで北海道日本ハムへ移籍すると、4月11日の福岡ソフトバンク戦に初出場。交流戦に入ると全18試合に出場し、打率.438、3本塁打13打点をマークして日本生命最優秀選手賞に選出された。真価を問われる後半戦の活躍も期待される。
水谷の活躍で着目されるのが、現役ドラフトの成否である。1年目の昨年は投手で大竹耕太郎(福岡ソフトバンクから阪神)が12勝2敗、打者では細川成也(横浜DeNAから中日)が24本塁打78打点で一気にブレイクを果たすも、12名中4名は昨年限りで戦力外通告を受け、2名は育成契約で今季を迎えている。大きなチャンスであるのは間違いないが、一方で崖っぷちにも立たされている今季の現役ドラフト12名について、前半戦のパフォーマンスをまとめてみる。
セ・リーグでは、開幕から一軍入りしたのが漆原大晟(オリックスから阪神)、梅野雄吾(東京ヤクルトから中日)、北村拓己(巨人から東京ヤクルト)の3名。漆原はリリーフで21試合に登板し、防御率1.31と安定した投球を続けている。梅野も18試合に登板しており、5月2日と6月16日には登録を抹消されているものの、力強い投球で戦力になっている。北村は31試合に出場も打率は.167で、後半はバットでも貢献できるかがカギになる。
千葉ロッテから横浜DeNAの佐々木千隼は、イースタン18試合で防御率0.89を叩き出し、5月26日に一軍登録された。登板ごとに信頼を深め、リードした展開での継投に定着したい。阪神から巨人の馬場皐輔は、イースタンで19試合に登板し、3勝1敗1セーブ。5月21日に一軍から声がかかったが、1試合の登板でファームに戻された。ボールには力があるだけに、勝負球の制球力を高めれば台頭できそうだ。そして、東北楽天から広島の内間拓馬は、ウエスタンで16試合に登板。12名の中では唯一、一軍出場がないだけに、後半は目立つ投球を見せられるか。
白星を呼ぶ長谷川の幸運ぶりにも注目
パ・リーグで開幕一軍に名を連ねたのは、埼玉西武から千葉ロッテの愛斗ひとり。ただ、バットで存在感を示すことができず、4月26日には登録を抹消される。それでも、イースタンで復調して5月28日に再昇格し、活躍する機会を窺っている。開幕直後の3月31日に一軍登録されたのは、広島から埼玉西武の中村祐太だ。4月7日の北海道日本ハム戦にリリーフ登板し、14試合で防御率3.21と奮闘している。4月4日に一軍登録された長谷川威展(北海道日本ハムから福岡ソフトバンク)は、29日の埼玉西武戦で2対4の9回表に登板して3者凡退に抑えると、その裏に柳田悠岐の逆転サヨナラ3ラン本塁打でプロ初勝利が転がり込む。さらに、5月18日の埼玉西武戦、6月2日の広島戦と、登板直後の逆転で計4勝と、ラッキーボーイとして注目を浴びている。13試合で防御率2.53と安定感も高めており、首位快走への貢献度も高い。
水谷は4月9日に一軍登録されるも、22日にはファームに戻った。しかし、イースタンでチーム最多の8本塁打を放つパワーを買われ、5月21日に再登録されてブレイク中だ。28試合で打率.376、3本塁打16打点に、どこまで上積みできるか。横浜DeNAから東北楽天の櫻井周斗は、5月10日に一軍登録され、6試合に登板するも防御率8.53と苦しんでいる。力みで制球を乱してしまうため、八分の力で左腕を振るコツをつかんで飛躍したい。そして、中日からオリックスの鈴木博志は、ウエスタンでまずまずの投球を見せ、5月21日に一軍から声がかかった。サイドハンド転向など試行錯誤を続けてきたが、若い投手が次々と台頭する環境でいい波に乗りたい。
このように、今季の現役ドラフト12名は漆原、長谷川、水谷を筆頭にチャンスを得ている。順位争いがよりシビアになるだろう後半戦で、目立つパフォーマンスを見せるのは誰か追い続けたい。
(写真/Paul Henry)