NY金1日:ドル高連動で反落も、イベント待ちのムード
COMEX金2月限 前日比1.80ドル安
始値 1,064.60ドル
高値 1,074.00ドル
安値 1,062.60ドル
終値 1,063.50ドル
ドル高連動で戻り売り圧力が強く、小反落した。
前日はポジション調整に伴う買い戻しが入り、底固い展開になった。引け後には1,070ドル台まで値位置を切り上げ、年初来安値1,051.60ドルから大きな切り返しをみせた。ただ、12月入り後は改めてファンド筋の戻り売り圧力が強まり、1,060ドル台前半まで反落している。アジア・欧州タイムの為替が総じてドル高気味に推移したこともあり、売り安心感が強かった。もっとも、引け際にはドル高一服で再び買い戻しが入ったこともあり、大きな値動きには発展しなかった。
引き続き米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策正常化プロセスに強い警戒感があり、欧州中央銀行(ECB)が3日の定例理事会で追加緩和に踏み切るとの観測も、ドル相場高・金相場安を促し易い環境にある。ただ、今週は2日と3日にイエレンFRB議長の議会証言、4日には11月米雇用統計の発表を控えていることもあり、本日の金相場ではやや様子見ムードが強かった。
前日の急伸は月末要因に伴うショートカバー(買い戻し)が原動力だったことは確認できているが、特にECB理事会後は為替市場でポジション調整が広がるリスクが警戒されていることで、売り急ぐ必要はないとのムードも見受けられる。また、11月ISM製造業指数が48.6となり、2012年11月以来で初めて活動の拡大・縮小の分岐点となる50を割り込んだこともポジティブ。ただ、ドル高や海外経済の減速で製造業部門の落ち込みは周知されていることもあり、これを手掛かりに金相場の安値是正を進めるような動きは限定された。
今週はイベントが続くので週末にかけてボラティリティが高まり易いが、米金融政策の正常化プロセスに対する信認が失われるリスクは低い一方、2016年の金利上昇見通しを大きく上振れさせるのも難しく、金相場環境の大きな変化は想定していない。ECBが追加緩和を見送るようなサプライズがあると、ユーロ高・ドル安で金相場でも大規模な修正が行われる可能性もあるが、米国とそれ以外の国の金融政策環境の違いを考慮すれば、戻り売り基調が崩れることはないだろう。11月は1,050ドルの節目を攻略できなかったが、なお金価格はボトムが見えない状況にある。1,050ドル割れの次は、1,000ドルの節目割れが打診されよう。