アメリカで3億人超が自宅待機、ネット通販需要急増で混乱拡大
先ごろ、アマゾン・ドット・コムが米国の物流施設で働く従業員の時間外労働賃金を2倍にすると伝えられた。
これは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う需要急増に対応する措置。ロイター通信によると、3月15日から5月9日までの期間、週40時間を超える勤務の賃金をこれまでの1.5倍から2倍に引き上げる。
ベゾスCEOが従業員に謝意
アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は、公開書簡で「我々は必需品を届ける重要な仕事をしており、多くの人々が我々を頼りにしている」と述べ、従業員への謝意を示した。
これに先立つ3月16日、同社は物流拠点と配送ネットワークで働く人の時給を4月末まで、それまでの約15ドル(約1610円)から17ドル(約1830円)に引き上げると発表。併せて、米国内の物流施設と配送業務で新たに10万人を雇用すると明らかにした。
米人口の95%が自宅待機対象に
米ニューヨーク・タイムズによると、新型コロナウイルスの感染者と死者数がともに世界最多となった米国では、42州で外出禁止措置がとられている。ワシントンD.C.とプエルトリコも合わせると3億1600万人以上、米国人口の95%が自宅待機を余儀なくされている。
競合の米ウォルマートも新規雇用15万人
こうした中、ネットショッピングの需要が急増し、アマゾンなどの大手では人手不足が顕著に現れてきた。アマゾンの競合である米ウォルマートもフルフィルメントセンターと配送センターで合計15万人の時間給労働者を新規雇用すると明らかにした。
このほか、自宅待機やテレワークを背景に、日用品の在庫切れが相次ぎ、配送に遅延が生じるという問題も顕著になってきた。
こうした事態に対処するため、アマゾンでは、需要の高い生活必需品や医療用品、食料品、ベビー用品、健康・美容用品、家庭用品、ペット用品などを優先的に入荷。米欧では、出品者からのこれら日用品以外の商品の同社倉庫への受け入れを一時停止した。
ベゾスCEOは従業員宛の書簡で、「我々は通常時とは異なる、この最も重要な状況に対処しているところだ。そのために物流や輸送、サプライチェーン、調達、出品者との取引工程を変更した」と述べている。
- (参考・関連記事)「アマゾンの新型コロナ対策で小規模業者に大打撃 (小久保重信) -Yahoo!ニュース個人」
- (このコラムは「JBpress」2020年3月24日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて再編集したものです)