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ウクライナ製の監視ドローン「LELEKA-100」ロシア軍に迎撃されても回収・修理して再利用

佐藤仁学術研究員・著述家
ウクライナ製の監視ドローンLELEKA-100(ウクライナ軍提供)

「迎撃されて破壊されることは日常的によくあります」

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生品ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

ウクライナ軍はウクライナ製の監視ドローン「LELEKA-100」を使用してロシア軍の状況を偵察している。「LELEKA-100」はウクライナにおける老舗のドローンで戦争前は商用の監視・偵察ドローンとして使用されていた。「LELEKA-100」は25倍ズームができるサーマルカメラを搭載しているので夜間でも上空からロシア軍の塹壕付近での人間の動きや軍事施設や戦車の場所などを明確に読み取ることができる。また電波妨害にも強い。

ウクライナのメディアUnited24が「LELEKA-100」を使用してバフムトでロシア軍の様子を監視する部隊を紹介していた。「LELEKA-100」でロシア軍の様子を上空から偵察して、高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」の部隊と連携してHIMARSでロシア軍に攻撃を行っている。

動画の中でウクライナ兵は「LELEKA-100はロシア軍によって何回も迎撃されています。そのたびにいつも回収して修理して再利用しています。迎撃されて破壊されることは日常的によくあります。なのでいつも回収してから修理して再利用することの繰り返しです」と語っていた。「LELEKA-100」は翼やカメラといった部品ごとを組み立てている。そのため迎撃されても回収した部品が使用可能であれば、その部品を再利用することはできる。

上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。両軍ともにドローンを探知したらすぐに迎撃して破壊している。ウクライナ軍が監視ドローン「LELEKA-100」でロシア軍を発見したらHIMARSでミサイルを撃ち込んで攻撃を行っているように、ドローンは探知したらすぐに破壊しておかないとすぐに相手から攻撃されてしまう。

ウクライナ軍は迎撃された「LELEKA-100」を回収して修理して再利用しているとのことだが、木っ端みじんに破壊されてしまったら回収しても再利用するのは容易ではない。

▼ウクライナのメディアUnited24が紹介するウクライナ製監視ドローン「LELEKA-100」

ウクライナ副首相のミハイロ・フェードロフ氏も自身のSNSで「LELEKA-100はウクライナでは老舗のドローンの1つです。古いけど機能は素晴らしいです」と紹介していた。

▼ウクライナ副首相のミハイロ・フェードロフ氏も紹介

▼ウクライナ製の監視ドローンLELEKA-100

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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