ドル円、一時100円割れ
東京外国為替市場では11時過ぎ、1ドル=99円台を付ける急劇な円高・ドル安になっている。東京金融取引所では99.105円を付けており、2013年11月以来となる2年7か月ぶりの円高・ドル安水準が更新されている。
イギリスで23日に実施された欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票の開票作業が進んでいるが、残留と離脱派の大接戦が伝わっていることが、リスク回避局面で安全性が高いとみなされることが多い円に対する資金シフトを促している結果である。ITVの分析では、EU離脱の可能性は80%とされており、イギリスのEU離脱が一気に現実味を増している。
今週の国際金融市場では、各種世論調査で残留派の優勢が報告されていたことで、英EU離脱は回避できるとの楽観的な見方からリスク資産売り・安全資産買いの動きが巻き戻されていた。その流れの中で円相場も早朝の時点では106.75円までの円安・ドル高になっていたが、その僅か5時間後には100円台を割り込む展開に急変している。英国民投票の結果を読み誤って円安・ドル高が進行していた反動も、円高ペースを加速させている模様だ。
特に目立つのがポンドやユーロといった欧州通貨の急落だが、これまでの楽観ムードが一変して損失確定を迫られる中、ドル/円相場の値動きも増幅されている。日経平均株価も前日比で500円を超える下げ幅を記録しており、一種のパニック状態に陥っている。
こうした中、日本政府の対応が注目されるが、浅川財務官は「為替の動きは非常に荒い」として、「財務相と相談して対応する」とコメントしている。財務省は、麻生財務相が13時15分から記者会見を行うと発表している。麻生首相はこれまで、「一方的に偏った状態が続くなら為替介入」を行うとしていたが、米財務省の「ドル/円市場は秩序立っている」との見解の違いもあって、実際に介入に踏み切ることはなかった。
まだイギリスのEU離脱は確定したものではないが、今回は国際金融市場の動揺、更には1ドル=100円の節目割れを受けて、英国民投票の結果と同時に麻生財務相の発言が注目される局面になっている。