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【1月20日は大寒】今日すべきこと・食べるべきものは?気象予報士が解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ
豪雪地帯で知られる秋田県湯沢市(過去の様子):筆者撮影

今日1月20日は、暦の上では「大寒(だいかん)」。
古くから1年でもっとも寒くなるとされている時期で、実際に現代でも、全国各地で平年の気温(直近30年間の平均)が1年で一番低くなります。

同じく冬の暦でも冬至ならかぼちゃを食べるなどの文化が知られていますが、大寒に食べるべきものはあるのでしょうか。また、大寒にしておきたいことは…?気象予報士が解説します。

"1年の締めくくり"「大寒」

「大寒」は「二十四節気(にじゅうしせっき)」と呼ばれる暦のひとつ。
二十四節気は中国の古い暦で、1年を24個に区切って「この時期は一番暑い」とか「この時期は雨が多い」という具合に特徴づけて、天気予報がない時代でも農業や暮らしに役立てられるようにした、いわば"お天気カレンダー"です。
日本でも飛鳥時代に伝わり、長きにわたって使われてきました。

24個の暦の中には「春分」や「夏至」など皆さんご存知のものもあれば、「穀雨」や「小満」など知名度の低いものもありますが、この暦の考え方では1年は2月4日の「立春」から始まるとされていて、最後が今回の「大寒」となります。
つまり大寒は、伝統的な暦における"1年の締めくくり"なのです。

今でも人気!「大寒卵」

大寒に食べるべきものは…?
大寒に食べるべきものは…?

大寒卵(だいかんたまご)、というのを聞いたことがあるでしょうか。
文字通り大寒の日に産み落とされた卵のことで、種類としては普通のニワトリの卵なのですが、1年でもっとも寒い大寒に採卵されたというのが重要なのです。

というのも、かつて養鶏の技術が未発達だった頃、冬になるとニワトリはあまり卵を産まなくなる傾向にありました。
産卵数が減ると1つ1つの卵に含まれる栄養分が相対的に増えるため、寒い時期の卵は栄養価が高く、食べると無病息災に過ごせると考えられていました。
現在ではもちろん1年を通して同じ品質の卵が出荷されるようになっていますが、縁起物であることに変わりはありません。

大寒卵を食べる習慣が残っているかどうかは地域にもよりますが、筆者が三重県に住んでいた頃は、毎年大寒の日には地元の養鶏場に行列ができていて、夕方のローカルニュースでもその映像が流れていたほどでした。

大寒にすべきことは?

昔から日本では、1年でもっとも寒さの厳しい時期をあえて選んで体を鍛える習慣がありました。
それが現在では、「寒稽古」や「寒中水泳」といった伝統行事として各地に残っています。
寒稽古は剣道や柔道のような武芸に限らず書道でも行われます。

地域で行事が行われていなくても、伝統に合わせて自分が上達させたい芸事をがんばるのもいいですね。

どうして冬至より寒い?

暑さ寒さを大まかに決めているのは「太陽放射」だけど…
暑さ寒さを大まかに決めているのは「太陽放射」だけど…

この記事の冒頭から、大寒が1年でもっとも寒いという説明をしていますが、そういえば1年でもっとも日が短いのは冬至なのに、どうして冬至より大寒が寒いのでしょうか。

これには、「空気が温まりにくく冷めにくい」性質を持っていることが関係しています。

地球の気温は太陽から受け取る熱の量によって大部分が決められているため、素直に考えれば受け取る熱が多いければ多いほど暑く、少なければ少ないほど寒くなるはず。
つまり1年でもっとも日が長い夏至にもっとも暑く、日が短い冬至にもっとも寒くなりそうです。

しかし実際には空気が温まりにくく冷めにくい性質を持っているため、太陽から受け取る熱が増減してもすぐに空気の温度に反映されるわけではなく、タイムラグが生じます。
そのため、1年でもっとも暑いのは夏至から1~2か月経った7月下旬~8月上旬、もっとも寒いのは冬至から1~2か月後の1月下旬~2月上旬になるわけです。

ちなみに水は空気よりももっと温まりにくく冷めにくいので、日本のような島国の方がタイムラグは大きく、内陸の方が小さくなります。
実際、中国の北京では日本よりも暑さ寒さのピークが夏至・冬至に近くなっていますし、海水という"ブッファー(緩衝材)"がない分、日本よりも暑さ寒さが厳しくなるのです。

気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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