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ゴルフ界の王者ウッズの「元恋人」がウッズをセクハラで提訴した法廷闘争、第1回審問は「平行線」!?

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

 ゴルフ界の「王者」タイガー・ウッズ(47歳)の元恋人エリカ・ハーマン(39歳)がウッズを提訴した裁判の第1回ヒアリング(法廷審問)が5月9日(米国時間)に米フロリダ州内の裁判所で行われたが、審問にはハーマンもウッズも姿を現わさず、出廷したのは双方の代理人(弁護人)のみだった。

 米CBSニュースなどによると、双方の主張の大半は平行線のまま、混沌とした状態で終了したという。

 ウッズの傍らにハーマンが寄り添う姿は、2017年の秋ごろから、ゴルフトーナメントの会場や公の場で、当たり前のように見られるようになった。どんなときも仲睦まじい様子を見せていた2人だったが、一体、2人の間に何があったのか。

 ウッズはハーマンを自らが経営するレストラン「ザ・ウッズ」のマネージャーに抜擢し、2人は米フロリダ州ジュピターにあるウッズの豪邸で生活をともにしていたが、昨年10月、ハーマンはウッズ家から離れ、2人の関係は破局した。

 ハーマンによれば、「騙されて、追い出された」とのこと。その出来事がハーマンを「訴訟」というアクションへ走らせたようだ。

 米メディアによると、ハーマンは2種類の訴えを起こしている。1つは、ウッズから受けたセクハラ。もう1つは、ウッズ家から不当に追い出されたこと。後者に対しては、ハーマンは3000万ドルの賠償金を求めている。

 そして、ハーマンはウッズによるセクハラを裁判で実証するために、ウッズとの間で交わしたNDA(秘密保持契約書)の無効化も求めている。

 ウッズ側もすぐさまハーマンを反訴。ハーマンからの訴えを否定する主張をしていることは言うまでもない。

 だが、この日の審問では、そうした具体的な論点を論じる以前に、裁判官はウッズとハーマンの間に存在するNDAの有効性を疑問視し、さまざまな問いを繰り返したそうだ。

 ハーマンは、ウッズとの交際を開始した後に、「NDAにサインをしなければ、レストランのマネージャーから解雇するとウッズから脅され、サインさせられた」と主張しているが、ウッズ側はもちろん否定。

 2人が交際を開始した時期や一緒に生活するに至ったプロセスなども、双方の主張は完全に食い違っているという。

 ハーマンによれば、ウッズが彼女を最初に雇用したのはウッズが経営している別のスポーツバーで、その時期は2014年。そこでウッズと出会い、2015年から交際を始め、2016年の終盤にウッズの豪邸での生活を開始。2017年からレストラン「ザ・ウッズ」のマネージャーに抜擢されたという。その際、ウッズから「この家に向こう11年間、住んでいい」という口約束を得たのだそうだ。

 しかし、ウッズ側は、2人の交際開始は2017年からで、その年の8月にハーマンがウッズ家での生活を開始したと主張。

 ハーマンが掲げている「ウッズ家に11年間、居住していい」という口約束については、ウッズ側からの言及はいまのところ聞かれていない様子だが、ウッズは自身の豪邸を2017年3月にフロリダのトラストに託しており、その受益者(受け取り人)はウッズと彼の2人の子どもの3名のみとされている。

 それゆえ、ハーマンは「ウッズ家から不当に追い出された」ことに対する3000万ドルの賠償金をウッズと彼が豪邸を託しているトラストに求めているとのこと。

 第1回の審問では、こうした事柄が明らかにされたのだが、実に複雑きわまりない内容で難解である。

 ゴルフファンが待っているのは、訴訟でどちらが勝つか負けるかではなく、ゴルフ界の永遠の王者であるはずのウッズが、これからも王者の呼称にふさわしい存在であり続けてくれることだ。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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