NY原油9日:続落、根強い過剰供給の長期化懸念
NYMEX原油12月限 前日比0.42ドル安
始値 44.52ドル
高値 45.12ドル
安値 43.64ドル
終値 43.87ドル
中国の石油需要に対する先行き不透明感、過剰供給状態の長期化懸念を背景に、続落した。10月28日以来の安値を更新している。
前日の急落を促したドル高圧力は一服したことで、アジア・欧州タイムは44ドル台中盤から後半で底固く推移した。一時は45ドル台を回復するような動きも見せている。ただ、ニューヨークタイム入り後は再び強力な下押し圧力に晒され、44ドル水準まで値位置を切り下げている。
特に目新しい材料が浮上してきた訳ではないが、過剰供給の長期化懸念を蒸し返すような動きがみられ、投機筋の売り圧力が継続している。クウェートの石油輸出国機構(OPEC)代表が今後5年の過剰供給見通しを示したこと、サウジアラムコの会長が生産調整の可能性を明確に否定していることなども、ネガティブ。
また、中国の10月貿易収支で原油輸入量が前月の2,795万トンから2,635万トンまで落ち込み、5ヶ月ぶりの低水準に落ち込んだことも、ネガティブ材料視されている。中国の原油輸入量は1~10月通期では前年同期比+8.9%と一定の底固さを見せているが、原油相場の地合がネガティブ材料に反応し易くなっているということだろう。
目先は季節要因から米国内需給の緩和圧力がピークを超える見通しであり、米在庫増加トレンドにブレーキが掛かると、50ドル台回復を打診する程度のエネルギーは残されている。ただ、国内過剰在庫環境に変化がみられない一方でドル高傾向が強まる中、本格的な原油高に発展する余地は乏しい。価格が上昇すればシェールオイルの生産調整の動きが鈍る可能性が高いこともあり、このまま35~60ドルという比較的大きめのレンジをコアに揉み合う展開が想定される。11月入りしてからはやや調整売りが優勢になっているが、明確な方向性が定まっているとは言い難い。