10代4%足らず、20代でも新聞購読率9%…主要メディアの利用状況
現状の主要メディア利用状況
メディアが加速的なスピードで進化する中、世代間のメディアギャップが注目を浴びるようになった。シニア・若年層間の利用メディアの差は大きく、俗にいう世代間格差(ジェネレーションギャップ)は社会問題化しつつある。そこで総務省が2014年4月に発表した「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の内容を基に、世代別の主要メディアの利用状況を行為者率の視点から確認していくことにする
次に示すのは主要メディア(雑誌は無いが…)の世代別平均行為者率を示したもの。この「行為者率」とは該当する仕切りの期日、今件の場合は1日単位でその行為をした人の割合を示す指標で、いわば利用者率のようなもの。例えば平日・テレビ(生)・10代の値は75.9%とあるので、10代で平日1日にテレビを連続で10分以上視聴した人は75.9%、大体4人に3人いることになる。
利用者率そのものはテレビが一番多く、インターネットがそれを追い、新聞が続くという形。そしてテレビは生放送ではシニア層ほど利用者が多く、録画はどの世代もほぼ同率。ただし生放送の利用者率では世代間格差はさほど大きくない。インターネットは20代から30代がピークで、あとは歳の経過と共に急激に落ちる。一方で新聞やラジオの世代間格差は大きい。特に新聞は10代で3.6%、20代でも9.2%に留まっているのに対し、60代では58.7%にまで達している。
良く対立的な論争の的になるインターネットとテレビだが、10代から30代まではインターネットの方が利用者率は高く、それ以降はテレビの方が高い。利用した人の利用時間はまた別問題だが、少なくとも利用した・しないの区切りでもこれだけはっきりとした、世代別のメディアギャップが見て取れる。
前年比で分かる中堅層以降の新聞離れ!?
次に示すのは前年分、2012年調査分の結果との差異を算出したもの。2012年時点ではテレビ(録画)は調査対象では無かったため、空白となっている。
40代と50代のテレビ(生放送)は視聴時間の前年比が大きく減っているのが確認されているが、利用者率ではそれほど目立つ動きはない。40代がマイナス6.5%とやや大きめなものの、50代はマイナス2.7%と他の世代と大きな違いは無く、利用者率の減少が視聴時間の減少につながったとは考えにくい。ともあれ、どの世代でもテレビの利用率は減少している。
ラジオは30代でイレギュラーのプラス化が発生しているが、それ以外はほぼ同じ割合で減少、そして新聞は中堅層以降が大きく減少しているのが目立つ動き。特に40代は1年間で1割以上も利用者率が減っている。テレビ視聴時間の減退も40代・50代だったところから、中堅層に従来型メディアに対して距離を置く動きが起きているのかもしれない。
インターネットでは30代が大きく伸び、それ以外は横ばい、シニア層がやや減少している。しかし新聞やテレビが伸びてはおらず、単にメディア全体から離れている、あるいはむしろ、特定メディアへの注力化、非分散化が進んでいるようだ。例えるならテレビばかり見ている、インターネットばかりしている、というところ。
メディア周りの技術が著しいスピードで進歩し、普及している昨今では、メディアの利用状況の確認は、他のさまざまな社会事象を検証する上で非常に役立つものとなる。今件項目では特に、新聞の世代間格差、インターネットとテレビの世代間におけるウェイトの相違、さらには中堅層以降に見える新聞離れの徴候について、留意したいものである。
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