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天下分け目の決戦、第45期囲碁名人戦がきょう開幕。芝野虎丸名人と井山裕太棋聖の調子は?

内藤由起子囲碁観戦記者・囲碁ライター
名人戦前夜の芝野虎丸名人(右)と井山裕太棋聖=2020年8月24日、筆者撮影

まさに頂上決戦。初防衛を目指す芝野虎丸名人に、最強の井山裕太棋聖が挑む第45期囲碁名人戦(朝日新聞社主催)が8月25日に開幕します。大天才どうしの戦いは、心揺さぶられる碁が期待できそうです。

囲碁界のタイトルは7つ。芝野虎丸三冠(名人、王座と十段)、井山裕太三冠(棋聖、本因坊と天元)と一力遼碁聖が持っています。

今回の名人戦シリーズは芝野名人と井山棋聖、三冠どうしの天下分け目の決戦といえます。

飛ぶ鳥を落とす勢いで名人、王座、十段と3つのタイトルをたった9カ月間で獲得してきた芝野名人ですが、井山三冠に挑戦した本因坊戦(6月開幕)では、いいところなく、1勝4敗で敗れました。

その前兆は、3月からの自粛期間にありました。

インターネット対局をしていても勝てなくなり、不調を自覚したといいます。

それに比べて、現在は「だいぶ良くなってきました」と芝野名人

本因坊戦で負けたので、「やられたらやり返さないとだめだと思う」とリベンジに意欲を燃やしています。

一方の井山棋聖は、手合いのなかった2カ月がいい充電期間になったそう。プロになってからずっと多忙で、心ゆくまでの研究時間をとることができたのは初めてのことでしょう。AIの打ち方を自分なりに咀嚼できたようで、「想像を絶する強さ。七冠制覇したとき以上」と趙治勲名誉名人に言わしめるほど、自粛期間明けにはパワーアップしていました。

現在、勝率も8割以上と絶好調。「いい感触で盤に臨めている。これまでやってきたことが形として出せてきている」と本人も自信をのぞかせています。

開幕戦の立会を務める趙治勲名誉名人の期待は大きい。

井山さんは大天才だけどトラ(虎丸名人)も大天才。今の活躍は何の不思議もない。本因坊戦で井山さんの強さが身にしみてわかったから、トラはさらに強くなる。この名人戦で本領を発揮するはず。どんな碁を打ってくれるのか本当に楽しみ。ふたりの碁はプロにも手本になる。心に響く碁を打って欲しい

名人戦は2日制で、持ち時間は各8時間。

第1局は8月25、26日。26日夕刻以降に決着する予定。

囲碁観戦記者・囲碁ライター

囲碁観戦記者・囲碁ライター。神奈川県平塚市出身。1966年生。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。お茶の水女子大学囲碁部OG。会社員を経て現職。朝日新聞紙上で「囲碁名人戦」観戦記を担当。「週刊碁」「囲碁研究」等に随時、観戦記、取材記事、エッセイ等執筆。囲碁将棋チャンネル「本因坊家特集」「竜星戦ダイジェスト」等にレギュラー出演。著書に『井山裕太の碁 AI時代の新しい定石』(池田書店)『囲碁ライバル物語』(マイナビ出版)、『井山裕太の碁 強くなる考え方』(池田書店)、『それも一局 弟子たちが語る「木谷道場」のおしえ』(水曜社)等。囲碁ライター協会役員、東日本大学OBOG囲碁会役員。

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