Yahoo!ニュース

イスラエル軍、米英仏独伊5か国と初の軍事ドローン共同訓練:台頭する周辺国の軍事ドローンに対抗

佐藤仁学術研究員・著述家
(イスラエル国防軍提供)

「イスラエルは軍事ドローンのパイオニア」

イスラエル国防軍は、アメリカ軍、イギリス軍、イタリア軍、ドイツ軍、フランス軍とともに2週間にわたる初の共同訓練をイスラエル中部のパルマヒム空軍基地で実施している。

「Blue Guardian」と呼ばれる共同訓練では、アメリカ、イギリス、イタリア、ドイツ、フランスの5か国の軍人がイスラエルのエルビット・システムズが開発したドローンのヘルメス450の操作を実施。イスラエル国防軍としても今までで最大のドローンの国際共同訓練となっている。

イスラエル国防軍は「今回の共同訓練では、ドローンの地上での操作などいくつものシナリオをシミュレーションしています。5か国との共同訓練は戦略的にとても重要です」と紹介している。イスラエル空軍のアミカム・ノーキン将軍は「イスラエルは軍事ドローンのパイオニアです。今回の国際共同訓練はイスラエルにとっても国際的軍事協調としても重要です」とコメントしている。

イスラエルは2021年5月にハマスとの紛争でドローンによる攻撃を実施していた。イスラエル空軍の将軍が述べているようにイスラエルは軍事ドローンのパイオニア国家だ。一方でイスラエルはハマスからもイラン製のドローンによる攻撃を受けていた。その時はアイアンドームと呼ばれるドローン防衛システムでハマスからのドローンを迎撃していた。

イスラエルの敵国であり、アメリカとも共通の敵であるイランは攻撃用の軍事ドローンの開発に注力している。またトルコも軍事ドローンの開発に注力しており欧州諸国にも輸出している。ロシアも軍事ドローン開発を行っている。イスラエルだけでなく、今回の共同訓練に参加したアメリカ軍、イギリス軍、イタリア軍、ドイツ軍、フランス軍にとっても軍事ドローンによる攻撃、迎撃は今後の各国の安全保障、国際安全保障においてとても重要である。また今回6か国で軍事ドローンの共同訓練を行うことによって、イランやロシアの軍事力に対する抑止にもなる。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

佐藤仁の最近の記事