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代理人ボラス氏の戦略的勝利!菊池雄星が3年42億円でブルージェイズ入り

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ブルージェイズ入りが報じられた菊池雄星投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【ブルージェイズ入りが報じられた菊池投手】

 現地時間の3月10日に急転直下でMLBと選手会が新労使協約に合意し、同日夜に正式にロックアウトが解除されたことで、各チームは急ピッチで戦力補強を始めている。

 そんな中ロックアウト前から積極的な補強を続けてきたブルージェイズが、菊池雄星を獲得したようだ。MLBネットワークのジョン・ヘイマン記者がTwitter上で報告している。

 ヘイマン記者のツイートはこちらから閲覧できる。

 ツイートにもあるように、契約内容は3年で総額3600万ドル(約42億円)に上るようだ。

【代理人ボラス氏の戦略的勝利】

 昨シーズン終了後、菊池投手とマリナーズ双方がオプション権を有していた。マリナーズが予想通り、4年間で総額6600万ドル(約77億円)というチームのオプション権を破棄した後、地元メディアも含めて誰もが菊池投手が1年1300万ドル(約15億円)のオプションを行使すると考えていた、

 だが菊池投手はマリナーズとほぼ同時に、オプション権を破棄してFAになる道を選択したのだ。菊池投手の決断にジェリー・ディポトGMも、「彼は残ると思っていた」と驚きを隠そうとしなかった。

 もちろん菊池投手の判断には、代理人のスコット・ボラス氏のアドバイスがあったのは明らかだ。彼は「150キロ台後半のボールを投げる左腕投手を欲しがっているチームはたくさんいる」と、強気な姿勢を崩さなかった。

 ヘイマン記者のツイートではインセンティブがついているかどうかまでは判明しないが、オプション権の年俸を超えることはできなかったが、それに近い額で3年契約を獲得したのだから、まさにボラス氏の戦略的勝利といえるだろう。

【ブルージェイズはMLBトップクラスの先発投手陣に】

 しかもマリナーズの時と違い、ブルージェイズは先発投手陣が充実しており、菊池投手への個人的負担がかなり軽減されることになりそうだ。

 昨シーズン2桁勝利を挙げているホゼ・ベリオス投手と柳賢振投手に加え、ロックアウト実施前にケビン・ゴースマン投手の獲得に成功しており、いわゆる「3本柱」が揃っている状態だ。

 もちろん菊池投手も昨シーズン前半の投球を披露できれば、彼ら3人に匹敵する活躍が期待できることを考えれば、今シーズンのブルージェイズの先発投手陣はMLBの中でもトップクラスの陣容を揃えたといえる。

 まさにブルージェイズ、菊池投手双方が満足できる契約になったようだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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