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ウクライナ軍が破壊したロシア軍のドローン、2022年2月24日から10月11日までに1100機突破

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

キーウ攻撃にも使用されたイラン政府が提供した攻撃ドローン

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。2022年10月にはロシア軍はミサイルとイラン政府が提供した攻撃ドローン「シャハド136(Shahed136)」で首都キーウを攻撃して一般市民の犠牲者も出ていると報じられている。

ウクライナ軍では2022年2月24日にロシア軍に侵攻されてから殺害したロシア軍の兵士の数、破壊した戦車、戦闘機など兵器の数をほぼ毎日公表している。

ウクライナ軍によると2022年2月24日から2022年10月11日までの約7か月の間でロシア軍兵士の戦死者は63,100人以上で、破壊したドローンは1100機を超えた。

2022年9月30日に破壊したロシア軍のドローンが1000機を突破したので、10日程度で100機のドローンを破壊している。1日平均すると10機のドローンを迎撃していることになり、以前よりもウクライナ軍によるロシア軍ドローンへの迎撃が積極的になったことがうかがえる。

ウクライナ軍では毎日破壊した数字を発表しているが多い日には10機以上ドローンを破壊している日もある。以前に比べると破壊しているドローンの数が増えている傾向にある。両軍とも監視・偵察ドローンや攻撃ドローンをかなりの規模で飛ばしているので、カウントされずに破壊されたドローンを含めるともっと多いだろう。

▼ウクライナ軍の発表

ウクライナ軍では破壊したドローンのなかで、監視・偵察ドローンと攻撃ドローンの内訳は明らかにしていない。ロシア軍は主にロシア製の偵察ドローン「Orlan-10」で上空からウクライナの監視・偵察を行っており、またロシア製の攻撃ドローン「KUB-BLA」や「ZALA KYB」で攻撃を行っている。最近では「Kartograf」と呼ばれている監視ドローンも使用しており、それもウクライナ軍によって破壊されている。最近の傾向ではそれに加え「ZALA 421-16Е2」といった今まではあまり使われていなかった監視ドローンも撃墜されている。またイラン政府はロシア軍に攻撃ドローンを提供しているが、9月に入ってからイラン製の軍事ドローンが破壊された写真や動画がウクライナ軍によって多く公開されている。

2022年10月にはキーウ近郊やキーウにおいてもイラン製の攻撃ドローン「シャハド136(Shahed136)」が国際人道法(武力紛争法)の軍事目標主義を無視して、軍事施設ではない民間の建物に撃墜して攻撃を行っている。

ウクライナ軍では迎撃して破壊したロシア軍の偵察ドローン「Orlan-10」や攻撃ドローン「KUB-BLA」、イラン政府が提供した軍事ドローンの残骸の写真や地対空ミサイルを発射して上空で撃破する動画を投稿して世界中にアピールしている。

破壊された装甲戦闘車両が約5100台、戦車が約2500台、大砲が約1400門なのでそれらに比べると破壊されたドローンは1100機と多くはない。戦車や大砲の多くも上空からドローンで爆弾を投下したり、ドローンごと突っ込んでいき破壊したりしている。

▼イラン政府から提供された攻撃ドローン「シャハド136(Shahed136)」がキーウ近郊の建物に攻撃したことを伝える欧米のニュース

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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