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なぜ英国の大手スーパーは賞味期限表示を撤廃しているのか

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
米国のスーパー、青果売り場(筆者撮影)

*本記事は『SDGs世界レポート』(1)〜(87)の連載が終了するにあたって、2022年10月3日に配信した『「賞味期限」で思考停止しないために(海外編) SDGs世界レポート(83)』を、当時の内容に追記して編集したものです。

消費者と食品メーカー・小売業界の意識調査からわかること

コンサルティング会社のキャップジェミニが、1万人の消費者と食品メーカー・小売業界の1,000社を対象に行った調査(1)によると、消費者の食品ロスへの関心が、コロナ以前は33%だったのに対し、食料価格の高騰やロシアのウクライナ侵略による食料不安などを背景に、2022年には72%と2倍以上に高まっていることがわかった。

消費者の61%は、食品メーカーや小売業者が食品ロスにもっと取り組むことを望んでいるが、57%はそうした企業がきちんと取り組んでいないと不満を感じている。たとえば、企業の60%は、「賞味期限」「消費期限」などの期限表示について消費者に啓発をおこなっていると答えているが、そうした企業の姿勢に満足している消費者はわずか39%しかおらず、企業側の努力があまり評価されていないことが浮き彫りになった。

出典:capgemini
出典:capgemini "Reflect. Rethink. Reconsider"

消費者の91%は食品ロスに関する情報を公開しているブランドや小売業者から購入したいと回答し、58%は食品ロス問題に積極的に取り組んでいる企業から食品を買いたいと回答している。

米国の食品期限表示の深い闇

食品の期限表示が「賞味期限」と「消費期限」だけの日本からすると理解しにくいが、たとえば、米国の食品スーパーで商品を手に取ってみれば、「best by」「use by」「best if used before」「best if used by」「fresh until」「enjoy by」「freeze by」「born on」など、実にさまざまな期限表示があることに驚かされる。そのどれもが日本の中学生でも理解できるやさしい英語なのだが、食品ロスの観点からすると決してやさしくはないのである。

米国で食品ロス問題に取り組む非営利団体ReFED(リフェッド)の常務取締役であるデイナ・ガンダーズ氏は、CNNのインタビュー(2)に「これは完全にワイルド・ウエスト(西部劇に出てくる無法地帯)です」と嘆いている。米国には、乳児用の粉ミルクを除いて、食品期限表示について国家としての基準はない。あるとすれば、州法や業界の慣習程度だ。米国の期限表示の多くは「おいしさのめやす」であり、科学的根拠なしに食品製造メーカーが任意に決められ、行政から説明を求められることもない(3)。

米国で食品に消費者向けの期限表示がはじまったのは1970年代。消費者からの希望に食品企業側が応える形ではじめられた。期限表示によって購入した食品が悪くなっていたというような消費者からの苦情は半減した。ところが50年後の2020年になると、米国の食料供給量のおよそ3分の1が廃棄されるようになった。

「米国人はスーパーに買い物に行って食料品を詰めた袋を3つ持って出てくると、車に乗る前に、そのうちの1袋をごみ箱に捨てている」というのは、米国の食品ロスのたとえとしてよく目にするものだ。消費者は食品の期限表示をうのみにして、期限の切れたものを、まだ十分食べられるにもかかわらず、そのままごみ箱に捨てている。その要因となっているのが「ワイルド・ウエスト」のような状態の食品期限表示にあることを、米国の食品ロス専門家の多くが指摘している。

管轄する米国の食品医薬品局(FDA)ですら、期限表示についての消費者の誤解が、家庭から出る食品ロスの約20%の原因となっていると認めている。しかし、そのFDAは、食品のおいしさのめやすには「賞味期限(best if used by)」、食品が安全に食べられる期限には「消費期限(use by)」を使うことを推奨するにとどまっている。

期限表示が食品を捨てるめやすに

ハーバード大学法科大学院が全米消費者連盟(NCL)、ジョンズ・ホプキンス大学と、2016年4月7日〜10日にかけて成人1,029人を対象にオンラインで行った調査で、消費者が食品を捨てるめやすとして期限表示を利用していることが確認された(4)。

その他に調査からわかったことをまとめると以下のようになる。

•消費者の3分の1(37%)は、期限切れ間近か期限切れの食品を、いつも、または、たいてい捨てており、84%は少なくとも時々捨てている。

•消費者の3分の1(36%)は期限表示が米国連邦政府によって規制されていると誤解している。

•安全性を示す期限表示と品質を示す期限表示を、より消費者にわかりやすく改善することは可能である。たとえば、「賞味期限(Best if used by)」は食品の品質を示すものとしてもっとも認識されており(70%)、また、「期限(Expires on)」は食品の安全性を示すものとして認識されている(54%)。

•消費者が「消費期限(use by)」を過ぎた食品を捨てるかどうかは食品による。たとえば、鶏肉、牛乳、惣菜用肉は、それぞれ69%、59%、61%の消費者がいつもまたはほとんどの場合捨てている。未開封の缶詰や朝食用のシリアルであっても、12%と9%の消費者は「消費期限(use by)」が過ぎるといつも捨てている。

注)米国では「期限(Expires on)」や「消費期限(use by)」が食品の安全性を示す期限とは限らない。おいしさのめやすを示す場合もあり、それが消費者を余計に混乱させる要因となっている。

この報告書は、消費者が期限表示に対して困惑しているという、これまでの調査結果を裏付けるものとなった。特に2000年以降に社会に出たミレニアル世代には、期限表示は連邦政府によって決められた食品の安全性を示すものだと考え、まだ十分に食べられる食品でも期限が切れたら捨てたりする傾向が強いことから、現状の期限表示のままだと、今後、米国の食品ロスが増加することが予測され、何らかの対策が必要なこともわかった。

この調査を行ったハーバード大学法科大学院は、消費者向けの期限表示をなくし、その代わりに食品メーカーや流通業者は小売業者向けに「製造日」または「包装日」を「販売期限」とともに使用することを提案している。さまざまな期限表示のせいで消費者が混乱してしまうのなら、いっそのこと消費者向けの期限表示はなくし、消費者各自にその食品がまだ食べられるかどうか判断することを促し、食品の安全性を担保させるため、小売業者に「販売期限」で管理させようということなのだろう。

2021年12月に米国連邦議会に提出された「2021年食品期限表示法案(The Food Date Labeling Act of 2021)」は、消費者に誤解が生じないように、食品メーカーが、その期限が過ぎてから食べると安全でない場合のみ「消費期限(use by)」を、その食品のおいしさのめやすを示す期限なら「賞味期限(best if used by)」を使用することを法制化しようとしたものだ。

微生物学者であり、公衆衛生学の研究者でもある南フロリダ大学のジル・ロバーツ准教授は、「より科学的な根拠に基づく食品の期限表示システムがあれば、消費者や小売の誤解による不必要な食品ロスを防げ、もっと安心して食品を食べられるようになり、さらにコスト削減にもつながる」と指摘している(5)。

賞味期限をQRコードにするとどうなるか

米国で乳製品は食品ロスになる割合が最も高い食品のトップ3に入る。その乳製品の食品ロスの約65%は牛乳であり、米国における牛乳の損失額は、年間64億ドル(約7,027億円)と推定されている(6)。

注)三菱UFJ銀行の2021年の年間平均為替相場(TTM)USD1=JPY109.80で計算

科学誌『Journal of Dairy Science』(2018年8月号)に発表されたコーネル大学の研究によると、マイクロフィルター処理された牛乳の保管温度を変えることで、細菌の増殖を劇的に抑制できるという。マイクロフィルター処理された牛乳の3週間後の腐敗率は、冷蔵温度が6度の場合66%だったのに対し、4度の場合は9%と大幅に抑制できている(7)。

コーネル大学の研究チームによると、牛乳の期限表示にQRコードを活用することも食品ロスの削減に効果的だという。牛乳パックに期限表示があると、米国でも消費者は少しでも新鮮な牛乳を選んで買う傾向があり、その結果、期限の短い牛乳が店頭で売れ残ってしまう。そこで研究チームが、コーネル大学のキャンパス内で、賞味期限の印刷されたものと、スマートフォンで読み取ると賞味期限や生産履歴が表示されるQRコード付きの牛乳パックを選択できるようにしたところ、2カ月間の調査期間中、消費者の60%以上はQRコード付きの牛乳(つまり、期限表示が印字されていないもの)を購入したそうだ(8)。

さらに研究チームは、期限が迫るにつれて価格が下がるダイナミックプライシングを導入し、消費者に期限の近い牛乳の購入を促す実験も行っている。QRコードを使ったダイナミックプライシングに「てまえどり」効果があるのか調査結果を待ちたい。

英国、生鮮食品の賞味期限表示をやめる

おそらく2022年に世界でもっとも注目された食品ロス関連ニュースは、英国の大手スーパー各社が「食品期限表示は食品ロスを助長している」として、こぞって乳製品や青果物などの期限表示の撤廃を表明したことだろう。

発端は「モリソンズ(Morrisons)」が、2022年1月末から自社ブランドの牛乳の約9割で期限表示を「消費期限」から「賞味期限」に変更することを発表し、消費者には牛乳の期限が切れたら匂いを嗅いで飲めるかどうかを自分で判断するように呼びかけたことだ(9)。

英国の非営利団体WRAP(ラップ)によると、牛乳はジャガイモ、パンに次いで英国で3番目に廃棄の多い食品である。英国では毎年33万トンもの牛乳が廃棄されており、金額にして1億5千万ポンド(約227億円)に相当する。そのうちのその88%は家庭で捨てられており、WRAPではその主な原因を、消費者が律儀に期限を守っているためではないかと推察している(10、11)。

注)三菱UFJ銀行の2021年の年間平均為替相場(TTM)GBP1=JPY151.07で計算

英国の食品表示ガイドライン

英国食品基準庁(FSA:Food Standards Agency)によると、「消費期限(Use By date)」は食品の安全性に関わるもので、精肉やお惣菜のサラダなど日持ちしない食品に表示されている。消費期限のついた食品は見た目や匂いに変化が見られなくても期限が過ぎたら食べない方がいい。

一方、「賞味期限(Best Before date)」は食品の品質に関するもので、冷凍食品、乾燥食品(パスタ、米など)や缶詰など日持ちする食品に表示され、風味や食感が落ちていることはあるかもしれないが、賞味期限が過ぎたからといってすぐに食べられなくなるわけではない(12)。

食品基準庁、環境・食糧・農村地域省(Defra)、WRAPの共通認識は、食品安全上の理由から必要な場合のみ「消費期限」を適用し、それ以外の食品には「賞味期限」というものだ。

ただし、その食品基準庁も、メーカーや食品によって製造方法やリスクの程度などが異なるので、「賞味期限」と「消費期限」のどちらを表示するかはメーカーの判断にゆだねており、そのため英国で「消費期限」が2週間もある牛乳が販売される要因となっていた。

この部分が日本のガイドライン(14)との違いである。日本の場合は、「消費期限」は、製造または加工日を含めておおむね5日以内の期間で品質が急速に劣化しやすい食品に表示されるようになっているが、英国の場合、食品の安全性を示すものであれば、2週間や1カ月の消費期限ということもありえる。

しかし、おいしさのめやすとして「消費期限」と表示できる米国とは違い、英国では「消費期限」は食品の安全性を示すものとはっきり規定されている。

英国の食品スーパーによる期限表示撤廃の連鎖

モリソンズが期限表示を見直す参考にしたのは、チェスター大学による英国大手小売4社(テスコ、セインズベリー、アズダ、モリソンズ)の自社ブランド牛乳の保管期限についての調査だという。各社の牛乳を未開封のまま摂氏4度で冷蔵保管し食品安全検査を行ったところ、「消費期限」から7日間は安全に飲めることがわかった。チェスター大学の研究者は、牛乳が購入されてから消費者の家の冷蔵庫の入れられるまでにかかる時間や、その冷蔵庫の設定温度などのばらつきを考慮して、各社は「消費期限」の設定にかなりの余裕を持たせていたのではないかと推察している(15)。

日本の牛乳のほとんどは高温殺菌牛乳であり、期限表示は「賞味期限」となっている。しかし、日本でも低温殺菌牛乳の場合は「消費期限」である。つまり、5日程度。英国は低温殺菌牛乳がほとんどだが、「消費期限」+7日間は安全に飲めるとすれば、日本の低温殺菌牛乳の期限表示も見直せるのかもしれない。

このモリソンズの発表以降、賞味期限の撤廃が英国の大手小売各社に連鎖していく。時系列に沿って整理してみよう。

1月、「モリソンズ」が自社ブランドの牛乳の約9割で期限表示を「消費期限」から「賞味期限」に変更。

3月、ネットスーパー「オカド」が一部の野菜や果物の賞味期限を撤廃。

4月、「コープ(生活協同組合)」が自社ブランドのヨーグルトの期限表示を「消費期限」から「賞味期限」に変更

7月、「マークス&スペンサー」は、果物や野菜の300品目で賞味期限を撤廃し、パック入りの青果物にも拡大。

8月、「セインズベリー」は、ナシ、玉ねぎ、トマト、柑橘類などの青果物100種類の賞味期限を撤廃し、ジャガイモなど130種類の商品を順次追加すると発表。また、自社ブランドのヨーグルト46種類の期限表示を年内にすべて「消費期限」から「賞味期限」に変更する。

9月、「ウェイトローズ」は約500種類、「アズダ」は約250種類、ドイツ資本の「アルディ」も60種類の青果物の賞味期限を撤廃。

注)英国最大手の小売である「テスコ」は、2018年に100種類以上の果物や野菜の賞味期限を廃止しており、ドイツ資本の小売「リドル」もすでに青果物の賞味期限を撤廃している。

賞味期限が切れた食品を食べるかどうかを消費者自身が五感を使って個別に判断する。消費者の自主性を重んじた昔ながらの方法に立ちかえる。これが2022年における英国小売業界のトレンドだ。

英国の食品期限表示撤廃の背景にあるもの

前述のチェスター大学の調査の他に、英国の大手小売各社による期限表示撤廃のきっかけとなった調査がある。それは英国の世論調査会社Deltapollが、デイリーメールの姉妹紙「Mail on Sunday」のために、2021年6月に1,608人を対象に行った調査だ(16)。

この調査から、英国10大小売業者のうちテスコとリドルを除く8社では、カットされていない青果物70種類のうち53種類に、まだ「賞味期限」または「陳列期限(Display until)」の期限表示がされていることがわかった。

出典:Mail on Sunday
出典:Mail on Sunday

注)先行する調査にWRAPが2015年に行った小売店調査がある。

2017年に出された英国の食品表示ガイドラインでは、消費者が食品をいつまで食べられるかについて自分自身で個別に判断することを奨励し、食品ロスを削減するために期限表示を撤廃するよう小売業者に求めている。カットされていない青果物については、消費者にとって必要と判断される場合にのみ「賞味期限」を適用し、それ以外の場合は期限表示をつけないことを求めている。例外は、イチゴのように日持ちせず、パック売りされる青果物である(17)。

また、牛乳や乳製品の期限表示には、食品安全上のリスクがない限り、「消費期限」ではなく「賞味期限」とすることが推奨されている(18)。

「消費期限」表示だと、期限が過ぎたら安全に食べられないことになってしまう。しかし、「賞味期限」であれば、消費者が何らかの理由で期限前に食べられなかったとしても、期限後にも食べられるという自信と選択肢を持つことができる。食品の期限表示を「消費期限」にするか「賞味期限」にするかは、食品ロスの観点からすると、かなり大きな問題なのだ。

WRAPによれば、すべての生鮮食品の商品寿命がわずか1日延びるだけで、英国の家庭から出る食品ロスを最大で20万トン削減することができ、消費者が年間6億ポンド(約906億円)も節約できる可能性がある。また、小売業者にとっても約1億ポンド(約151億円)の直接的な利益をもたらすと推定している(19)。

2021年の「Mail on Sunday」紙の調査から、どの小売業者も自社ブランドのヨーグルトや牛乳にまだ「消費期限」表示をしていることが確認された。

ダノンやネスレなど大手食品メーカーは、2021年時点で乳製品の期限表示をすべて「賞味期限」に切り替えており、「Too Good To Go」の作成した「捨てる前に、目で見て、匂いを嗅いで、味わって、無駄をなくそう」と五感を使った判断を促すピクトグラムを食品のパッケージに印刷し、消費者に飲食できる期限を自分で判断するように呼びかける啓発活動さえ行っていたので、この記事を読んだ英国小売業者の多くは決まりの悪い思いをしたことだろう。

「Too Good To Go」の提供している五感で判断することを促すピクトグラム(出典:Too Good To Go)
「Too Good To Go」の提供している五感で判断することを促すピクトグラム(出典:Too Good To Go)

英国の大手スーパー各社による期限表示撤廃の引き金となったのは、おそらくこの「Mail on Sunday」紙の調査記事なのだろう。そして多くのスーパーは同業他社が撤廃を表明したため追従せざるをえなかっただけなのかもしれない。それでも、この小売業界から生じたうねりが英国の食品ロス問題を改めて考え直すきっかけになったのは間違いない。

賞味期限のブラインドテストでわかったこと

欧州5カ国で食品ロス問題に取り組む「STREFOWA」は、ハンガリーのスーパーの店頭で、ヨーグルトやハムなどの生鮮食品について、入荷したばかりの新鮮なものと賞味期限当日のものとで、消費者に「どちらが古いか」を当ててもらうブラインドテストを行った。

延べ24日間、合計で3,555人の買い物客が参加し、そのうち63%の人は何らかの違いを感じたものの「どちらが古いか」正解できたのは、当てずっぽうで的中させた幸運な人も含め39%だったという。正解を伝えられると、「賞味期限当日の商品の方がずっとおいしいと感じた」と驚く参加者も多かったという。つまり、「賞味期限の迫ったものは味が悪くなっている」というのは消費者の思い込みに過ぎないということだ(20)。

また、参加者の85.1%は、それまで賞味期限を確認してから購入することが多かったが、スタッフに「この試食の後、期限の迫った商品を購入しますか?」と聞かれると、77%は「はい」と答えたという。

EU離脱とコロナ禍、ウクライナ危機による物価高騰

英国では2022年7月に、消費者物価指数(CPI)が10.1%と1982年以来40年ぶりに二桁台となった。8月には9.9%と伸び率が0.2ポイント低下したが、「食品・非アルコール飲料」は13.1%と7月よりも0.5ポイント高くなっている(21)。

英国の「食品・非アルコール飲料」の過去10年間の推移(出典:英国統計局)
英国の「食品・非アルコール飲料」の過去10年間の推移(出典:英国統計局)

英紙ガーディアンは、2022年1月〜3月の3カ月間に、食事を控えたり抜いたりする家庭の割合が57%も急増し、英国では成人の7人に1人(730万人)が食料難と報じている(22)。

英国の食品ロス量は、コロナ禍のロックダウン開始直後に激減し、その後、リバウンド傾向にあると聞く。この英国の小売業界の新しい潮流が、食料品価格が高騰している同国の食品ロス量にどんな変化を引き起こすのか、見守っていきたい。

前年の年末・年間平均2021(三菱UFJ銀行・外国為替相場情報)

http://www.murc-kawasesouba.jp/fx/year_average.php

参考文献

1)Reflect. Rethink. Reconsider. WHY FOOD WASTE IS EVERYBODY’S PROBLEM(capgemini、2022/6/17)

https://www.capgemini.com/gb-en/wp-content/uploads/sites/3/2022/06/Final-Web-Version-Food-Waste.pdf

2)The truth, and strategy, of food expiration dates(CNN、2022/7/17)

https://edition.cnn.com/2022/07/17/business/sell-by-dates-food-safety/index.html

3)Confused by Date Labels on Packaged Foods?(FDA、2019/5/23)

https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/confused-date-labels-packaged-foods

4)Consumer Perceptions of Date Labels: National Survey(FLPC、NCL、Johns Hopkins、2016/5/11)

https://chlpi.org/wp-content/uploads/2013/12/Consumer-Perceptions-on-Date-Labels_May-2016.pdf

5)Food expiration dates don’t have much science behind them – a food safety researcher explains another way to know what’s too old to eat(The Conversation、2022/7/21)

https://theconversation.com/food-expiration-dates-dont-have-much-science-behind-them-a-food-safety-researcher-explains-another-way-to-know-whats-too-old-to-eat-186622

6)Development of A Monte Carlo Simulation Model To Predict Pasteurized Fluid Milk Spoilage Due To Post-Pasteurization Contamination with Gram-Negative Bacteria(Journal of Dairy Science、2021/12/23)

https://www.journalofdairyscience.org/article/S0022-0302(21)01090-0/fulltext

7)Milk carton 'sell-by' dates may become more precise(phys.org、2018/8/27)

https://phys.org/news/2018-08-carton-sell-by-dates-precise.html

8)Consumers embrace milk carton QR codes, may cut food waste(Cornell Chronicle、2022/6/1)

https://news.cornell.edu/stories/2022/06/consumers-embrace-milk-carton-qr-codes-may-cut-food-waste

9)Morrisons scrapping 'use by' dates from milk to help customers reduce waste(Morrisons、2022/1/10)

https://www.morrisons-corporate.com/media-centre/corporate-news/morrisons-scrapping-use-by-dates-from-milk-to-help-customers-reduce-waste/

10)From farm to fridge: how we can all play our part in reducing milk waste(WRAP、2020/10/8)

https://wrap.org.uk/blog/2020/10/farm-fridge-how-we-can-all-play-our-part-reducing-milk-waste

11)WRAP comes up with a winning formula to tackle milk waste(WRAP、2018/11/5)

https://wrap.org.uk/media-centre/press-releases/wrap-comes-winning-formula-tackle-milk-waste-0

12)Best before and use-by dates(Food Standards Agency、2021/3/19)

https://www.food.gov.uk/safety-hygiene/best-before-and-use-by-dates

13)Waste not, want not: Sainsbury’s latest labelling changes could save up to 17 million food products going to waste each year(Sainsbury、2022/8/30)

https://www.about.sainsburys.co.uk/news/latest-news/2022/30-08-2022-sainsburys-latest-labelling-changes-to-save-food-waste

14)品質保持期限及び賞味期限の用語の統一について(第一回食品の表示に関する共同会議資料6に一部追加)(厚生労働省、2003年1月)

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/01/s0122-8d.html

15)NO USE CRYING OVER SPILLED MILK? HOW INACCURATE DATE LABELS ARE DRIVING MILK WASTE AND HARMING THE ENVIRONMENT(FEEDBACK、2019年2月)

https://feedbackglobal.org/wp-content/uploads/2019/02/Milk-waste-in-the-UK_feedback-report-1.pdf

16)War on food waste: We bin 6.4million tons of perfectly good food every year - enough to fill Wembley Stadium 11 times. Now, MoS calls on readers, shops and restaurants to join its campaign to save the planet... and money(Mail on Sunday、2021/6/12)

https://www.dailymail.co.uk/news/article-9680319/MoS-calls-readers-shops-restaurants-join-War-Food-Waste-campaign.html

17)Fresh, uncut fruit and vegetable guidance(WRAP、FSA、Defra、2017年11月発行、2019年11月改正)

https://wrap.org.uk/sites/default/files/2022-01/WRAP-food-labelling-guidance-uncut-fruit-and-vegetable_3.pdf

18)Development of best practice on food date labelling and storage advice(WRAP、2017年)

https://wrap.org.uk/sites/default/files/2020-08/Development%20of%20best%20practice%20on%20food%20date%20labelling%20and%20storage%20advice.pdf

19)Labelling guidance:Best practice on food date labelling and storage advice(WRAP,FSA,Defra、2018年5月)

https://wrap.org.uk/sites/default/files/2020-07/WRAP-Food-labelling-guidance.pdf

20)PA 3: Raise awareness for food waste in Hungary(STREFOWA、日付不明)

http://www.reducefoodwaste.eu/pa-3-raise-awareness-in-hungary.html

21)Consumer price inflation, UK: August 2022(Office for National Statistics、2022/9/14)

https://www.ons.gov.uk/economy/inflationandpriceindices/bulletins/consumerpriceinflation/august2022

22)More than 2m adults in UK cannot afford to eat every day, survey finds(The Guardian、2022/5/9)

https://www.theguardian.com/society/2022/may/09/more-than-2m-adults-in-uk-cannot-afford-to-eat-every-day-survey-finds

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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