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都知事選ポスターのQRコードを読むと詐欺サイトに繋がると騒ぎに。謎のサイトの正体とは?

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
騒ぎとなっているポスター。立花氏のYouTubeより筆者キャプチャ

 2024年東京都都知事選の選挙ポスターに掲載されているQRコードを読み込むと詐欺サイトに誘導されてしまうと、X(旧Twitter)で1.9万RPされるほどの騒ぎとなっています。

 一体どういうことなのか? 実際にアクセスして調べてみました。

接続先は有料のSNSサイトに見えるが…

 問題となっているポスターは政治団体『NHKから国民を守る党(NHK党)』が貼っているもので、「カワイイ私の政見放送を見てね」のメッセージと女性の写真とともにQRコードが掲載されています。

 そしてこのポスターを見た人が「この美女の政見放送を見たい!」と思ってQRコードを読み込むと、政見放送ではなく有料のSNSサイトに誘導されるという悪質な仕組みです。

 この有料SNSは大阪の会社が運営する『これやん』というサービスですが、なんと写真を1枚投稿するのに550円(月額課金)が必要です。

『これやん』の課金プラン。筆者キャプチャ
『これやん』の課金プラン。筆者キャプチャ

 このような一般的に考えるとサービスに見合わない利用料が必要なことから、詐欺サイトだと騒がれているようです。

「出会い系サイトではないか?」の質問に立花党首は

 また、利用料金の高さから一部では「女性と出会うための出会い系サイトではないか?」、「そのようなサイトに都知事選のポスターから誘導をかけるとはいかがなものか?」といった指摘も出るようになりました。

 これに対してNHK党の立花氏は動画で「全く出会い系サイトではなくてですね、むしろ誹謗中傷がない、むしろ月に1枚だけ写真を載せてコメントできるっていう、『見たよ』と『いいね』しか押せないもので、出会いようがない」と回答しています。

 実際に筆者もアプリに課金してアクセスしてみましたが、「いいやん(いいね)」と「みたで(見たよ)」しか機能がなく、出会おうとしても出会えない仕組みであることが確認できました。

『これやん』にある立花氏のページ。コメント欄はない。筆者撮影。
『これやん』にある立花氏のページ。コメント欄はない。筆者撮影。

そもそもAI美女だから出会えない

 ただし、この都知事選のポスターはほかにも問題を抱えています。

 というのも、掲載されている美女の一部の写真にどう見ても画像生成AIで作成したであろう痕跡が見えるからです。

 とてもわかりやすい事例として以下の女性の写真を取り上げますが、横断歩道のデザインが崩れているほか、看板の字がおかしい(画像生成AIは字の表現が苦手)、周りの人の顔がないといった特徴を確認できます。

画像生成AIで作られたとみられるポスター掲載の女性。注釈は筆者が加工したもの。『これやん』より筆者キャプチャ
画像生成AIで作られたとみられるポスター掲載の女性。注釈は筆者が加工したもの。『これやん』より筆者キャプチャ

 SNS向けに投稿されている写真自体は素材サイトから購入したものではなく実際に撮影されたもののようですが、それを投稿している人の一部はAI美女というわけです。

 こうなると、「詐欺サイトだ」という批判も一部で真実になってきます。

 「カワイイ私の政見放送を見てね」のメッセージなのに政見放送はみれず、ポスターの美女と交流できるSNSだと思ったら中身はAI美女。つまり、その交流は偽物ということになるからです。

 問題はこれを運営会社がやっているのか、それとも有料SNSに参加している個人が勝手にやっているかという点です。運営会社がやっていれば詐欺と感じる人も出てくるでしょう。

 QRコードを読み込んでも詐欺にあうことはありませんが、そこに課金して得られるものは架空のコミュニケーションとなる可能性が高いと言えます。このような有権者を騙すポスターは禁止されるべきでしょう。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。インターネット(SNS)で起きる炎上の解説、デマのファクトチェック、スマホやガジェットの話題、生成AIが専門。最近はYouTubeでも活動しています。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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