過去最長の黒潮大蛇行。夏の天候に影響するか?
2017年8月に黒潮の大蛇行が始まってから4年9ヶ月が経とうとしている。観測体制が整って以来、最長の長さだ。この間、渦がちぎれて大蛇行が収まりそうに見えて、再び蛇行が大きくなるという状態が繰り返され、今後もすぐには収まりそうにない。
(気象庁HPより筆者が動画化)
黒潮は、海水温の分布や海洋生態系に影響を与えるほか、天候との関係としては、東京の降雪への影響や、関東地方の夏がより蒸し暑くなるなどの研究がある。
黒潮の大蛇行が始まったのが2017年の夏。その後、豪雨がますます激しくなっている感じがしたので、試みに、太平洋側の主だった地点について、黒潮大蛇行が発生する前と後5年間平均の降水量を比較してみた。
エルニーニョやラニーニャ、顕著な台風の接近、さらに気候変動など、降水量を大きく左右する要素はたくさんあるので、黒潮の大蛇行の影響がどれほどあるのかは一概には言えない。しかし、黒潮大蛇行の発生後は、ほとんどの地点で年間降水量が大蛇行前の平均を上回り、7月だけで見ると2倍から3倍近くに達している所もあった。
一方、日本海側の地点について比較してみると、同様の傾向は必ずしも見られない。たまたまなのかもしれないが、ひょっとすると黒潮に運ばれる暖かい海水や大蛇行に伴って現れる冷水塊、大気中の水蒸気量の変化に、太平洋側の降水を強める効果があるのかもしれない。今年も黒潮の大蛇行が続く中で、まもなく梅雨を迎えることになる。黒潮の大蛇行と降水量の増加の不思議な一致を考えると、大雨に対しては十分な備えをしておいた方がよさそうだ。