ひまわり8号デビュー その実力は?
7月7日午前11時から、新しい気象衛星ひまわり8号の画像が、天気予報などで使われるようになります。今回の気象衛星の交代により、何が変わるのでしょうか。
性能が大幅に向上
これまでのひまわり7号に比べると、ひまわり8号は画像が鮮明になります。分解能が2倍となり、ぼんやり見えていた雲が、くっきりと見えることが増え、危険な雲かどうかなどの判断がしやすくなります。
また、画像がカラーになります。大陸から飛んでくる黄砂も、衛星画像でとらえられることが増え、黄砂の注意喚起に活用されるでしょう。
さらに、ひまわりの観測データは、スパコンによる予測の元にもなっていますので、観測データの質が良くなることで、天気予報の精度向上にも貢献するはずです。
雲の動きがリアルに見える
そして、今回、期待が大きいのは、観測の頻度が増えることです。
ひまわり8号による観測は、これまでの30分間隔から10分間隔に。日本周辺では2分半ごとの観測になります。
これまでコマ送りだった雲の動きが、なめらかに見えることで、例えば台風の発達・衰弱が分かりやすくなるなど、台風予報の精度向上にもつながる可能性があります。
■ひまわり8号の試験運用画像
http://www.jma-net.go.jp/sat/data/web89/himawari8_sample_data.html
(「台風」や「積乱雲」の画像をクリックすると、雲のなめらかな動きが見られます)
雲の動きが、よりリアルに観測されることで、これまで見えなかったことが見えてくる可能性があり、研究によって新たな知見が出てくることも期待されます。
天気予報の精度向上は一歩一歩
と、ここまで「あれもできる」「これもできる」と書いてきましたが、ひまわりが新しくなるだけで、天気予報の精度は格段には上がりません。「豪雨の予測が可能に!」と大々的に報じられることもありますが、宇宙から見た雲だけでは予測できず、地上のレーダーなどの力が欠かせません。
スポーツに例えると、どこか一つの筋肉を鍛えただけでは、急激に飛距離やコントロール力が伸びないのと同じことです。
一方で、鍛えられていない部分があると、期待ほど結果が伸びません。ひまわり8号も、さまざまな観測・予測システムの一つの筋肉として、予測精度の坂を一歩上がるサポートをするはずです。