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【試乗レポート】DUCATI「MONSTER 1200R」動画+試乗インプレッション

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
DUCATI MONSTER1200R

ドゥカティの2016ニューモデルのプレス向け試乗会が袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催され、モンスターファミリーの最高峰モデルとして登場した「モンスター1200R」に初試乗。究極のモンスターを表す”R”スペックとはいかに。モーターサイクルジャーナリストのケニー佐川が試乗インプレッションをお届けする。

150psの”R”スペックエンジンを搭載

今年のドゥカティは新車ラッシュである。スクランブラ―Sixty2やハイパーモタード939、Xディアベルなど私自身、今年になってからボローニャ製ブランドのマシンに乗ることが多い。ドゥカティは世界的に販売も伸ばしているし、勢いがあるから良い製品を生み出せるという好循環の中にあるのだ。

新型モンスター1200Rは、ひと口に言うと抜群に楽しい。もっと言うと、洗練された高性能をとことん楽しめるマシンである。究極のモンスターとメーカーが謳うだけあって、エンジンから車体、足回りまですべてがサーキットに最適化されている。

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水冷Lツイン1198.4ccのテスタストレッタ11°DSエンジンはSTDモデルの「モンスター1200」や上級版の「モンスター1200S」と基本的に同じだが、”R”では吸排気系の見直しと圧縮比の変更により、STDやSに比べてパワーで10%、トルクも5.5%上乗せされるなど、サーキット用にチューニングされている。

今年からユーロ4対応となり、日本仕様も本国仕様と同等スペックとなり最高出力は150psに向上。先にリリースされた日本仕様のSTDとSが126psに抑えられていることを考えると、数値上でも実に大きな差となっている。

最新テクノロジーの助けを借りて気分はMotoGP

“R”スペックは1万rpm近い高回転で本領を発揮するエンジンではあるが、元々1200cc近くも排気量があるので中速域のトルクの盛り上がりが凄い。タイヤが温まってくるのを見計らって、ライディングモードをフルパワーの「スポーツ」にしてコーナー立ち上がりでスロットルを開けていくと、まだ車体が傾いた状態からでもスーッとフロントが持ち上がってくる。分厚いトルクの塊によってロケットのように射出される感じだ。

それでいて、トラコンもしっかり介入してくれるので、後輪が急にスリップしたり、フロントが上がり過ぎて破綻するのを防いでくれる。つまり、最新テクノロジーによって、MotoGP気分の走りができてしまうのだ。これは快感の極みだ。

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ちなみにライディングモードには「アーバン」、「ツーリング」、「スポーツ」とあるが、エンジンレスポンスの穏やかなツーリングだとスロットルを開けるとDTC(ドゥカティ・トラクション・コントロール)がすぐに作動して、インジケーターがピカピカ光るのを見る余裕がある。

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点火タイミングでコントロールしているようだが、かつてのトラコンのような”いかにも間引いている感”がなく、極めて穏やかに控えめにライダーを陰で支えてくれるところが素晴らしい。機械によってライダーの主体性を妨げられることがないのだ。スポーツライディングの楽しさを追求してきたドゥカティらしさを感じる部分である。

ライディングモードの選択によってABSの介入度も最適化される。ブレンボ製M50モノブロックキャリパー&ボッシュ製9MPの組み合わせは、なんと1299パニガーレと同一仕様という豪華さ。この最新の賢いブレーキシステムのおかげで、まさに怪物のようなパワーを安全に操ることができるのだ。

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制動力が強烈なのはもちろんだが、印象的なのはむしろ穏やかなタッチ感。ガツンとかければABSが作動するがサーキットでその必要はなく、じんわりとリリースコントロールしながら思い通りのラインに乗せていくことができる。

乗りやすさ故にパニガーレと張り合える

ハンドリングについては素直でクセがなく、高速コーナーからヘアピンまでどんな速度域でも気持ちよく曲がっていける。ただ、それなりに車格もあるので、パニガーレのような切れ味はないものの、それがかえって安心感になっている。コーナーへの倒し込みなどでも、良い意味で手応えがあり、軽すぎないのがいい。

出力特性も影響している。ミッドレンジが厚くそのトルクで前に進めていくタイプなので、けっこうなペースで走っていても疲れにくい。この”乗りやすさ”故に、サーキットでもパニガーレと同等レベルの走りができてしまう。さらに上体が起きた楽なライポジと余裕のある車格とも相まって、ストリートでも意外とオールラウンドに使えそうだ。

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シートもSTDやSよりだいぶ高めの830mmに設定されているが、サーキット走行だとそれがしっくりくる。STDやSはシートに腰がはまり込む感じで足着きは良いが、Rはスポーツするためのライポジを得るためにシートレールも専用設計となっている。加えて前後オーリンズのセットアップによって車高自体も高く設定されている。これは最大バンク角を稼ぐためで、まさにサーキット走行を前提にしていることの証。見た目もネイキッドにしては足長な感じだ。

また、高い重心位置から倒し込むことで、運動性を発揮させることも狙いのようだ。オーリンズ独特のしっとりとしたストローク感も魅力で、959パニガーレと比べても車体の姿勢変化などの動きが感じ取りやすい。サーキットでの高速域でのギャップ吸収性にも優れ、やはりSTDとは足回りのグレード感が違うと実感できる。

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以前、STDとSにストリートで試乗したことがあるが、今回Rにあらためて乗ってみて、大排気量Lツインの鼓動感はそのままに、回転フィールはより繊細かつスムーズに熟成された印象もある。

同時に乗り比べてはいないので確かではないが、エンジンも本国仕様と同等スペックとなったことでより自然なアウトプットになっている可能性はあるだろう。もちろん、電子デバイスや足回りのグレード感によるところも大きいはずだ。

美しさが際立つ”走るためのデザイン”

車格は大きいし重量感もある。同時に乗り比べたのが「959パニガーレ」だったせいもあるが、さすが1200クラスと言う感じ。見た目にもボリュームがあってグラマーだが、ウエストまわりはアスリートのように絞り込まれている。ドゥカティ・デザインチームの美意識へのこだわりが見て取れるセクシーで均整の取れたプロポーションも魅力的だ。

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パフォーマンスの高さや足回りなどの豪華装備もさることながら、R専用のグラフィックロゴやスポーツシート、鍛造ホイールなど、走るためのデザインの美しさが際立っている。クールビューティならぬホットビューティ。究極のモンスターはまた究極の所有欲をかき立ててくれるマシンでもあるのだ。

【Webikeモトレポート】

DUCATI モンスター1200R 試乗インプレッションムービー

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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