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ウクライナ軍、ロシア軍の侵攻後から防空システム300台破壊:ウ軍「防空システムは何をしているの?」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

装甲戦闘車7200台、輸送車5800台、戦車3700台に比べると少ない防空システムの破壊

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ウクライナ軍では2022年2月24日にロシア軍に侵攻されてから殺害したロシア軍の兵士の数、破壊した戦車、戦闘機など兵器の数をほぼ毎日公表している。

ウクライナ軍によると2022年2月24日から2023年5月3日までにロシア軍の防空システム300台を破壊したことを発表した。同期間で破壊した戦車は3700台以上、装甲戦闘車が7200台以上、ドローン2500機以上、輸送車5800台以上、大砲2900門以上なので、防空システムの300台は破壊した軍事システムの数としては少ない方だ。攻撃の標的の対象にほとんどならないくらいロシア軍の防空システムはウクライナには投入していないのだろう。

ロシア軍はウクライナ軍のミサイルや大型ドローンを防空システムで破壊している。小型の攻撃ドローン破壊も物理的にはできるがコストパフォーマンスはよくない。ウクライナ軍ではロシア軍が侵攻してから数か月はトルコのバイカル社製の大型ドローン「バイラクタルTB2」で攻撃を行っていたが、このような大型ドローンの破壊には防空システムは適している。だが、最近ではウクライナ軍は大型ドローンも使用しているが、破壊される確率も高いので、小型民生品ドローンに爆弾を搭載して落下して爆発させたり、ドローンごと突っ込んでいき爆発させる、いわゆる神風ドローンで攻撃している。

ウクライナ軍ではロシア軍の戦車や輸送車などをドローンなどで攻撃しているシーンの動画や写真を多く公開している。だがロシア軍の防空システムを攻撃して破壊している動画や写真はほとんど見たことがない。

今回、ロシア軍の防空システム破壊300台を突破したことを伝えているウクライナ軍のSNSでは「防空システムは何をしているの?」とロシア軍を挑発するようなコメントをしている。

▼300台の防空システムを破壊したことを報告するウクライナ軍の公式SNS「防空システムは何をしているの?」

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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