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NY原油4日:米製油所稼働率上昇も、ドル高連動で反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油12月限 前日比1.58ドル安

始値 47.74ドル

高値 48.28ドル

安値 46.17ドル

終値 46.32ドル

ドル高や米原油在庫の増加が嫌気され、反落した。

アジア・欧州タイムは47.50~48.00ドル水準をコアに揉み合う展開になったが、ニューヨークタイム入り後に46ドル台前半まで急落した。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が年内利上げ着手の可能性を認めたことを受けて、米金利上昇・ドル高が原油相場の上値を圧迫した。

米エネルギー情報局(EIA)発表の製油所稼働率(10月30日時点)は前週比+1.1%の88.7%となっており、米製油所がメンテナンスシーズン明けの増産体制に移行しつつあることを示した。最近のパターンであれば、この稼働率上昇を手掛かりに更に原油高が進行しても違和感が無かったが、本日はドル高圧力が強かったこともあり、原油在庫が前週比+285万バレルの4億8,281万バレルとなったネガティブ材料の方がより重視されている。もっとも、間もなく米原油在庫の増加トレンドはピークアウトする可能性が高く、ドル急伸が回避されれば50ドル台回復を打診する程度のエネルギーは有しているとみている。過剰在庫という基本フレームが変らない中での上昇余地は限定的とみているが、目先は季節トレンドの転換を消化する必要がある。

本日は米製油所稼働率の上昇を無視する形で下落したが、米国内在庫トレンドの転換期を迎える中、なお瞬間的な上昇リスクを警戒しておく必要がある。このまま米国内需要環境の改善と連動して在庫削減が進めば、安値是正の動きが継続しよう。もっとも、そこから60ドル、70ドルと値位置を切り上げていくようなエネルギーを認めることは難しく、底練りの相場展開という基本フレームの中における修正高と理解している。ここから更に急伸するような動きが出てくれば、再び売り妙味が高まろう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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