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商標登録出願で予測する「東急ハンズ」の新名称

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
出典:特許情報プラットフォーム

「さらば”東急ハンズ” 新名称は”ハンズ”」というニュースがありました。株式会社カインズの完全子会社となった株式会社東急ハンズが、10月1日より社名を株式会社ハンズに変更したという話です。東急グループとの資本関係がなくなったので当然のことです。

「新屋号、新ロゴは決定次第発表される予定。」ということですが、店名(屋号)は、今までも普通に「ハンズ」と呼ばれてきたこともあり、社名そのまんまで「ハンズ」にするのが順当ではと個人的には思います。

「ハンズ」という短く、かつ、ありがちな名称を使うと商標登録が気になるところですが、今年の1月25日に株式会社カインズにより「ハンズ」および「HANDS/ハンズ」が、幅広い商品と役務を指定してちゃんと出願されていました。現在、類似先登録を理由とする拒絶理由通知が出ていますが、ほとんどの類似先登録が株式会社東急ハンズによる「東急ハンズ」関連の登録なので、株式会社東急ハンズ(ハンズ)が商標権を株式会社カインズに譲渡すれば解消します。ほぼ予定通りに商標登録できるでしょう。

さらに、同日に、株式会社カインズは、「カインズ・ハンズ」「ザ・ハンズ」「トーキョー・ハンズ」「ハンズ・プラス」「ハンズ!」「ニュー・ハンズ」「ハンズインターナショナル」といった商標を、上記の「ハンズ」と同じ幅広い商品と役務を指定して出願しています。おそらく新店舗名の1月時点での候補だと思われますが、別業態の店舗(または、サービス)の名称の可能性もあります。新店舗名が決まり、さあ商標登録しようと思ったら先に出願されていたという最悪の事態を避けるためには当然の策です。ちょっとネタバレになってしまったかもしれませんが、特許庁の公報により誰でも見ることができる情報なのでご勘弁願います。上述のとおり、個人的には(というか多くの人が同意するとと思いますが)やはり「ハンズ」が妥当ではと思います(「ニュー・ハンズ」とかですとちょっと昭和感が強いと思います)。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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