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追う立場になった大谷翔平が残り日程でゲレロJr.とペレスよりも不利な状況に置かれている?!

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ゲレロJr.選手やペレス選手より厳しい日程が待ち受ける大谷翔平選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【本塁打争いがさらにデッドヒート!】

 現地時間の9月13日にブラディミール・ゲレロJr.選手が今シーズン45号本塁打を放ち、大谷翔平選手に1本差をつけ単独トップに立つと、今度は14日にサルバドール・ペレス選手が43号本塁打を放ち、2位大谷選手に1本差に詰め寄った。

 トラック競技に例えるなら、最後の直線100メートルを3選手がほぼ横一線でゴールを目指しているといったところだろう。本塁打王争いは、シーズン終盤まで目が離させないデッドヒートとなった。

【3選手の中で最も不利な状況に置かれている大谷選手】

 これほどまでのデッドヒートを繰り広げることになったのも、やはり後半戦に入ってからの大谷選手の失速が要因の1つだろう。

 後半戦に入ってからの3選手の1本塁打当たりの平均打席数を比較してみると、最も少ないのが、後半戦で本塁打を量産しているペレス選手で10.4打席。続いて少ないのがゲレロJr.選手の14.8打席が続く。

 最下位の大谷選手は1本塁打を打つのにペレス選手の約2倍に相当する19.3打席を要していることからも、追いつかれてしまったのも当然と言えるほど、3人の勢いに差がついてしまった。

 実は各選手の勢いの差ばかりではない。3選手が所属する各チームの残り日程を見ても、大谷選手はかなり不利な状況に置かれているのだ。

【負け越しチームの対戦が3試合しかないエンジェルス】

 まず9月14日終了時点で、各チームの残り日程を見てみると、エンジェルスが15試合で、ブルージェイズとロイヤルズが14試合を残している。さらにそれぞれの対戦チームをまとめたものが下記の表だ。括弧内は試合数を表している。

(筆者作成)
(筆者作成)

 エンジェルスは残り15試合中12試合が勝率5割以上のチームとの対戦なのに対し、ブルージェイズはレイズ、ヤンキースとのポストシーズン争いがある一方で、ツインズとの対戦を7試合も残している。

 さらにロイヤルズに至っては、14試合中9試合が勝率5割未満のチーム(インディアンズとタイガース)との対戦となっている。

 明らかにエンジェルスが、3チームの中で最も厳しい戦いを強いられているのが理解できるだろう。

【被本塁打数MLB2位のツインズと7試合戦うブルージェイズ】

 今度は対戦チームのチーム防御率と被本塁打数を比較するため、以下のように表にまとめてみた。括弧内の数字は、MLBランキングを示したものだ。

(筆者作成)
(筆者作成)

 如何だろう。勝率5割以上のチームは、やはり比較的チーム防御率が上位に入っているし、被本塁打数も低い傾向にある。

 その一方で、チーム防御率が悪く、被本塁打数が多いという面で見ると、チーム防御率ワースト4位、被本塁打数2位のツインズと、チーム防御率ワースト9位、被本塁打数4位のレンジャーズが突出しているのが分かるだろう。

 またロイヤルズが対戦予定のインディアンズ、タイガースも、10チームの中ではツインズ、レンジャーズに次いで被本塁打数が多くなっている。

 これらのデータから考えられるのは、残り日程で最も有利なのがツインズと7試合も対戦を残しているゲレロJr.選手で、次いでインディアンズ、タイガースと9試合を控えるペレス選手になるだろう。

 最も厳しい日程の大谷選手の場合、シーズン最終カードのレンジャーズ3連戦を迎えるまで、上位チーム相手にどれだけ本塁打を打てるかがカギを握っていそうだ。

 とにかく最後まで熾烈な本塁打争いを期待したい。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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